都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「さわひらき展 Whirl」 神奈川県民ホールギャラリー
神奈川県民ホールギャラリー
「さわひらき展 Whirl」
10/23-11/24(会期終了)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/f5/4cf1d3fe5a853e9bb933761117bb4984.png)
神奈川県民ホールギャラリーで開催された「さわひらき展 Whirl」へ行ってきました。
私が現代美術に接した頃から好きなアーティストの一人であったさわひらき。これまでも都内のギャラリーの他、美術館のグループ展など、作品を何度か追っかけてきたつもりでした。
しかしながら今回ほどのスケールの個展に接したのは初めてです。神奈川県民ホールギャラリーの広々としたスペースには大小様々、2000年代半ばから最新の映像作品が、まさに散りばめられるようにして展示されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b7/5fdf7ad0609808b8ab7c22cf34edbb0d.jpg)
「Out of the Blue」(2008)
ともかく前々からチェックしていたこともあり、早々に出向くつもりでしたが、なぜか会期末、最終日の観覧になってしまいました。よって展示は既に終了。というわけで写真メインで簡単に展示の様子を記録しておきたいと思います。(会場内は写真撮影が可能でした。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/9e/8000d800f710c4266843af6663f0fbe3.jpg)
「airliner」(2003)
まずは順を追って第1展示室の「airliner」(2003)から。お馴染みの小さな飛行機の舞う映像作品、大きなスクリーンでの展開かと思いきや、小さなディスプレイ。そっと寄り添っての鑑賞です。この何か小さな玉手箱を愛でているような感覚、さわひらきの映像の一つの醍醐味かもしれません。
ちなみに玉手箱と言えば地下、ロビー、ガラス越しに外の階段も映るスペースでの「For SAYA」(2010)も同様です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/bc/c0ebabaa9b521031c46d98222a0a2135.jpg)
「For SAYA」(2010)
窓辺、しかも床へ直置きされた極小のディスプレイには、ひたすらに、それでいて軽やかに飛び跳ねる女性のシルエットの姿が。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/31/32852311db5ed92a04ed2784a8844c60.jpg)
「Souvenir study 1」(2012)
初めにも触れたように県民ホールギャラリーというと、ともかく広いスペースという印象があったので、そこへあえてこうした小さな作品を介入させていくセンスにも感心させられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/a4/4e48a0113487468690f905e95191fd7c.jpg)
「Going Places Sitting Down」(2004)
とは言え、大作も充実しているのもまたポイントかと。地下では大きな三面スクリーンを用いての「Going Places Sitting Down」(2004)が展開。極めて親密感のある室内空間、その中を木馬たちが緩やかに、また限りなく静かに移動。夢なのか現実なのか、その間の曖昧でかつ奇妙な感覚。スクリーンの異界へ吸い込まれるように見入ってしまいました。
ハイライトは最も広い700平米のスペースを有する、同ギャラリーでもとりわけ個性的な第5展示室での「Hako」(2007)に他なりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/40/e76c1389e6be97645ee209f4f6625d00.jpg)
「Hako」(2007)
独立した大型の6面スクリーンによる「Hako」は、2008年の国立新美術館での「アーティストファイル」にも展示されたもの。さわはそれを新たに一部組み替え、スペースを活かしきった、よりスケール感のある内容へと深化させました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/01/cbeb0e268f776600cf10da6ed3b01703.jpg)
「Hako」(2007)
入口から進んでまず印象的なのは、殆どのスクリーンが後ろを向いていること。暗がりの空間の中へ中へと入り、振り返ることで、初めて映像が開けてくるという仕掛けです。
またスクリーンを一度に全て俯瞰して見るのはほぼ不可能。海、神社、家屋、そして花火に、リアルな時間を刻む古時計。それらのイメージが断片的に、しかしながらどこか連環するかのように次々と映し出されていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/8d/d5b57e13202afc606405587aea69f5eb.jpg)
「Hako」(2007)
ちなみに先ほど深化と記したのにはもちろん理由が。実は階段を上がっての2階にもう一つの映像が追加で設置され、それが1階の6面スクリーンと相対する関係になっています。
さわひらき Whirl
それにしても映し出される原発建屋の何とも言い難い存在感。本作はかの3.11の前に制作された作品ですが、あの災害を経由すると、また印象は大きく異なって来るのではないでしょうか。
ちなみに一見、海面へ自然に鳥が群れているように見える光景も、実は原発の冷却水の放出による波しぶきです。それは海水温と比べて高いために魚が集結、だからこそ映像にもあるように餌を狙った鳥たちが集まるとのことでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/5e/504b1c879c8fed7738d4bc7ece5f8e62.jpg)
「Souvenir study 2」(2012)
限定300部の図録、既に在庫僅少でしたが、何とか駆け込みで購入しました。私にとって夢を喚起させ、現実とは何かを終始考えさせられるさわひらきの映像作品。このスケールでの展示に接することが出来て感無量でした。
展示は終了しました。
「さわひらき展 Whirl」 神奈川県民ホールギャラリー(@kanaken_gallery)
会期:10月23日(火)~11月24日(土)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00 *10/27、11/3、10、17、24の土曜日は19時まで。
料金:一般700円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
*10名以上の団体は100円引。
住所:横浜市中区山下町3‐1
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約6分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。横浜市営地下鉄関内1番出口より徒歩約15分。
「さわひらき展 Whirl」
10/23-11/24(会期終了)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/f5/4cf1d3fe5a853e9bb933761117bb4984.png)
神奈川県民ホールギャラリーで開催された「さわひらき展 Whirl」へ行ってきました。
私が現代美術に接した頃から好きなアーティストの一人であったさわひらき。これまでも都内のギャラリーの他、美術館のグループ展など、作品を何度か追っかけてきたつもりでした。
しかしながら今回ほどのスケールの個展に接したのは初めてです。神奈川県民ホールギャラリーの広々としたスペースには大小様々、2000年代半ばから最新の映像作品が、まさに散りばめられるようにして展示されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b7/5fdf7ad0609808b8ab7c22cf34edbb0d.jpg)
「Out of the Blue」(2008)
ともかく前々からチェックしていたこともあり、早々に出向くつもりでしたが、なぜか会期末、最終日の観覧になってしまいました。よって展示は既に終了。というわけで写真メインで簡単に展示の様子を記録しておきたいと思います。(会場内は写真撮影が可能でした。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/9e/8000d800f710c4266843af6663f0fbe3.jpg)
「airliner」(2003)
まずは順を追って第1展示室の「airliner」(2003)から。お馴染みの小さな飛行機の舞う映像作品、大きなスクリーンでの展開かと思いきや、小さなディスプレイ。そっと寄り添っての鑑賞です。この何か小さな玉手箱を愛でているような感覚、さわひらきの映像の一つの醍醐味かもしれません。
ちなみに玉手箱と言えば地下、ロビー、ガラス越しに外の階段も映るスペースでの「For SAYA」(2010)も同様です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/bc/c0ebabaa9b521031c46d98222a0a2135.jpg)
「For SAYA」(2010)
窓辺、しかも床へ直置きされた極小のディスプレイには、ひたすらに、それでいて軽やかに飛び跳ねる女性のシルエットの姿が。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/31/32852311db5ed92a04ed2784a8844c60.jpg)
「Souvenir study 1」(2012)
初めにも触れたように県民ホールギャラリーというと、ともかく広いスペースという印象があったので、そこへあえてこうした小さな作品を介入させていくセンスにも感心させられました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/a4/4e48a0113487468690f905e95191fd7c.jpg)
「Going Places Sitting Down」(2004)
とは言え、大作も充実しているのもまたポイントかと。地下では大きな三面スクリーンを用いての「Going Places Sitting Down」(2004)が展開。極めて親密感のある室内空間、その中を木馬たちが緩やかに、また限りなく静かに移動。夢なのか現実なのか、その間の曖昧でかつ奇妙な感覚。スクリーンの異界へ吸い込まれるように見入ってしまいました。
ハイライトは最も広い700平米のスペースを有する、同ギャラリーでもとりわけ個性的な第5展示室での「Hako」(2007)に他なりません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/40/e76c1389e6be97645ee209f4f6625d00.jpg)
「Hako」(2007)
独立した大型の6面スクリーンによる「Hako」は、2008年の国立新美術館での「アーティストファイル」にも展示されたもの。さわはそれを新たに一部組み替え、スペースを活かしきった、よりスケール感のある内容へと深化させました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/01/cbeb0e268f776600cf10da6ed3b01703.jpg)
「Hako」(2007)
入口から進んでまず印象的なのは、殆どのスクリーンが後ろを向いていること。暗がりの空間の中へ中へと入り、振り返ることで、初めて映像が開けてくるという仕掛けです。
またスクリーンを一度に全て俯瞰して見るのはほぼ不可能。海、神社、家屋、そして花火に、リアルな時間を刻む古時計。それらのイメージが断片的に、しかしながらどこか連環するかのように次々と映し出されていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/8d/d5b57e13202afc606405587aea69f5eb.jpg)
「Hako」(2007)
ちなみに先ほど深化と記したのにはもちろん理由が。実は階段を上がっての2階にもう一つの映像が追加で設置され、それが1階の6面スクリーンと相対する関係になっています。
さわひらき Whirl
それにしても映し出される原発建屋の何とも言い難い存在感。本作はかの3.11の前に制作された作品ですが、あの災害を経由すると、また印象は大きく異なって来るのではないでしょうか。
ちなみに一見、海面へ自然に鳥が群れているように見える光景も、実は原発の冷却水の放出による波しぶきです。それは海水温と比べて高いために魚が集結、だからこそ映像にもあるように餌を狙った鳥たちが集まるとのことでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/5e/504b1c879c8fed7738d4bc7ece5f8e62.jpg)
「Souvenir study 2」(2012)
限定300部の図録、既に在庫僅少でしたが、何とか駆け込みで購入しました。私にとって夢を喚起させ、現実とは何かを終始考えさせられるさわひらきの映像作品。このスケールでの展示に接することが出来て感無量でした。
展示は終了しました。
「さわひらき展 Whirl」 神奈川県民ホールギャラリー(@kanaken_gallery)
会期:10月23日(火)~11月24日(土)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00 *10/27、11/3、10、17、24の土曜日は19時まで。
料金:一般700円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
*10名以上の団体は100円引。
住所:横浜市中区山下町3‐1
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約6分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。横浜市営地下鉄関内1番出口より徒歩約15分。
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