都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「油絵茶屋再現」 浅草寺境内
浅草寺境内
「油絵茶屋再現」
10/15-11/15
日本初の油絵展を現代に甦らせます。浅草寺境内で開催中の「油絵茶屋再現」へ行ってきました。
東京随一の観光地といえば浅草、そして浅草寺ですが、その境内で今、油絵を日本で初めて紹介した展覧会を再現したイベントが行われていることをご存知でしょうか。
その名もずばり「油絵茶屋」です。明治7年、油絵制作はおろか、まだ『美術』という言葉も珍しかった時代に、「西洋画工」を名乗る画家の五姓田芳柳・義松親子らが、ここ浅草の地にて油絵を見せ物として展示していました。
今でこそ展覧会の場と言えば博物館なり美術館を連想しますが、当時はまだそうした施設もありません。ようするに小屋です。小さな茶屋をつくり、その中で油絵を並べて見せていました。
「油絵茶屋チラシ」 明治7年
再現にはかなりの困難が伴います。実はそもそも見世物小屋の図面はなく、油絵自体も全く残っていません。そこで再現に関わった東京芸大のメンバーは、当時の他の小屋の写真、そして殆ど唯一現存する当時の宣伝チラシを参考にして研究、今回の展示にこぎつけたというわけでした。
小屋の内部はかなり狭く感じますが、実際にはもっと狭かったのではないかと言うことです。(再現建物は幅11メートル、奥行き3.5メートル、高さ4メートル。)また絵画の色そのものも分からないため、やはり他の資料での調査、また類推して描いたとのことでした。
絵画は役者絵が目立ちますが、これは当時よく好まれた主題ということでした。
「関羽(市川団十郎)」 菅亮平
日本画表現では難しい濃厚な色遣いなどに当時の人々は驚いたのではないでしょうか。私も大好きな三国志の英雄、関羽も、作家の菅亮平さん(@ryoheican)の手にかかればご覧の通りでした。どこかエキゾチックです。
なお茶屋ということで、会場入口にはベンチも置かれ、お茶まで振る舞われています。なお当時はコーヒーまで提供されていたそうですが、それは油画が維新後の新たな時代を象徴するものであることにも関係しているかもしれません。
建物自体は簡素なものですが、期間限定でクローズしてしまうのには勿体ないほどよく出来ています。浅草は江戸時代から明治にかけて江戸・東京最大の盛り場であったことが知られていますが、いつしかその拠点は他の場所に奪われてしまいました。また美術そのものも博物館が開設した上野へと拠点が移ります。この再現を契機に、ここ浅草より美術の息吹がまた出るのやもしれません。
場所は仲見世を越え、宝蔵門をくぐった先の右側、ちょうど本堂の手前でした。目印は「油絵茶屋」と書かれた幟です。
「美術という見世物 油絵茶屋の時代/木下直之/講談社学術文庫」
入場は無料です。11月15日まで開催されています。
「油絵茶屋再現」 浅草寺境内
会期:10月15日(土)~11月15日(火)
休館:会期中無休
時間:9:00~16:30
住所:台東区浅草2-3-1
交通:東武伊勢崎線、東京メトロ銀座線浅草駅より徒歩7分。都営地下鉄浅草線浅草駅A4出口より徒歩10分。
「油絵茶屋再現」
10/15-11/15
日本初の油絵展を現代に甦らせます。浅草寺境内で開催中の「油絵茶屋再現」へ行ってきました。
東京随一の観光地といえば浅草、そして浅草寺ですが、その境内で今、油絵を日本で初めて紹介した展覧会を再現したイベントが行われていることをご存知でしょうか。
その名もずばり「油絵茶屋」です。明治7年、油絵制作はおろか、まだ『美術』という言葉も珍しかった時代に、「西洋画工」を名乗る画家の五姓田芳柳・義松親子らが、ここ浅草の地にて油絵を見せ物として展示していました。
今でこそ展覧会の場と言えば博物館なり美術館を連想しますが、当時はまだそうした施設もありません。ようするに小屋です。小さな茶屋をつくり、その中で油絵を並べて見せていました。
「油絵茶屋チラシ」 明治7年
再現にはかなりの困難が伴います。実はそもそも見世物小屋の図面はなく、油絵自体も全く残っていません。そこで再現に関わった東京芸大のメンバーは、当時の他の小屋の写真、そして殆ど唯一現存する当時の宣伝チラシを参考にして研究、今回の展示にこぎつけたというわけでした。
小屋の内部はかなり狭く感じますが、実際にはもっと狭かったのではないかと言うことです。(再現建物は幅11メートル、奥行き3.5メートル、高さ4メートル。)また絵画の色そのものも分からないため、やはり他の資料での調査、また類推して描いたとのことでした。
絵画は役者絵が目立ちますが、これは当時よく好まれた主題ということでした。
「関羽(市川団十郎)」 菅亮平
日本画表現では難しい濃厚な色遣いなどに当時の人々は驚いたのではないでしょうか。私も大好きな三国志の英雄、関羽も、作家の菅亮平さん(@ryoheican)の手にかかればご覧の通りでした。どこかエキゾチックです。
なお茶屋ということで、会場入口にはベンチも置かれ、お茶まで振る舞われています。なお当時はコーヒーまで提供されていたそうですが、それは油画が維新後の新たな時代を象徴するものであることにも関係しているかもしれません。
建物自体は簡素なものですが、期間限定でクローズしてしまうのには勿体ないほどよく出来ています。浅草は江戸時代から明治にかけて江戸・東京最大の盛り場であったことが知られていますが、いつしかその拠点は他の場所に奪われてしまいました。また美術そのものも博物館が開設した上野へと拠点が移ります。この再現を契機に、ここ浅草より美術の息吹がまた出るのやもしれません。
場所は仲見世を越え、宝蔵門をくぐった先の右側、ちょうど本堂の手前でした。目印は「油絵茶屋」と書かれた幟です。
「美術という見世物 油絵茶屋の時代/木下直之/講談社学術文庫」
入場は無料です。11月15日まで開催されています。
「油絵茶屋再現」 浅草寺境内
会期:10月15日(土)~11月15日(火)
休館:会期中無休
時間:9:00~16:30
住所:台東区浅草2-3-1
交通:東武伊勢崎線、東京メトロ銀座線浅草駅より徒歩7分。都営地下鉄浅草線浅草駅A4出口より徒歩10分。
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