「特撮博物館」 東京都現代美術館

東京都現代美術館
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」
7/10~10/8



東京都現代美術館で開催中の「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」へ行ってきました。

「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」

こうも銘打たれた特撮博物館展、実はファンの方には申し訳ないと思いながら、私自身はエヴァもウルトラマンも殆ど見たことがありません。


「帰ってきたウルトラマン」1971年 ウルトラマン(飛行シーン用)

しかしながら断言出来ます。そうした私でも軽い熱狂を覚えるほどに楽しめる展覧会です。

テーマは言うまでもなく特撮、かつて怪獣やヒーロたちの活躍する舞台を飾ったセットです。会場には日本の誇る「特撮芸術」、そのミニチュアやデザイン画など500点もの作品がズラリと勢揃いしていました。

冒頭、日本の特撮の原点、主に60年代の特撮映画に用いられたミニチュアが登場します。

そのスタイリッシュなアートワークはまるで時代を感じさせない斬新なものばかり。


「怪獣総進撃」1968年 ムーンライトSY-3

いわゆるSFは日本に限らずこの1950~60年代にあるのかもしれませんが、リアルタイムとして経験せずとも、こうしたミニチュアからも往時の創造への熱気は伝わるものです。そしてその蓄積こそが、我々の特撮への憧れと感動を今もなお与え続けているのかもしれません。

そして展覧会の核心、「特撮美術倉庫」に入るとさらなる驚きが待ち構えています。

なんとここでは特撮映画の撮影所内の美術倉庫を再現したかのような展示が繰り広げられているのです。


「モスラ」(1961年)のオリジナル図面から再制作した東京タワー

ともかくあの場の様子を言葉に表すのは難しいのですが、長さ数メートルにも及ぶ潜水艦に戦闘機、それにゴジラの脚からもっと撮影現場に身近なもの、それこそフィルム機器から脚立までが所狭しと置かれています。

臨場感溢れる倉庫で見るミニチュアの迫力はただならぬものです。どのような映画やTVに使用されたのかを知るまでもなく、一点一点の作品をまさに時間を忘れて見入ってしまいました。



さてラストは今に特撮技術を甦らせた「巨神兵東京に現れる」のミニチュアステージです。ひん曲がった東京タワーに戦車の進む街の特撮用ミニチュアジオラマが、何と10メートル四方のスケールでお披露目されます。



そして嬉しいことにここは撮影可能。(その他は一切撮影が出来ないのでご注意下さい。)ケースもなく、今まさに目の前に剥き出しにされたジオラマ世界に目も心も奪われながら、ひたすらにカメラのシャッターを切っている自分に気づきました。



もちろん会場では「巨神兵」の映像作品も公開されています。ちなみに本作は庵野監督をして最後の特撮映画とか。さらに進化した特撮の今、その魅力をフルに感じ取ることが出来ました。



それにしても何も大きなビルやセットだけでなく、家屋の洗濯物やら電柱までと細かく再現された箇所は鳥肌ものです。この細部への視座、そして意匠こそ、ひょっとすると日本人が最も得意としているモノ造りの原点なのかもしれません。



夏休みもそろそろ終わりに迫る日曜日(8/26)の観覧ということもあってか、会場内はかなり混雑していました。また入場待ちの列こそなかったものの、チケットブースでは10分ほどの待ち時間(15時頃)が発生していました。前もってオンラインで購入してしまった方が便利かもしれません。



10月8日まで開催されています。おすすめします。

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 東京都現代美術館
会期:7月10日(火) ~ 10月8日(月・祝)
休館:月曜日。但し7月16日、8月13日、20日、9月17日、24日、10月1日、8日は開館。(7月17日、9月18日は休館。)
時間:10:00~18:00
料金:一般1400円(1300円) 、中高生900円(800円)、小学生400円(300円)、小学生未満無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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