「ヴォルフガング・ライプ展」 ケンジタキギャラリー東京

ケンジタキギャラリー東京
「ヴォルフガング・ライプ展」 
10/24-12/12



ケンジタキギャラリー東京で開催中の「ヴォルフガング・ライプ展」を見て来ました。

花粉や米、蜜蝋などを素材にインスタレーションを展開するドイツ人アーティスト、ヴォルフガング・ライプ。ドイツ国外でも多数個展を開催。日本でも2003年に東京国立近代美術館ほか、豊田市美術館などで回顧展を行いました。

そのライプの新作を用いたインスタレーション個展です。床面に広がるのは米の山、「米のインスタレーション」。ほぼ等間隔、一部を除いてサークルを描くように米が積まれています。と言っても高さは僅かです。ふっと息を吹きかけようものなら崩れてしまうかのように脆い。見方によっては水紋のようにも映ります。

その米に沿って置かれたのが黒いオブジェです。まさしく真っ黒。横長で台形状です。はじめは流木、あるいは炭化した木片を連想しました。しかしながらキャプションを見ると違うことが分かります。御影石です。タイトルは「ライス・ハウス」。米粒はさも石の周りへさざ波のように寄っています。美しい。先の米を水紋とすれば床面は海、そして御影石は島と言ったところでしょうか。枯山水のイメージとも重なり合いました。

さらに奥に目を向けると円錐形、ないしは尖塔を伴う建物のような形をした彫刻が立っています。蜜蝋です。うっすらと黄色を帯びています。ライプ自身が蝋を集めては型枠に入れて整形したもの。何やら原初的な儀式に用いる祭器を思い浮かべました。瞑想的という言葉が相応しいかもしれません。作品は素材を介して自然へも通じていました。



「ライプの作品は自然との深い関わりと、彼が東洋哲学の中に見出した純粋さと単純素朴さへの傾倒によって特徴づけられる」 *「ヴォルフガング・ライプ展」(東京国立近代美術館)カタログより。

ヴォルフガング・ライプは本年の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しました。

「2015年 第27回 彫刻部門 ヴォルフガング・ライプ」(世界文化賞)
「彫刻部門 ヴォルフガング・ライプさん 無常観に通じる命の作品」(産経ニュース)

振り返れば東京国立近代美術館での個展も10年以上も前。牛乳を用いたミルクストーンの美しさは未だ忘れることが出来ません。また大規模な展示を観る機会があればと思いました。



12月12日まで開催されています。

「ヴォルフガング・ライプ展」 ケンジタキギャラリー東京
会期:10月24日(土)~12月12日(土)
休廊:日曜・月曜・祝日
時間:12:00~19:00
料金:無料
住所:新宿区西新宿3-18-2-102
交通:京王新線初台駅より徒歩5分。
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