「手の痕跡」 国立西洋美術館

国立西洋美術館
「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」
2012/11/3-2013/1/27



国立西洋美術館で開催中の「手の痕跡」展へ行ってきました。

西美の彫刻コレクションの中核であるロダン。常設でもお馴染みなだけに、単純に作品を見る機会は多いと言っても差し支えありません。

しかしながらスペースの都合もあるのか、日常的にはコレクションのごく一部のみの展示。意外とまとまって楽しめることはありませんでした。


「手の痕跡」展示室風景

まさにロダンファン待望の展覧会です。西美のロダン、及びブールデルの彫刻、素描、版画が一挙90点も公開。常設ではなく、企画展示室の空間を用い、ロダン、ブルーデル彫刻の諸相を見る仕掛けとなっていました。

構成は以下の通りです。

第1章 「古代彫刻やルネサンス彫刻からの影響」
第2章 「肖像・頭部彫刻」
第3章 「人体の動勢表現」
第4章 「記念像制作」
第5章 「素描と版画」


さて展示は一部を除き、全て西美の所蔵。よって常設同様、写真の撮影が可能です。というわけで以下、簡単に会場の様子を写真とともにご紹介します。


オギュスト・ロダン「青銅時代」1877年 ブロンズ 松方コレクション

はじめはロダンの「青銅時代」(1877)から。1875年からのイタリア旅行で目にしたミケランジェロの作品に刺激を受け、制作されたといわれる作品です。


オーギュスト・ロダン「アンリ・ロシュフォールの胸像」1884年 ブロンズ 松方コレクション

また時代を下って「アンリ・ロシュフォールの胸像」(1884年)も。他方面で交流のあったロダンですが、そのうちの一人、美術批評家であるロシュフォールを象ったものです。まさにモデルの人格性を強く感じる迫力ある作品、後に頭部を少し前に出すことで、より知的な表情を追求したというエピソードでも知られていました。


オーギュスト・ロダン「ネレイスたち」1887年 ブロンズ 松方コレクション

ところで展示を観覧した日は11月の「FAN DAY」、無料開放日。展覧会を楽しむための様々なプログラムが開催されていましたが、うち特に面白かったのが「びじゅつーる」と呼ばれる人形です。


オーギュスト・ロダン「エヴァ」1881年 ブロンズ 東京国立博物館

実に簡単な布製の人形ですが、これが実に器用。手足の関節だけでなく、頭部なども動かすことが可能。彫刻と同じポーズをとらせることにより、ロダンの造形美術を体感的に知ることが出来るという優れものでした。


オーギュスト・ロダン「接吻」1882-87年頃 ブロンズ 松方コレクション

ご覧の通り「びじゅつーる」での彫刻鑑賞。時に官能性に満ちあふれ、激しい動きをするロダンの彫刻、「びじゅつーる」で追いかけても、言わばアクロバットな動的表現がいかに特異かということがよく分かりました。


第5章「素描と版画」展示室風景

もちろん会場では彫刻以外に素描などもあわせて展示。


「彫刻の魅力を探る」展示室風景

また階下、B3の企画展示室では、芸大との協力により「Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る」というミニ企画も。


「彫刻の魅力を探る」展示室風景

彫刻の技法、素材、道具などが分かりやすく紹介されていました。

残念ながら「びじゅつーる」は期間限定、「FAN DAY」のみでの貸出でしたが、今後は常設でも手軽に利用出来ればと思いました。


オーギュスト・ロダン「国の護り(武器をとれ)」1879年 ブロンズ 松方コレクション

2013年1月27日まで開催されています。

「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」 国立西洋美術館
会期:2012年11月3日(土・祝)~2013年1月27日(日)
休館:月曜日。但し12月24日、1月14日は開館。(12月25日、1月15日は休館。)年末年始(12/28~1/1)。
時間:9:30~17:30 *毎週金曜日は20時まで開館。
料金:一般800(600)円、大学生400(200)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成電鉄京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )