都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「森山大道写真展」 東京芸術劇場ギャラリー
東京芸術劇場ギャラリー1
「森山大道写真展」
1/23~2/20
東京芸術劇場ギャラリー1で開催中の「森山大道写真展」を見てきました。
日本を代表する写真家として活動する森山大道。仕事場は意外にも池袋にあるそうです。
出品シリーズは3作。1980年代の森山が新境地を開いた「光と影」を起点に、シルクスクリーンの「網目の世界」、そして近年に新宿や池袋などを捉えたカラーの「通過者の視線」が展示されています。
「光と影」はいずれもモノクローム。舞台は街角に潜む何気ない日常です。ジーンズに車のヘッドライト、そして丸々実ったキャベツに朽ちて花を落としたヒマワリ。さらに路地を立ち入ってはゴミバケツなども写しています。ピントはブレず、輝かしき光と反面の影の深さが際立ちます。ざらりとした感触こそが森山写真に特徴的な「アレ」なのでしょうか。動きのある構図も面白い。ロードムービーを見ているかのような感覚に襲われました。
「網目の世界」は印刷物を拡大して出来る網目のイメージを表現したものです。作品ははじめにも触れたようにシルクスクリーン。キャンバス地でしょうか。布を張った板にインクを刷って表現しています。
より粒子の浮き上がる質感。影の一部はドットに還元されています。そこだけ切り取れば抽象表現のようです。キャンベル缶が並び、古いバイクが捉えられ、タバコをくわえた人物がいました。そして車中から見たトンネル内の道路。疾走感も伝わってきます。作品の背景、つまり壁面にたくさんの「眼」が張られていました。こちらを覗き込む眼。見るよりも見られているような錯覚にとらわれます。
ラストは「通過者の視線」。デジタルカメラで2010年前後の東京を写した連作です。出力はインクジェット。新宿に渋谷、そしてここ池袋を舞台にした作品もあります。それにしても通過者とは言い得て妙です。チラシに「路上をうろついている」という言葉がありましたが、まさにあちらこちらでうろつく森山が街で起こる様々な出来事を捉えています。フェンスで囲まれた喫煙所に集う人。昼時でしょうか。はたまた金髪の女性のうなじ。艶やかな後ろ姿です。さらにアスファルトの上を歩く一羽のカラス。ひょこひょこと首を捻らせています。奇妙なまでに可愛らしい。街の猥雑さと活気とどことない悲哀を巧みに剥ぎ取っています。
会場の東京芸術劇場ギャラリーは同劇場の5階。大ホール入口横のスペースです。がらんと一室のみです。必ずしも密度の濃い展示とは言えないかもしれません。
「記録 MOVIE in LONDON 森山大道/PLEXUS」
ただそれでも新旧作を交えた森山の世界を堪能出来る内容ではあります。また写真に加え、2012年のロンドンでの製作に取材した「記録」なる映像も展示されています。こちらは全45分超のロングバージョン。森山が一枚一枚、写真の色や照度などに細かに指示を出しては作品を練り上げる姿などが映されています。あわせて楽しめました。
「BRUTUS」最新号(2/15発売)が森山大道特集でした。これから読んでみたいと思います。
「BRUTUS 2016年3月1日号/森山大道と作る写真特集/マガジンハウス」
「足元」にも目を向けて観覧下さい。2月20日まで開催されています。
「森山大道写真展」(@DaidoMoriyamaPE) 東京芸術劇場ギャラリー1
会期:1月23日 (土) ~2月20日 (土)
休館:2月15日(月)
時間:11:00~19:00
*土日は10時開館。最終日は15時まで。
料金:一般600円、中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
場所:豊島区西池袋1-8-1 東京芸術劇場5階
交通:JR線・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線池袋駅西口より徒歩5分。駅地下通路2b出口と直結。
「森山大道写真展」
1/23~2/20
東京芸術劇場ギャラリー1で開催中の「森山大道写真展」を見てきました。
日本を代表する写真家として活動する森山大道。仕事場は意外にも池袋にあるそうです。
出品シリーズは3作。1980年代の森山が新境地を開いた「光と影」を起点に、シルクスクリーンの「網目の世界」、そして近年に新宿や池袋などを捉えたカラーの「通過者の視線」が展示されています。
「光と影」はいずれもモノクローム。舞台は街角に潜む何気ない日常です。ジーンズに車のヘッドライト、そして丸々実ったキャベツに朽ちて花を落としたヒマワリ。さらに路地を立ち入ってはゴミバケツなども写しています。ピントはブレず、輝かしき光と反面の影の深さが際立ちます。ざらりとした感触こそが森山写真に特徴的な「アレ」なのでしょうか。動きのある構図も面白い。ロードムービーを見ているかのような感覚に襲われました。
「網目の世界」は印刷物を拡大して出来る網目のイメージを表現したものです。作品ははじめにも触れたようにシルクスクリーン。キャンバス地でしょうか。布を張った板にインクを刷って表現しています。
より粒子の浮き上がる質感。影の一部はドットに還元されています。そこだけ切り取れば抽象表現のようです。キャンベル缶が並び、古いバイクが捉えられ、タバコをくわえた人物がいました。そして車中から見たトンネル内の道路。疾走感も伝わってきます。作品の背景、つまり壁面にたくさんの「眼」が張られていました。こちらを覗き込む眼。見るよりも見られているような錯覚にとらわれます。
ラストは「通過者の視線」。デジタルカメラで2010年前後の東京を写した連作です。出力はインクジェット。新宿に渋谷、そしてここ池袋を舞台にした作品もあります。それにしても通過者とは言い得て妙です。チラシに「路上をうろついている」という言葉がありましたが、まさにあちらこちらでうろつく森山が街で起こる様々な出来事を捉えています。フェンスで囲まれた喫煙所に集う人。昼時でしょうか。はたまた金髪の女性のうなじ。艶やかな後ろ姿です。さらにアスファルトの上を歩く一羽のカラス。ひょこひょこと首を捻らせています。奇妙なまでに可愛らしい。街の猥雑さと活気とどことない悲哀を巧みに剥ぎ取っています。
会場の東京芸術劇場ギャラリーは同劇場の5階。大ホール入口横のスペースです。がらんと一室のみです。必ずしも密度の濃い展示とは言えないかもしれません。
「記録 MOVIE in LONDON 森山大道/PLEXUS」
ただそれでも新旧作を交えた森山の世界を堪能出来る内容ではあります。また写真に加え、2012年のロンドンでの製作に取材した「記録」なる映像も展示されています。こちらは全45分超のロングバージョン。森山が一枚一枚、写真の色や照度などに細かに指示を出しては作品を練り上げる姿などが映されています。あわせて楽しめました。
「BRUTUS」最新号(2/15発売)が森山大道特集でした。これから読んでみたいと思います。
「BRUTUS 2016年3月1日号/森山大道と作る写真特集/マガジンハウス」
「足元」にも目を向けて観覧下さい。2月20日まで開催されています。
「森山大道写真展」(@DaidoMoriyamaPE) 東京芸術劇場ギャラリー1
会期:1月23日 (土) ~2月20日 (土)
休館:2月15日(月)
時間:11:00~19:00
*土日は10時開館。最終日は15時まで。
料金:一般600円、中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
場所:豊島区西池袋1-8-1 東京芸術劇場5階
交通:JR線・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線池袋駅西口より徒歩5分。駅地下通路2b出口と直結。
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