都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「武器をアートに」 東京藝術大学大学美術館
東京藝術大学大学美術館
「武器をアートにーモザンビークにおける平和構築」
10/17-11/23

東京藝術大学大学美術館で開催中の「武器をアートに」を見てきました。
南アフリカ東部に位置するモザンビーク共和国。1975年に独立してから内戦が勃発。終結するのに約20年かかりました。和平協定が結ばれたのは1992年です。現在では貧困の問題を抱えながらも、高い経済的発展を遂げる国の一つとして知られています。
内戦中には外国から武器が持ち込まれ、終戦後も多くが残されました。その武装解除のために行われたのが「銃を鍬に」プロジェクトです。聖書の「剣を鍬に」に由来するネーミング。当初は武器を溶かし、鉄として再利用する方針だったそうですが、溶鉱炉の不足から断念。結局、解体しては爆破処理する方法がとられました。

フィエル・ドス・サントス「首長鳥」 2008年 えひめグローバルネットワーク
うち不要になった武器をアーティストらが「美術作品」として蘇らせます。その取り組みを紹介する展覧会です。武器は時にギターやキーボードのミュージシャンとなり、首長鳥やトカゲにも変身していました。

クリストヴァオ・カニャヴァート「ギターを弾く男」 2012年 国立民族学博物館
それにしても武器によって象られた人々、何とも生き生きした表情を見せてはいないでしょうか。フルート奏者は両手で銃ならぬフルートを支えては細い指を操ります。またパンを焼く人も面白い。ちょうど釜にパンを入れる瞬間を捉えたのでしょうか。身をくねらせては皿を前に突き出す姿が表されています。

フィエル・ドス・サントス「フルートを吹く男」 2012年 国立民族学博物館 ほか
中心となるアーティストは2人、フィエル・ドス・サントスとクリストヴァオ・カニャヴァートです。ともに「銃を鍬に」プロジェクトのワークショップに参加。溶接の技術を学ぶところからスタートしました。今では様々な武器アートを展開し、世界各地のビエンナーレに出品するなどの活動をしています。

クリストヴァオ・カニャヴァート、フィエル・ドス・サントス「いのちの輪だち」 2012年 国立民族学博物館
「いのちの輪だち」と題した大きな作品に目が止まりました。中央には自転車、2人、いや良く見ると3人乗りです。家族でしょうか。後ろの女性は幼子を背負っています。横には軽やかに駆ける一匹の犬。ペットかとしれません。そして空には鳥が舞っています。長閑な日常の光景が示されています。

クリストヴァオ・カニャヴァート、フィエル・ドス・サントス「いのちの輪だち」(拡大) 2012年 国立民族学博物館
もちろんこれらも全て武器。自転車のタイヤは引き金、そして男性も銃身で出来ています。生々しい。しかもレプリカではなく、実際に使用されたもの。ともすれば人の命を奪っていたかもしれないのです。

「武器をアートに」展会場風景
会場には「銃を鍬に」プロジェクトや、モザンビークと日本の関わりについて紹介するパネルもありました。単に武器アートを作るのではなく、まさに和平構築、今も続く武装解除の試み。未だ同国には回収されていない地雷や武器も少なくありません。
解説付きのリーフレットを無料でいただけました。展示の理解も深まります。写真の撮影も出来ました。

「武器をアートに」展会場入口
民博のコレクションが目立ちますが、今年の大英博物館展(東京都美術館)にも武器アートが出品されていたのを思い出しました。モザンビーク発、武器をアートに変えては制作する人々。その活動の場は今後もさらに広がりそうです。
入場も無料です。11月23日まで開催されています。
「武器をアートにーモザンビークにおける平和構築」 東京藝術大学大学美術館
会期:10月17日(土)~11月23日(月・祝)
休館:月曜日。ただし11月23日(月)は開館。
時間:10:00~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
「武器をアートにーモザンビークにおける平和構築」
10/17-11/23

東京藝術大学大学美術館で開催中の「武器をアートに」を見てきました。
南アフリカ東部に位置するモザンビーク共和国。1975年に独立してから内戦が勃発。終結するのに約20年かかりました。和平協定が結ばれたのは1992年です。現在では貧困の問題を抱えながらも、高い経済的発展を遂げる国の一つとして知られています。
内戦中には外国から武器が持ち込まれ、終戦後も多くが残されました。その武装解除のために行われたのが「銃を鍬に」プロジェクトです。聖書の「剣を鍬に」に由来するネーミング。当初は武器を溶かし、鉄として再利用する方針だったそうですが、溶鉱炉の不足から断念。結局、解体しては爆破処理する方法がとられました。

フィエル・ドス・サントス「首長鳥」 2008年 えひめグローバルネットワーク
うち不要になった武器をアーティストらが「美術作品」として蘇らせます。その取り組みを紹介する展覧会です。武器は時にギターやキーボードのミュージシャンとなり、首長鳥やトカゲにも変身していました。

クリストヴァオ・カニャヴァート「ギターを弾く男」 2012年 国立民族学博物館
それにしても武器によって象られた人々、何とも生き生きした表情を見せてはいないでしょうか。フルート奏者は両手で銃ならぬフルートを支えては細い指を操ります。またパンを焼く人も面白い。ちょうど釜にパンを入れる瞬間を捉えたのでしょうか。身をくねらせては皿を前に突き出す姿が表されています。

フィエル・ドス・サントス「フルートを吹く男」 2012年 国立民族学博物館 ほか
中心となるアーティストは2人、フィエル・ドス・サントスとクリストヴァオ・カニャヴァートです。ともに「銃を鍬に」プロジェクトのワークショップに参加。溶接の技術を学ぶところからスタートしました。今では様々な武器アートを展開し、世界各地のビエンナーレに出品するなどの活動をしています。

クリストヴァオ・カニャヴァート、フィエル・ドス・サントス「いのちの輪だち」 2012年 国立民族学博物館
「いのちの輪だち」と題した大きな作品に目が止まりました。中央には自転車、2人、いや良く見ると3人乗りです。家族でしょうか。後ろの女性は幼子を背負っています。横には軽やかに駆ける一匹の犬。ペットかとしれません。そして空には鳥が舞っています。長閑な日常の光景が示されています。

クリストヴァオ・カニャヴァート、フィエル・ドス・サントス「いのちの輪だち」(拡大) 2012年 国立民族学博物館
もちろんこれらも全て武器。自転車のタイヤは引き金、そして男性も銃身で出来ています。生々しい。しかもレプリカではなく、実際に使用されたもの。ともすれば人の命を奪っていたかもしれないのです。

「武器をアートに」展会場風景
会場には「銃を鍬に」プロジェクトや、モザンビークと日本の関わりについて紹介するパネルもありました。単に武器アートを作るのではなく、まさに和平構築、今も続く武装解除の試み。未だ同国には回収されていない地雷や武器も少なくありません。
解説付きのリーフレットを無料でいただけました。展示の理解も深まります。写真の撮影も出来ました。

「武器をアートに」展会場入口
民博のコレクションが目立ちますが、今年の大英博物館展(東京都美術館)にも武器アートが出品されていたのを思い出しました。モザンビーク発、武器をアートに変えては制作する人々。その活動の場は今後もさらに広がりそうです。
入場も無料です。11月23日まで開催されています。
「武器をアートにーモザンビークにおける平和構築」 東京藝術大学大学美術館
会期:10月17日(土)~11月23日(月・祝)
休館:月曜日。ただし11月23日(月)は開館。
時間:10:00~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
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