「梅佳代展」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
「梅佳代展」 
4/13-6/23



東京オペラシティアートギャラリーで開催中の梅佳代展へ行ってきました。

1981年に石川県で生まれ、2002年に日本写真映像専門学校を卒業。以降、写真集を発表しつつ、2007年には「うめめ」にて木村伊兵衛賞を受賞。「いま若手のなかで最も熱く、幅広い層の視点を浴びる写真家」(チラシより引用)である梅佳代。大変失礼ながらスナップで人気の方という程度の認識しかなかった私。率直なところ、事前にあまり思うところなく会場へ出かけました。

そして展示と作品を見てどうだったのか。端的に申し上げるとその魅力にぞっこん。まさかこれほど日常の一瞬間を巧みにまた楽しく切り取った写真があるとは思いもよりません。

パワー全開。笑あり涙ありの梅佳代の作品の前には私の言葉など無力。ともかく実際の展示をご覧になっていただきたいところですが、彼女の目を通した世の中の風景。どこにでもありそうな日常の中のちょっとしたハプニング。それが全く気取らない形でカメラに収められています。

とはいえそれは決して構図なりが鮮やかに決まった、言わばカルティエ=ブレッソン風の決定的瞬間ではないのもポイント。あくまでもあるのは緩やかな、それでいてささやかな幸せに満ちた日常。一見、有りがちな展開の中で立ち止まってみると、ちょっとしたハプニングが。それが思わずえっと声を出してしまうような違和感を呼び、次に笑いを誘う。しかもハプニングは必ずしも説明的ではなく断片的。そこに見る側の想像力の働く余地があるのです。

とりわけ展示の初めと最後を飾る「シャッターチャンス」には彼女の動物的なまでの素早い視点が。路上に公園にイベント会場に電車内にと様々な舞台でちょっと事件が起こっています。

また舞台と言えば梅佳代の作品。被写体となる人物がまるで役者のように演じていることも興味深いところ。もちろん厳密に言えば決して演じているわけではありませんが、そう思わせるほどに人物は生き生きと。そもそもポーズを構える「女子中学生」や「男子」だけでなく、他のスナップでも演じているように見えます。そしてこれは人間だけでなく動物にも当てはまるのです。

「男子/梅佳代/リトルモア」

そして被写体との深い親密感も魅力ではないかと。梅佳代は例えば公園であろうが、どこかその場にグイグイと闖入し介在しようとすべくカメラを向けます。

「うめめ/梅佳代/リトルモア」

こんなに明るくて楽しくて、それでいて完全に天真爛漫というわけではなく、ちょっぴり斜めの視点もある梅佳代の写真。実は二度行きましたが、その都度圧倒され、笑い、さらに力を与えられました。


内覧会時にご挨拶される梅佳代さん

6月23日までの開催です。これはおすすめします。

「梅佳代展」 東京オペラシティアートギャラリー
会期:4月13日(土)~6月23日(日)
休館:月曜日。祝日の場合は翌火曜日、但し4月30日(火)は開館。
時間:11:00~19:00 *金・土は20時まで開館。最終入場は閉館30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大・高生800(600)円、中・小生600(400)円。
 *( )内は15名以上の団体料金。土・日・祝は小中学生無料。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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