「10人のグラフィックデザイナーによる日本酒ポスター展」 松屋銀座7階デザインギャラリー1953

松屋銀座7階デザインギャラリー1953
「10人のグラフィックデザイナーによる日本酒ポスター展」
1/27~2/21



松屋銀座7階デザインギャラリー1953で開催中の「10人のグラフィックデザイナーによる日本酒ポスター展」を見てきました。

日本人の食生活に根差した日本酒。かつてに比べて生産量、消費量ともに落ちてはいるものの、近年は海外への輸出量が急増。約10年で倍増したそうです。国内の枠を超えて世界的に嗜まれるようになっています。

その日本酒のデザインといえばラベル。まさに多種多様、数え切れないほどのラベルがありますが、今回の主役はポスターです。10名のグラフィックデザイナーが日本酒のイメージをポスターに表現しました。



非常にシンボリックなポスターです。永井一正による「鶴と日本酒」。広島の賀茂鶴の例ならぬ、確かに鶴の名をつけた日本酒は少なくありませんが、それを大胆にデザインとして消化。鶴が上からまっすぐ嘴で日本酒を吸い上げる姿を描いています。

盃の赤に鶴の白。紅白です。鶴の顔が赤いのは酒を飲んで酔っているからなのでしょうか。まるでお正月を喚起させるようなおめでたいデザインでした。



酒瓶をそのまま取り込んだのが原研哉です。白い紙にて包装された姿は凛としていて美しい。一方、服部一成は日本酒を並々に注いだコップをデザインしました。バックは網の目状の方眼紙です。コップの口から日本酒が漏れています。すっと上から口をつけて吸いたくなってしまいます。



日本酒のラベルによく見られる筆文字を雨のように降らせました。松永真です。左上には赤い丸。日の丸、ないしは太陽でしょうか。そして下方には亀と波の文様が広がります。筆文字は人気の田酒や獺祭をはじめ、定番の浦霞や松竹梅に白鷹と様々です。文字は弾けるように跳ねては踊っています。筆の力、ひいては酒の力強さを感じさせるデザインでもあります。



ほかにも永井裕明、仲條正義、奥村靫正、佐藤晃一、佐藤卓、下谷二助らによるポスターがずらり。ややテイストが異なるのが奥村靫正です。コンセプトは「春の夜の花見酒」。満開の桜の下で飲むお酒ということでしょうか。桜の花びらが水面、いや酒を注いだ盃に映り込む様を表現しています。ほろ酔いの気分。確かに春を予感させます。朧げな色調もまた魅惑的でした。



なお本展は日本デザインコミッティーが「日本文化の未来資源の可能性を見据え」(キャプションより)て開催されたシリーズ展。今回で第2回目です。

今後も同テーマによる展覧会を続け、9月には「大展覧会」が予定されているそうです。そちらにも期待しましょう。
 


2月21日まで開催されています。

「第721回デザインギャラリー1953企画展 伝統の未来02 日本酒『10人のグラフィックデザイナーによる日本酒ポスター展』」 松屋銀座7階デザインギャラリー1953
会期:1月27日(水)~2月21日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~20:00。最終日は17時閉場。
料金:無料。
住所:中央区銀座3-6-1
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅A12番出口直結。都営地下鉄浅草線東銀座駅A8番出口より徒歩3分。JR線有楽町駅より徒歩8分。
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