「高嶺格 - The SUPERCAPACITOR/スーパーキャパシタ」 ARATANIURANO

ARATANIURANO中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3階)
「高嶺格 - The SUPERCAPACITOR/スーパーキャパシタ」
7/12-9/6



私にとって高嶺とは謎めいた作家の一人ですが、そう言った意味においては今個展でも期待を裏切られることはありませんでした。近未来に汎用化も目されるエネルギー蓄積・供給デバイス、電気二重層キャパシタ(スーパーキャパシタ)より様々なイメージを膨らませます。新作の個展です。

スーパーキャパシタについては画廊HPの記載(pdf)を参照していただきたいところですが、おそらくはその知識を前提に持たなくとも、この完結した高嶺の世界を味わうのには何ら問題がないと思います。展示されているのは、一見、そのキャパシタとは何ら関係がないと見える作品、ようは木材や絨毯や、あげくの果てにはマヨネーズなどまで用いられた平面、立体の各オブジェです。それらは一応、上のDM画像にもあるようなマスコット化されたキャパシタによって統一的に展開されていますが、見れば見るほどより一層、実際とのキャパシタとの乖離が痛いほど伝わって、逆説的にある種のアーティスティックな世界を構築していることが分かります。無害な蓄電装置でありながら、その価格が高いためになかなか普及しないというキャパシタを「ブランド化」(画廊HPより引用。)することで、高嶺はその価値をまた別の場所に置き換えてしまっているのもしれません。彼のメッセージは「家も野菜も電力も買わず、全て自分でつくれたたら。」(展示作品より。)という部分にありそうです。

会場ではプラダケータイならぬ、キャパシタケータイを擬似的に手に入れることが出来ました。また小さな印章のようなオブジェには、顔を近づけてのご観覧をおすすめします。その甘い香りの正体は果たして何でしょうか。

9月6日までの開催です。
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