「成層圏 vol.5 風景の再起動 宮永亮」 ギャラリーαM

ギャラリーαM
「成層圏 vol.5 風景の再起動 宮永亮」
10/22-11/26



ギャラリーαMで開催中の「成層圏 vol.5 宮永亮」展へ行ってきました。

展示概要、作家プロフィールについては同ギャラリーWEBサイトをご覧ください。

vol.5 宮永亮 Akira MIYANAGA

かつて児玉画廊・東京で開催された「地の灯」展をあげるまでもなく、様々な風景がまるで洪水のように溢れ出す映像を制作する宮永ですが、今回の個展ではその表現がさらにスケールアップしています。

それがずばりインスタレーションとしての展開です。会場に入ると何やら小屋が出現し、映像スクリーンなどは半ば乱れ散るかのように置かれています。一見、無造作に並んでいるように見える木材、木製パネルは、それこそ仮設という言葉を強く意識させるような配置ではなかったでしょうか。まさか会場に木材が半ば転がっているとは思いませんでした。



さて映像は会場に点在する木材へ直接投影した「boats」など数点出ていますが、やはり印象に深いのはメインの「arc」です。

ここで宮永は地平線をのぞむ大地、そして都市高速、さらには海の景色などを、ノイズを介在させながら、結合、分離、解体、さらにはレイヤー状に重ね合わせて展開しています。



場所性は極めて希薄となり、風景は色や形に還元されていきます。スピード感のある映像は何らかの物語性を感じさせますが、決して単純にそこへ感情移入することは許しません。あくまでも風景は断片的です。ここが一体どこなのか、そしてなんのイメージの反映なのかという問いを受け付ける間もなく、風景は移ろい、また光り輝き、さらには闇に沈んで消えていきました。

初日のトークを拝聴する機会を得ましたが、これらは基本的に作家が運転する車に載せたカメラの映像を繋ぎ合わせたものだそうです。また風景の素材としてストックホルムから大阪、さらには東北地方の風景が用いられています。

宮永は車載カメラという手法をとることによって身体性を切り離し、映像も出来るだけモンタージュ的に繋ぎ合わせていくことを心がけているようです。だからこそ具体的な風景という素材を用いながらも、どこか抽象性を帯びたイメージに仕上がっているのかもしれません。



このいわゆる仮設の空間は、震災後、一人の生活者として如何に住むのか、また定住とか何かということを考えた時に得られた一つの回答でもあるそうです。この仮設の空間しかり、決して一つの場所に定まらない映像風景などを見ていると、宮永はイリュージョン的な映像世界と現実世界を次元を越えて行き来する永遠の旅人ではないかと思いました。

なお宮永のトークイベントが明日、26日の16時から開催されます。

トークイベント:11月26日(土)16時~17時 宮永亮、下道基行、高橋瑞木

ご紹介が遅れて失礼しました。明日、26日まで開催です。

「成層圏 vol.5 宮永亮」 ギャラリーαM@gallery_alpham
会期:10月22日(土)~11月26日(土)
休廊:日・月・祝
時間:12:00~18:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR総武快速線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分
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