「東京の鉄道史ー鉄道が築いた都市、東京」 東京都立中央図書館

東京都立中央図書館企画展示室
「東京の鉄道史ー鉄道が築いた都市、東京」 
1/30~3/21



東京都立中央図書館企画展示室で開催中の「東京の鉄道史ー鉄道が築いた都市、東京」を見てきました。

明治以来、都市の拡大とともに発展してきた東京の鉄道。その変遷は意外と知られていないかもしれません。

前半は「東京の鉄道史」です。時代区分は6つ。全てのはじまりは明治5年、新橋~横浜の間に開通した鉄道でした。さらに明治15年、レール上の車を2頭の馬が引く馬車鉄道が新橋~日本橋に開業。最盛期には車両300両を誇ったそうです。明治37年に電化されるまで都心の輸送を担いました。

以降、展示では、東京市電、地下鉄の開業など、変化を重ねる東京の鉄道史を追いかけています。昭和40年代、いわゆる輸送力増強を図った通勤5方面作戦の路線図も興味深いもの。さらに2020年のオリンピックを見据えたコーナーもあります。後半は「東京の鉄道会社」でした。東武、東急、小田急、京成、西武ほか、大手私鉄各社の歴史や概要を紹介しています。資料も、錦絵から絵葉書に写真、そして測量図や切符に地図と充実していました。

なおパネル資料のほかに書籍が参照されているのもポイントです。しかもここは図書館です。書籍はほぼ全て手にとって閲覧することが出来ます。



さて「東京の鉄道史」、こうした資料展示と並び、もう一つの目玉があります。それが「東京動脈」です。東京の地下鉄や主要路線を表した3次元路線模型。情報工学の専門家でアーティストでもある栗山貴嗣氏が制作しました。

左右だけでなはく上下にも広がる地下鉄の路線網。写真では判然としないかもしれませんが、一番手前の水色のチューブがゆりかもめ。ぐるりと一周、緑色にのびるチューブが山手線です。実際の路線のカラーと呼応しています。左手上方、オレンジ色と黄色のチューブが交差している地点があります。そこが新宿でした。



少し屈んで横から眺めてみました。すると地下鉄の上下の位置関係が分かります。手前で低い位置にのびる青のチューブがりんかい線。濃いピンク色のチューブは大江戸線です。右へ左へとくねくね曲がりながら同じく相当低い位置に走っています。考えてみれば長いエスカレーターの続く六本木駅しかり、大江戸線はいずれも地上から深い場所にあります。



一方でオレンジの銀座線や薄いピンクの浅草線は高い位置にありました。また銀座線は右手の終点で一気に地下から地上へと駆けあがります。渋谷です。古くに開業した路線が浅く、新たに開業した路線ほど深い。このように普段見ることの叶わないJRや地下鉄の高低差が視覚化されているわけです。

東京動脈 2015


チューブの中には色水が流れています。まさしく動脈です。ところどころに気泡が生じては動いていました。まるで電車が走っているかのようです。網の目状に広がる東京の路線網の3次元的再現。普段利用する乗り換え駅や路線を確認しながら、思わず時間を忘れて見入ってしまいました。



ほか鉄道スタンプラリーも実施。図書館内に点在する6つのスタンプを押し、アンケートに記入すると、三代広重の「八ツ山下海岸蒸気車鉄道之図」をプリントしたビニール製のパスケースをもらえました。



入場は無料です。3月21日まで開催されています。

「東京の鉄道史ー鉄道が築いた都市、東京」 東京都立中央図書館企画展示室
会期:1月30日(土)~3月21日(月・祝)
休廊:2月4日(木)、2月21日(日)、3月3日(木)、3月18日(金)
時間:10:00~17:30。毎週金曜日は20時まで。
料金:無料
住所:港区南麻布5-7-13 (有栖川宮記念公園内)
交通:東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口から徒歩8分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )