「李禹煥 色のハレーション/空間のハレーション」 SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSE
「李禹煥 色のハレーション/空間のハレーション」
11/5-12/5

SCAI THE BATHHOUSEで開催中の「李禹煥 色のハレーション/空間のハレーション」を見て来ました。

「もの派」の中心的作家として知られる李禹煥。新旧作を織り交ぜた個展です。しかしながら単に新旧とは言えども、今回ほど驚かされる展示も珍しいのではないでしょうか。

というのも旧作が近作から想像も付かないほどに独特だからです。時代は約50年ほど遡ります。1968年に発表された「風景」です。今でこそ「余白の芸術」でスタイルを確立した感もある李ですが、今とは大きくかけ離れた作品を制作していました。



タイトルの「色のハレーション」が多くを物語ります。まさに目に飛び込んでくるのは色の世界です。サイズは横幅3メートル前後と大きい。全部で3点ありました。いずれも一面にオレンジ、あるいはピンク、ないしはやや赤みを帯びたピンク色が塗られています。蛍光色です。眩しい。縁の部分のみうっすらと地の白が透けているようにも見えました。絵具はスプレーで吹き付けたのでしょうか。色はキャンバスを超えて空間へと拡大、さながら湯気が立っては靄がかかるように広がっていきます。

しばらく見ていると目がちかちかしてきました。色の充満は目を浸食します。これぞハレーションということなのでしょう。まるで色がホワイトキューブという空間の「余白」を満たしているかのようでした。

なおこの「風景」シリーズは発表された後に紛失。いわば幻の作品と化していたそうです。それを今回は再制作という形で展示しています。

「風景」のほかには近作の「照応」も数点並んでいました。振り返ってみれば「風景」も「照応」もともに空間を意識させる作品ではあります。新旧作を参照することで、李の制作の根本にある何かを感じ取れるような展示と言えるかもしれません。



12月5日まで開催されています。

「李禹煥 色のハレーション/空間のハレーション」 SCAI THE BATHHOUSE
会期:11月5日(木) ~12月5日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:12:00~18:00
料金:無料
住所:台東区谷中6-1-23
交通:JR線・京成線日暮里駅南口より徒歩6分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩7分。
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