都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「雑貨展」 21_21 DESIGN SIGHT
21_21 DESIGN SIGHT
「雑貨展」
2/26~6/5
21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「雑貨展」を見てきました。
身の回りの日常に溢れているモノこと生活雑貨。あれもこれも雑貨です。雑貨、ないし雑貨と捉えるモノが一堂に会しています。
「松野屋行商」 松野屋+寺山紀彦(studio note)
いきなり目に飛び込んできたのは雑貨の山。ではなく雑貨を積んだ車でした。江戸から明治にかけて雑貨を売り歩いた行商。それを現代に置き換えて再現しています。たくさんの籠にホウキ、そしてちりとり。傘もありました。端的に現代とはいえ、こうした日用品はさほど当時と変わらないかもしれません。
そもそも雑貨とは何でしょうか。その源流を辿ろうと試みたのが「雑貨のルーツ」のコーナーでした。
「雑貨のルーツ」
キーワードは全部で15個。「工業デザイン」や「デザイナー」、それに「パッケージ」や「消費社会」に「古いもの」と幅広い。中には「バウハウス」もあります。引きつけやすいのは「雑貨店」ではないでしょうか。文字通り日用品を扱うお店です。今では工芸や服飾、さらに時に飲食スペースを提供するライフスタイルストアへと変化を遂げています。
「雑貨展の雑貨」 展覧会企画チーム
「雑貨展の雑貨」では雑貨のサンプルが展示されていました。ご覧の通りの膨大な量です。数えるのも難しい。何点あるのか想像もつきません。調理用品に器、スプーンや箸からペットボトル、醤油入れにザルから布巾、ハンガー、時計にホッチキス、あとはスコップにゴミ箱などがずらり。どこかで見たものも少なくありません。
「雑貨展の雑貨」 展覧会企画チーム
そもそもキャプションに「雑貨という言葉が指し示すものは(途中略)明文化することはできません。」ともあります。ある意味で何でもありの様相。ただ一つだけキーワードを挙げるとしたら「身の回りの品」ということかもしれません。ともかく多種多様なモノが並べられています。
人それぞれに定義しうる雑貨。それを体現したのが「12組による雑貨」でした。ここではクリエイターやインテリアデザイナーなど、各方面で活動する人物が、自らの所有する雑貨を展示。いかに雑貨が人によって異なり、また暮らしと繋っているかを知ることが出来ます。
「S/S/A/Wの再構築」 たかはしよしこ(S/S/A/W)
例えばフードデザイナーのたかはしよしこはアトリエの雑貨を並べています。もちろん食に関わるものばかり。たくさんの食器が積まれています。まるで陶器市です。他にも入れ物やたくさんのコルク栓がありました。雑貨コレクションは持ち主の個性を反映しています。
「僕の身近なMADE IN ○○○」 南貴之(alpha.co.ltd)
雑貨の出自に着目したのがクリエイティブディレクターの南貴之です。テーマはずばり「MADE IN ○○○」。文具や置物、それに土産品などでしょうか。USAやKOREAなどの国や地域別に分類しています。
「銀座八丁と雑貨」 森岡督行(森岡書店)
森岡督行は銀座を雑貨でピックアップ。時代は昭和20年代末です。中央で帯状に広がるのはかの時代の銀座の風景。古い写真帳です。その上下に雑貨を並べています。しかもいずれもが今も現存する店舗のもの。つまり脈々と銀座で受け継がれてきた商品です。雑貨が地域の歴史を物語っています。
「 」 青田真也
現代美術からのアプローチもあります。青田真也です。プラスチックボトルの表面をヤスリで削り取っています。ラベルもありません。言わば匿名、商品としての意味を失っています。だからこそタイトルも「」。カッコ内は空白です。もちろん元はおそらく衣料用洗剤であり、また漂白剤のボトルだったのでしょう。削ることでモノとしての新たな姿を提示してもいます。
「キッチュな生活雑貨パッケージ」 町田忍
驚いたのは町田忍によるパッケージコレクションです。マーブルチョコに焼売の醤油差し、そしてMINTIAやFRISK。中には爪楊枝やアイスのスプーンまでありました。これらは消耗品と呼んで差し支えないモノ。人によっては直ぐさま捨ててしまうことでしょう。しかしながら町田はそこに雑貨としての意義を見出しています。
「キッチュな生活雑貨パッケージ」 町田忍
何とこれらの品を昭和30年代から収集しているそうです。もはや「生活を記録する」(キャプションよる)ための資料と化していました。
「Hook Carpet」 WE MAKE CARPETS
吹き抜けではオランダ人アーティストトリオ、「WE MAKE CARPETS」がインスタレーションを展開。タイトルの如く一面に広がるのはカーペットです。素材はプラスチック製のフックでしょうか。実にカラフル。ありふれた日用品で作られています。
「雑貨展」会場風景
ともかく場内には意外な雑貨から時に愛おしく思えるモノまで多数。お気入りの一点を見つけるのにはさほど時間はかかりませんでした。
「雑貨展」ミュージアムショップ「雑貨店」
雑貨の「雑」とは「分類できないもの」、ないし「多様に入り混じったもの」を意味するそうです。(ともにキャプションより)雑貨の多様性と意外な可能性。その一端に触れることの出来る展覧会と言えそうです。
6月5日まで開催されています。
「雑貨展」 21_21 DESIGN SIGHT(@2121DESIGNSIGHT)
会期:2月26日(金)~6月5日(日)
休館:火曜日。但し3月15日、5月3日は開館。
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
*4月28日(木)は関連プログラム開催のため、22時まで開館延長。
料金:一般1100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。
*15名以上は各200円引。
住所:港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
交通:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅、及び東京メトロ千代田線乃木坂駅より徒歩5分。
「雑貨展」
2/26~6/5
21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「雑貨展」を見てきました。
身の回りの日常に溢れているモノこと生活雑貨。あれもこれも雑貨です。雑貨、ないし雑貨と捉えるモノが一堂に会しています。
「松野屋行商」 松野屋+寺山紀彦(studio note)
いきなり目に飛び込んできたのは雑貨の山。ではなく雑貨を積んだ車でした。江戸から明治にかけて雑貨を売り歩いた行商。それを現代に置き換えて再現しています。たくさんの籠にホウキ、そしてちりとり。傘もありました。端的に現代とはいえ、こうした日用品はさほど当時と変わらないかもしれません。
そもそも雑貨とは何でしょうか。その源流を辿ろうと試みたのが「雑貨のルーツ」のコーナーでした。
「雑貨のルーツ」
キーワードは全部で15個。「工業デザイン」や「デザイナー」、それに「パッケージ」や「消費社会」に「古いもの」と幅広い。中には「バウハウス」もあります。引きつけやすいのは「雑貨店」ではないでしょうか。文字通り日用品を扱うお店です。今では工芸や服飾、さらに時に飲食スペースを提供するライフスタイルストアへと変化を遂げています。
「雑貨展の雑貨」 展覧会企画チーム
「雑貨展の雑貨」では雑貨のサンプルが展示されていました。ご覧の通りの膨大な量です。数えるのも難しい。何点あるのか想像もつきません。調理用品に器、スプーンや箸からペットボトル、醤油入れにザルから布巾、ハンガー、時計にホッチキス、あとはスコップにゴミ箱などがずらり。どこかで見たものも少なくありません。
「雑貨展の雑貨」 展覧会企画チーム
そもそもキャプションに「雑貨という言葉が指し示すものは(途中略)明文化することはできません。」ともあります。ある意味で何でもありの様相。ただ一つだけキーワードを挙げるとしたら「身の回りの品」ということかもしれません。ともかく多種多様なモノが並べられています。
人それぞれに定義しうる雑貨。それを体現したのが「12組による雑貨」でした。ここではクリエイターやインテリアデザイナーなど、各方面で活動する人物が、自らの所有する雑貨を展示。いかに雑貨が人によって異なり、また暮らしと繋っているかを知ることが出来ます。
「S/S/A/Wの再構築」 たかはしよしこ(S/S/A/W)
例えばフードデザイナーのたかはしよしこはアトリエの雑貨を並べています。もちろん食に関わるものばかり。たくさんの食器が積まれています。まるで陶器市です。他にも入れ物やたくさんのコルク栓がありました。雑貨コレクションは持ち主の個性を反映しています。
「僕の身近なMADE IN ○○○」 南貴之(alpha.co.ltd)
雑貨の出自に着目したのがクリエイティブディレクターの南貴之です。テーマはずばり「MADE IN ○○○」。文具や置物、それに土産品などでしょうか。USAやKOREAなどの国や地域別に分類しています。
「銀座八丁と雑貨」 森岡督行(森岡書店)
森岡督行は銀座を雑貨でピックアップ。時代は昭和20年代末です。中央で帯状に広がるのはかの時代の銀座の風景。古い写真帳です。その上下に雑貨を並べています。しかもいずれもが今も現存する店舗のもの。つまり脈々と銀座で受け継がれてきた商品です。雑貨が地域の歴史を物語っています。
「 」 青田真也
現代美術からのアプローチもあります。青田真也です。プラスチックボトルの表面をヤスリで削り取っています。ラベルもありません。言わば匿名、商品としての意味を失っています。だからこそタイトルも「」。カッコ内は空白です。もちろん元はおそらく衣料用洗剤であり、また漂白剤のボトルだったのでしょう。削ることでモノとしての新たな姿を提示してもいます。
「キッチュな生活雑貨パッケージ」 町田忍
驚いたのは町田忍によるパッケージコレクションです。マーブルチョコに焼売の醤油差し、そしてMINTIAやFRISK。中には爪楊枝やアイスのスプーンまでありました。これらは消耗品と呼んで差し支えないモノ。人によっては直ぐさま捨ててしまうことでしょう。しかしながら町田はそこに雑貨としての意義を見出しています。
「キッチュな生活雑貨パッケージ」 町田忍
何とこれらの品を昭和30年代から収集しているそうです。もはや「生活を記録する」(キャプションよる)ための資料と化していました。
「Hook Carpet」 WE MAKE CARPETS
吹き抜けではオランダ人アーティストトリオ、「WE MAKE CARPETS」がインスタレーションを展開。タイトルの如く一面に広がるのはカーペットです。素材はプラスチック製のフックでしょうか。実にカラフル。ありふれた日用品で作られています。
「雑貨展」会場風景
ともかく場内には意外な雑貨から時に愛おしく思えるモノまで多数。お気入りの一点を見つけるのにはさほど時間はかかりませんでした。
「雑貨展」ミュージアムショップ「雑貨店」
雑貨の「雑」とは「分類できないもの」、ないし「多様に入り混じったもの」を意味するそうです。(ともにキャプションより)雑貨の多様性と意外な可能性。その一端に触れることの出来る展覧会と言えそうです。
6月5日まで開催されています。
「雑貨展」 21_21 DESIGN SIGHT(@2121DESIGNSIGHT)
会期:2月26日(金)~6月5日(日)
休館:火曜日。但し3月15日、5月3日は開館。
時間:11:00~19:00(入場は18:30まで)
*4月28日(木)は関連プログラム開催のため、22時まで開館延長。
料金:一般1100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。
*15名以上は各200円引。
住所:港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内
交通:都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅、及び東京メトロ千代田線乃木坂駅より徒歩5分。
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