都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「中国の陶磁・漆・青銅」 根津美術館
根津美術館
「中国の陶磁・漆・青銅」
11/16-12/25
根津美術館で開催中の「受贈記念特別展 中国の陶磁・漆・青銅」のプレスプレビューに参加してきました。
元々、充実したうつわのコレクションで知られる根津美術館ですが、今回新たな作品が寄贈され、さらにその厚みが増しました。
それが本展でお披露目された中国の陶磁器、漆、青銅のコレクションです。
「緑釉博山れん」 中国・後漢時代 1-2世紀
これまでの根津美術館では少なかった唐時代以前の陶磁器、すなわち古代から漢時代の土器や陶器を中心とした藤崎コレクション、それに宋時代の漆器では世界唯一という永田コレクション、また漆の研究家としても知られる李氏の青銅器の3つのコレクションが加わりました。
出品は全82点です。いつもながらに完成された展示空間のもとで、その煌めきはより際立っていました。
「白磁場瓶」 中国・唐時代 8世紀
白磁、青磁好きの私にとってはたまらない展示です。いきなり一目で惚れてしまったのは、どこか素朴な造形も美しい「白磁浄瓶」(8世紀)でした。
なおこの瓶は白磁というよりも、白土で表面を白くし、その上に透明釉をかけて焼き上げたのだそうです。また形も仏教の法具を写したものとのことでした。
「白磁龍耳瓶」 中国・唐時代 8世紀
また白磁でもう一点、見逃せないのが「白磁龍耳瓶」(8世紀)です。盤口を龍頭が左右からくわえています。緑味の透明釉のかかった深みのある白味もまた魅力的でした。
「茶葉末釉瓶」 中国・清時代 18世紀
当時では唐の時代から大きく下り、清の時代の「茶葉末釉瓶」(18世紀)にも目を奪われます。茶葉末釉は清になって発明されたというものですが、そのしっとりとした深い色合いには強く惹かれます。私の一推しはこれでした。
右、「朱緑漆盆」 木胎漆塗 中国・南宋~元時代 13-14世紀
漆器も名品が目白押しです。厚手の「朱緑漆盆」(13-14世紀)の造形は力強く、それこそ根来焼を連想させるものがありました。
「朱黒漆輪花椀、皿」 木胎漆塗 中国・北宋時代 10-12世紀
また可愛らしい花弁の形をした「黒漆輪花椀」(10-13世紀)も見逃せません。紋様はなく、シンプルな作品ですが、5枚の花弁が薄く象られた繊細な造形美と、黒光りする艶やかな光沢感はまさに絶品ではないでしょうか。
右、「黒漆箸」 1膳 中国・南宋時代 12-13世紀
さらに漆では「黒漆箸」(12-13世紀)も出ていました。(青銅の箸もあり。)なお中国で箸の使用が一般的になったのは、明時代のことだそうです。もちろん漢の時代にも出土例がありますが、思いの他に最近になって普及したものだとは知りませんでした。
「展示室2 中国の人物画」風景
さてこの本編とは別に、同時開催のテーマ展示もかなり充実しています。展示室2の「中国の人物画」では館蔵の中国絵画より元、明時代の人物画がいくつか出品されていました。
尾形乾山「色絵絵替角皿」 日本・江戸時代 18世紀
また階上の展示室5では「色絵いろいろ」と題し、仁清、乾山の色絵の器が多数出ています。琳派好きにも嬉しいところでした。
重要文化財「堅手茶碗 銘 長崎」 朝鮮・朝鮮時代 18世紀
茶室の展示室6にさり気なく出ていた重要文化財の「堅手茶碗 銘 長崎」(16-17世紀)が忘れられません。どこか遊び心もある緩やかなカーブを描いた口縁、そして丸みを帯びた銅、そして何と言ってもやや青みを帯びた色彩の美しさには言葉を失います。しばし時間を忘れて見入ってしまいました。
来年度の根津美術館の展示スケジュールが発表されました。
三井記念でも大変な話題となった柴田是真の展覧会が再びやってきます。なお本年、震災の影響により延期された「KORIN展」も、来春に開催される予定です。充実したラインナップに今から心を踊らされる方も多いのではないでしょうか。
先日リリースされた根津美術館アプリも情報更新中です。
12月25日まで開催されています。
「中国の陶磁・漆・青銅」 根津美術館
会期:11月16日(水)~12月25日(日)
休館:毎週月曜日
時間:10:00~17:00
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
「中国の陶磁・漆・青銅」
11/16-12/25
根津美術館で開催中の「受贈記念特別展 中国の陶磁・漆・青銅」のプレスプレビューに参加してきました。
元々、充実したうつわのコレクションで知られる根津美術館ですが、今回新たな作品が寄贈され、さらにその厚みが増しました。
それが本展でお披露目された中国の陶磁器、漆、青銅のコレクションです。
「緑釉博山れん」 中国・後漢時代 1-2世紀
これまでの根津美術館では少なかった唐時代以前の陶磁器、すなわち古代から漢時代の土器や陶器を中心とした藤崎コレクション、それに宋時代の漆器では世界唯一という永田コレクション、また漆の研究家としても知られる李氏の青銅器の3つのコレクションが加わりました。
出品は全82点です。いつもながらに完成された展示空間のもとで、その煌めきはより際立っていました。
「白磁場瓶」 中国・唐時代 8世紀
白磁、青磁好きの私にとってはたまらない展示です。いきなり一目で惚れてしまったのは、どこか素朴な造形も美しい「白磁浄瓶」(8世紀)でした。
なおこの瓶は白磁というよりも、白土で表面を白くし、その上に透明釉をかけて焼き上げたのだそうです。また形も仏教の法具を写したものとのことでした。
「白磁龍耳瓶」 中国・唐時代 8世紀
また白磁でもう一点、見逃せないのが「白磁龍耳瓶」(8世紀)です。盤口を龍頭が左右からくわえています。緑味の透明釉のかかった深みのある白味もまた魅力的でした。
「茶葉末釉瓶」 中国・清時代 18世紀
当時では唐の時代から大きく下り、清の時代の「茶葉末釉瓶」(18世紀)にも目を奪われます。茶葉末釉は清になって発明されたというものですが、そのしっとりとした深い色合いには強く惹かれます。私の一推しはこれでした。
右、「朱緑漆盆」 木胎漆塗 中国・南宋~元時代 13-14世紀
漆器も名品が目白押しです。厚手の「朱緑漆盆」(13-14世紀)の造形は力強く、それこそ根来焼を連想させるものがありました。
「朱黒漆輪花椀、皿」 木胎漆塗 中国・北宋時代 10-12世紀
また可愛らしい花弁の形をした「黒漆輪花椀」(10-13世紀)も見逃せません。紋様はなく、シンプルな作品ですが、5枚の花弁が薄く象られた繊細な造形美と、黒光りする艶やかな光沢感はまさに絶品ではないでしょうか。
右、「黒漆箸」 1膳 中国・南宋時代 12-13世紀
さらに漆では「黒漆箸」(12-13世紀)も出ていました。(青銅の箸もあり。)なお中国で箸の使用が一般的になったのは、明時代のことだそうです。もちろん漢の時代にも出土例がありますが、思いの他に最近になって普及したものだとは知りませんでした。
「展示室2 中国の人物画」風景
さてこの本編とは別に、同時開催のテーマ展示もかなり充実しています。展示室2の「中国の人物画」では館蔵の中国絵画より元、明時代の人物画がいくつか出品されていました。
尾形乾山「色絵絵替角皿」 日本・江戸時代 18世紀
また階上の展示室5では「色絵いろいろ」と題し、仁清、乾山の色絵の器が多数出ています。琳派好きにも嬉しいところでした。
重要文化財「堅手茶碗 銘 長崎」 朝鮮・朝鮮時代 18世紀
茶室の展示室6にさり気なく出ていた重要文化財の「堅手茶碗 銘 長崎」(16-17世紀)が忘れられません。どこか遊び心もある緩やかなカーブを描いた口縁、そして丸みを帯びた銅、そして何と言ってもやや青みを帯びた色彩の美しさには言葉を失います。しばし時間を忘れて見入ってしまいました。
来年度の根津美術館の展示スケジュールが発表されました。
「特別展 KORIN 『国宝燕子花図』とメトロポリタン美術館所蔵『八橋図』」 2012/4/21~5/20
「唐物を飾る 中世人の花会と茶会」 2012/6/2~7/16
「応挙の藤花図と近世の屏風 伊年印『草花図屏風』初公開」 2012/7/28~8/26
「平家物語画帖 諸行無常のミニアチュール」 2012/9/8~10/21
「特別展 柴田是真」 2012/11/1~12/16
「新春の国宝那智瀧図 仏教説話画の名品とともに」 2013/1/9~2/11
「遠州・不味の美意識 名物の茶道具」 2013/2/23~4/7
「唐物を飾る 中世人の花会と茶会」 2012/6/2~7/16
「応挙の藤花図と近世の屏風 伊年印『草花図屏風』初公開」 2012/7/28~8/26
「平家物語画帖 諸行無常のミニアチュール」 2012/9/8~10/21
「特別展 柴田是真」 2012/11/1~12/16
「新春の国宝那智瀧図 仏教説話画の名品とともに」 2013/1/9~2/11
「遠州・不味の美意識 名物の茶道具」 2013/2/23~4/7
三井記念でも大変な話題となった柴田是真の展覧会が再びやってきます。なお本年、震災の影響により延期された「KORIN展」も、来春に開催される予定です。充実したラインナップに今から心を踊らされる方も多いのではないでしょうか。
先日リリースされた根津美術館アプリも情報更新中です。
12月25日まで開催されています。
「中国の陶磁・漆・青銅」 根津美術館
会期:11月16日(水)~12月25日(日)
休館:毎週月曜日
時間:10:00~17:00
住所:港区南青山6-5-1
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A5出口より徒歩8分。
注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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