「あざみ野コンテンポラリー vol.3 ART×DANCE 2012」 横浜市民ギャラリーあざみ野

横浜市民ギャラリーあざみ野
「あざみ野コンテンポラリー vol.3 ART×DANCE 2012」
10/20-11/11



横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中の「あざみ野コンテンポラリー vol.3 ART×DANCE 2012」へ行って来ました

横浜はあざみ野発、ジャンルに捉われずに比較的若い世代のアーティストを取り上げる「あざみ野コンテンポラリー」。今回のタイトルは「ART×DANCE」、キーワードはダンスです。

絵画、写真、そしてインスタレーションとダンスを組み合わせ、そこから広がる多様な空間表現を見る仕掛けとなっていました。

参加作家は以下の通りです。(インタビュー:youtube動画

亀井佑子(1979~)
山下残(1970~)
佐々木愛(1976~)
酒井幸菜(1985~)
梅田宏明(1977~)


さて順路からしてトップバッターは亀井佑子、15点ほどの写真が展示されています。

元々、大学でダンスを学んでいた彼女は、今の時代の「テンポラリーな状況をかたちとして収める」(解説冊子より引用。一部改変。)ため、カメラを片手にまた新たな表現を行うようになりました。


亀井佑子「To Infinity and Beyond」2012年 ゼラチン・シルバー・プリント 他

モチーフとして選ばれたのは、何気ない都市空間です。


亀井佑子「in the grid」2008年 ゼラチン・シルバー・プリント 他

「in the grid」では、都市に無数に現れる直角や並行といった幾何学的構造に、動きによって直線を強調した身体を介在させています。

そして介在といえば、まさにこの展示室で撮られた最新作の「To Infinity and Beyond」も同様。いうまでもなく展示台の上でポーズを取っているのは彼女の姿に他なりません。

またよく見ると手にはカメラのスイッチも。写すということが、より身体性を強く伴う行為へと転化されていました。

続いては白く覆われたステージのあるスペース、佐々木愛と酒井幸菜の展示です。


佐々木愛「振付けのことばのための絵」2012年 紙、アクリル、色鉛筆、パステル

ここで面白いのが彼女の制作プロセス、実はダンサーの酒井とペインターの佐々木が共に作品を交換し合い、そこから着想を得たイメージを新作に表しています。

ずらりと並ぶペインティングは酒井の「振付けの言葉」を受けて描かれたもの。舞台を制作のアイデアやイメージを書き留めた言葉が、絵画という平面表現へ、しかも別の制作者を通して置き換えられるのです。


佐々木愛「Time to Live」2010-2012年 ペインティングのスライドプロジェクション

一方で酒井のダンスは佐々木のスライド作品、「Time to Live」にインスピレーションを受けて制作されたもの。佐々木はオーストラリアの砂漠で見たという枯木が言わば土に帰らず、ただ朽ちている姿に衝撃を受け、このスライド作品を制作しました。

その前で披露されたのが酒井のダンス、「光る森、青い樹」です。実は私は彼女のパフォーマンスが行われる時間に合わせて展示を見ましたが、白く静寂の空間に差し込む青白い光の中、枯木を手にしながらまるで神託を受けて舞う巫女のような姿。その美しさと緊張感に、思わずうっとりとさせれてしまいました。

なお彼女のダンスを見られるチャンスはあと一回、会期末前日の11月10日(土)の14時から。また山下残のパフォーマンスも随時行われていますが、ともかくそうした機会に合わせて展示をご覧になるよう強くおすすめします。

さて二階へ上がりましょう。ここでは最近、映像インスタレーションの分野でも作品を発表している梅田宏明と、振付家として舞台でも活躍する山下残の展示が。


梅田宏明「split flow」2011年 レーザーインスタレーション

暗室の床面に照射されたレーザービーム、これぞ「動かないと見えない光」をテーマにした「split flow」です。


梅田宏明「split flow」 (ご一緒した@butainunana2さんに踊っていただきました。)

ここでは我らもダンサー、光を浴びながら身体を動かしてみましょう。すると真っ暗闇だったはずの空間へ俄かに光、つまりは手足の動きに当っては反射する光の軌跡が現れます。

ラストの山下残はそのステージからして壮大、何と展示室を横切るのは、本物の鉄道のレールではありませんか。


山下残「大行進」2012年 ステージ *美術:カミイケタクヤ「訪れる列車」

これは美術家のカミイケタクヤにより、「海に沈んだ世界」を表したものだそうですが、レールしかり、朽ちた小屋に転がる材木、そしておもむろに現れる動物の人形など、幻想的とも言える世界には思わず息をのんでしまいます。


山下残「大行進」2012年 ステージ *美術:カミイケタクヤ「訪れる列車」

山下はこのインスタレーションを舞台に会期中、ほぼ連日、パフォーマンスを行っています。

最終日までのスケジュールは今日を含めると残り5回、7日(水)~9日(金)、そして11日(日)です。(いずれも15時スタート。) 一体ここで如何なるステージが繰り広げられるのか、何とか見に行ければと思いました。

入場料は300円ですが、ミューポンを利用すると100円引になります。iPhoneのお持ち方はお忘れなく!

[山下残ダンスパフォーマンス]
日程:10月20日(土)、21日(日)、23日(火)~26日(金)、29日(月)~31日(水)。11月2日(金)、3日(土)、5日(月)~9日(金)、11日(日)
時間:15:00~15:30
出演:山下残
美術:カミイケタクヤ
会場:展示室2

[酒井幸菜ダンスパフォーマンス]
日程:10月20日(土)、27日(土)、28日(日)、11月4日(日)、10日(土)
時間:14:00~14:30
出演:酒井幸菜
会場:展示室1

*いずれも事前申込不要、参加無料。(ただし当時のみ有効の本展チケットが必要。)



11月11日まで開催されています。

「あざみ野コンテンポラリーvol.2 Viewpoints いま『描く』ということ」 横浜市民ギャラリーあざみ野@artazamino
会期:10月20日(土)~11月11日(日)
休館:10/22(月)
時間:10:00~18:00 *11月1日(木)は20:30まで開館
料金:一般300円。高校生以下無料。
 *10月21日(日)は「アートフォーラム・フェスティバル2012」開催につき無料。
住所:横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内
交通:東急田園都市線あざみ野駅東口徒歩5分、横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野駅1番出口徒歩5分。
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