ブルータスの若冲特集!!

私がブルータスを買ったのは、杉本博司が特集された昨年の9月以来です。表紙を鮮やかに飾ったのは、プライス・コレクション展でも人気の「鳥獣花木図屏風」に登場するあの大きな白象でした。これはかなり目立ちます。

BRUTUS (ブルータス) 2006年 8/15号

プライス展に合わせた企画なのでしょう。まずはプライス氏のインタビュー記事がメインに掲げられています。お馴染みの逸話でもあるスポーツカー云々の出来事から、「鳥獣花木図屏風」の図柄をとった、かの有名なモザイク風呂の写真(プライス氏が背中を流しているシーンも!?)まで、サッと読んでみただけでもなかなかの内容かと思いました。またその他にも、若冲への思いを語る横尾忠則や村上隆などの記事や、若冲を世に送り出した人物でもある辻惟雄のインタビュー、さらには若冲ゆかりの寺院である相国寺派の有馬管長の対談(バックには所蔵の「梅に鶏図」が!)などが掲載されています。580円という雑誌の値段を考えれば上々の充実ぶり。しばらく楽しめそうです。

また充実と言えば、見開きページを使ったカラー図版も必見です。縦30センチ弱、横70センチ強の「鳥獣花木図屏風」とその拡大版、さらには三の丸尚蔵館の図録も真っ青(?)な「動植綵絵」全30幅+「釈迦三尊像」、そしてA4サイズ弱の「白象群獣図」は、切り取って部屋に飾るのに最適(?!)ではないでしょうか。嬉しいおまけでした。

まだペラペラとめくって斜め読みしただけです。これからじっくり拝見しようかと思います。そう言えば、杉本博司の時も比較的早く売り切れました。完全にマガジンハウスの提灯を持ってしまいましたが、ご興味のある方はお早めにどうぞ!
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「Bamboo Bank 松本秋則展」+「地球」展 BankART 1929 7/29

BankART 1929横浜市中区本町6-50-1
「Bamboo Bank(緑陰銀行) 松本秋則展」
「地球」展
7/7-8/31(松本展) 7/22-30(「地球」展 会期終了)

 

「BankART 1929」の展覧会を拝見するのは、昨年の横浜トリエンナーレ以来のことかもしれません。先鋭的なメディア・アートで構成された「地球」展と、竹の音を涼し気に奏でるインスタレーションを展開した松本秋則の個展が開催されていました。



「地球」展では、何と言っても地下の展示室にて上映されていた「PopulouSCAPE」が圧倒的です。世界に約8400ほど存在するという5万人以上の都市を高層ビルの形に視覚化し、それを俯瞰するかのように空から漫遊する。旅はニュージーランドから始まりました。一気に赤道を超えて日本へと高速移動。東アジアでは、東京・ソウル・上海などと連なる超巨大都市が、まさにバベルの塔のように高層ビルを築いてそびえ立ちます。またその周囲にはびっしりと虫のように群がる無数の大都市。恐ろしいほどの密集度です。そしてそこからは東南アジアを経由し、これまたビッシリとビルの立ち並ぶインドを超えてヨーロッパへと向かいます。煌めく欧州を過ぎれば今度は南下です。ぽっかりと暗がりになっているサハラ砂漠を過ぎ南アフリカ、さらには大西洋を経由して南米へと進みます。ここまで来ればあとは北米大陸を残すのみ。光瞬くニューヨークがゴールでした。この間約10分。世界人口のスケール感を目と耳で味わうことが出来ます。夜景に映える高層ビルの輝きは、まさに現代文明の繁栄を示す一方、まるで今にも崩れ去るガラス細工のような脆さを体現していました。ちなみに、この作品は愛知万博でも上映されたそうで、DVDとしても販売されています。部屋を真っ暗にして、一人っきりでこの眺めを味わってみるのも良いかもしれません。

「PopulouSCAPE」公式サイト



一階の展示ホールでは、人造の竹林にて涼し気な空間を作り出した松本秋則のインスタレーションが見応え満点でした。竹の一つずつが楽器となって、それらが時にミニマル音楽のように、またある時には武満(?)のように、ホール全体へ心地良い音響空間を生み出していく。小さな太鼓たちが群がる竹林。竹の先には、趣向を凝らしたベルやタンバリンのような可愛らしい楽器が、いくつもぶら下がっています。全てコンピューターにて制御されているのでしょうか。それぞれがゆったりと震え、また靡いていく様子。少し調子が悪いのか、いくつか動かない楽器があったのは残念ですが、椅子に腰掛けてずっと竹の音へ耳を傾けていたい作品でした。これぞ真夏にピッタリのインスタレーションでしょう。

松本秋則展は無料にて8月31日まで開催されています。みなとみらいから馬車道界隈の散策で疲れた際にでも、是非立ち寄ってみては如何でしょうか。癒しの空間があなたを待っています。(!?)
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