都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
横浜美術館 「コレクション展 第3期」 2/19
横浜美術館(横浜市西区みなとみらい)
「コレクション展 第3期」
2004/11/24~2005/3/23
こんにちは。
昨日はあいにくの天候でしたが、横浜美術館へ行ってきました。もちろん、話題(?)の展覧会である「マルセル・デュシャンと20世紀美術」を観るためです。そちらの感想もアップしたいと思いますが、展覧会と作品そのものに猛烈な違和感を感じてしまって、なかなかまとまりません…。ということで先に、デュシャン展の後に観たコレクション展について書いてみます。
横浜美術館のコレクション展(常設展)は、年度事に三回の展示替えをしています。現在はその第3期にあたり、以下のテーマ別に作品が並んでいました。
1.日本画における幻想的な風景
2.現代ガラスの不思議な形
3.変容するイメージ-シュルレアリスムの絵画と彫刻
4.版画のなかの幻想的な世界
5.シュルレアリスムと写真-実験的な技法と表現
もちろんどれも見応えたっぷりです。特に2、3、4には惹かれる作品がたくさんありました。
まず「2」のガラスです。そもそもこれだけまとまった形でガラス作品を観たのは初めてでして、それだけでも大変に興味深いものでした。1960年代以降に始まったというガラスの芸術表現は、ガラス素材の持つ透明感が最大限に生かされています。それに、ガラスは多様な形に加工できる特性もあります。薄く延ばしてグイッと曲げてみたり、膨らませたり丸めてみたり…。ガラスがゴムのように自由自在に変化しています。形として観ただけでも十分に楽しめますが、まるで生き物のような存在感です。思わず触りたくなります。
「3」はシュルレアリスムでした。展示室入口に、ダリの「幻想的風景-暁、英雄的昼、夕暮」(1942年)があります。私はどうもまだダリの良さが分かりません。今日こそ何か感じることはないかと、作品の前に置かれていた椅子から眺めること数分…。何だか絵が語りかけている気分になってきました。絵を一つの物語として捉えて、たくさんの神話やお伽話を空想します。もしかしてイメージを極限までに膨らませることが可能かもしれない…。少し苦手意識が吹き飛びました。同じく苦手なマグリットの作品と取っ替え引っ替え眺めながら、頭の中にたくさんのイメージを湧かせていきます。これぞまさに絵を観る際の醍醐味です。贅沢な時間を楽しみました。また、キリコのブロンズ像「ヘクトルとアンドロマケ」も美しいと思います。キリコは造形の逞しい構成感に惹かれます。こちらは好きなアーティストです。
「4」の版画では、HANGA展でもお目にかかった駒井哲郎の作品が多数並んでいました。不思議な浮遊感がある「束の間の幻影」はもちろんのこと、遊び心があるように感じた「海底の祭」にも惹かれます。駒井の作品はどれも繊細な意識が感じられます。観ている最中に、最近拝見させていただいているartshoreさんのブログの中で、駒井について書かれていた印象深い一節、「少年のようなしなやかさ」を思い出しました。少し危ういようなはかなさ。やはりここに惹かれます。一方、長谷川潔の作品はどれも静謐感が漂っていました。「小鳥と胡蝶」が一押しです。エッシャーの作品は、近くにいた子どもが一生懸命に観ていました。おそらく動線を辿っていたのでしょう。私も初めて観た時、何度も何度も作品の中を行ったり来たりしたように思います。久々に再会しましたが、やはり何度観ても楽しい作品です。
美術館へ行く際は、大概が企画展目当てなので、どうしても常設の方をおろそかにしてしまいます。(時には飛ばしてしまうことも…。)しかし今回は、デュシャン展で非常に疲れたせいもあってか、逆に枠の中の「美術」に触れたくなりました。ガラガラの常設展をゆっくりと歩きながら鑑賞するのは、美術館での大きな喜びの一つです。久々に満喫しました。
*デュシャン展についてはまた後ほど…。恐ろしく頭がごちゃごちゃになったので、それを整理するだけでも大変です。
「コレクション展 第3期」
2004/11/24~2005/3/23
こんにちは。
昨日はあいにくの天候でしたが、横浜美術館へ行ってきました。もちろん、話題(?)の展覧会である「マルセル・デュシャンと20世紀美術」を観るためです。そちらの感想もアップしたいと思いますが、展覧会と作品そのものに猛烈な違和感を感じてしまって、なかなかまとまりません…。ということで先に、デュシャン展の後に観たコレクション展について書いてみます。
横浜美術館のコレクション展(常設展)は、年度事に三回の展示替えをしています。現在はその第3期にあたり、以下のテーマ別に作品が並んでいました。
1.日本画における幻想的な風景
2.現代ガラスの不思議な形
3.変容するイメージ-シュルレアリスムの絵画と彫刻
4.版画のなかの幻想的な世界
5.シュルレアリスムと写真-実験的な技法と表現
もちろんどれも見応えたっぷりです。特に2、3、4には惹かれる作品がたくさんありました。
まず「2」のガラスです。そもそもこれだけまとまった形でガラス作品を観たのは初めてでして、それだけでも大変に興味深いものでした。1960年代以降に始まったというガラスの芸術表現は、ガラス素材の持つ透明感が最大限に生かされています。それに、ガラスは多様な形に加工できる特性もあります。薄く延ばしてグイッと曲げてみたり、膨らませたり丸めてみたり…。ガラスがゴムのように自由自在に変化しています。形として観ただけでも十分に楽しめますが、まるで生き物のような存在感です。思わず触りたくなります。
「3」はシュルレアリスムでした。展示室入口に、ダリの「幻想的風景-暁、英雄的昼、夕暮」(1942年)があります。私はどうもまだダリの良さが分かりません。今日こそ何か感じることはないかと、作品の前に置かれていた椅子から眺めること数分…。何だか絵が語りかけている気分になってきました。絵を一つの物語として捉えて、たくさんの神話やお伽話を空想します。もしかしてイメージを極限までに膨らませることが可能かもしれない…。少し苦手意識が吹き飛びました。同じく苦手なマグリットの作品と取っ替え引っ替え眺めながら、頭の中にたくさんのイメージを湧かせていきます。これぞまさに絵を観る際の醍醐味です。贅沢な時間を楽しみました。また、キリコのブロンズ像「ヘクトルとアンドロマケ」も美しいと思います。キリコは造形の逞しい構成感に惹かれます。こちらは好きなアーティストです。
「4」の版画では、HANGA展でもお目にかかった駒井哲郎の作品が多数並んでいました。不思議な浮遊感がある「束の間の幻影」はもちろんのこと、遊び心があるように感じた「海底の祭」にも惹かれます。駒井の作品はどれも繊細な意識が感じられます。観ている最中に、最近拝見させていただいているartshoreさんのブログの中で、駒井について書かれていた印象深い一節、「少年のようなしなやかさ」を思い出しました。少し危ういようなはかなさ。やはりここに惹かれます。一方、長谷川潔の作品はどれも静謐感が漂っていました。「小鳥と胡蝶」が一押しです。エッシャーの作品は、近くにいた子どもが一生懸命に観ていました。おそらく動線を辿っていたのでしょう。私も初めて観た時、何度も何度も作品の中を行ったり来たりしたように思います。久々に再会しましたが、やはり何度観ても楽しい作品です。
美術館へ行く際は、大概が企画展目当てなので、どうしても常設の方をおろそかにしてしまいます。(時には飛ばしてしまうことも…。)しかし今回は、デュシャン展で非常に疲れたせいもあってか、逆に枠の中の「美術」に触れたくなりました。ガラガラの常設展をゆっくりと歩きながら鑑賞するのは、美術館での大きな喜びの一つです。久々に満喫しました。
*デュシャン展についてはまた後ほど…。恐ろしく頭がごちゃごちゃになったので、それを整理するだけでも大変です。
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