「コーネリア・トムセン展〜Stripes and Structures II 」 加島美術

加島美術
「コーネリア・トムセン展〜Stripes and Structures II 」 
6/2~6/16



加島美術で開催中の「コーネリア・トムセン展〜Stripes and Structures II 」を見てきました。


「WS-Nr.31」 2014年

1970年に旧東ドイツのルドルシュタットに生まれ、マイセン窯の絵付師として働いたコーネリア・トムセンは、大学卒業後、画家としてデビューし、ニューヨークを拠点に活動して来ました。

そのトムセンの加島美術での2度目の個展が、「Stripes and Structures II 」で、近作を中心とした油彩画、水彩画、それに銅版を支持体にした作品が展示されていました。


「Stripes Nr.55+45+56」 2013年

トムセンの作品の特徴を端的にあげるとすれば、1にも2にもストライプにありました。ご覧のように、会場を飾るのは縦縞の絵画で、青を主に基調とした線が、実に密に引かれていました。線の太さは一定ではなく、まちまちで、よく見ると中には塗り残しの白、すなわち余白が用いられていることも分かりました。


「Stripes Nr.55+45+56」(部分) 2013年

一見、極めてミニマルで、無機質に映るかもしれませんが、線には極めて細微な揺らぎもあり、特に水彩に至っては、隣り合う色が混じっては、滲み出ているような箇所もありました。実際にトムセンは線を引く際、手を固定する自作の器具こそ用いるものの、全て自らの手で描いているそうです。


「Stripes Nr.41」 2012年

トムセンが作品に表現したのは、「自然や人為によって構築された景観」(解説より)でした。中でも最も海をモチーフとしていて、青は海から抽出した色だと語っていました。言い換えれば、海の青はトムセンの手を介して、抽象世界へと落とし込まれました。


「Stripes Nr.132」 2018年

「私は自身が触れてきた自然世界をそのまま描くのではなく、喚起しようとしているのです。」 コーネリア・トムセン

近年は、さらに多様な色を取り込んでいて、銅版の油彩画にも挑戦しています。そこでも塗り残しを用い、銅の色彩を作品に表していました。


「Stripes Nr.132」 2018年 ほか

色自体は濃く、強いものの、思いの外に薄塗りなのか、表面はほぼフラットと言っても差し支えありません。絵具の質感云々よりも、色の生むリズミカルなパターンに魅せられました。



マイセンの絵付師から画家へ転身し、自然を抽象に表現したコーネリア・トムセン。和室空間にも作品は良く映えて見えました。


会期中無休です。6月16日まで開催されています。

「コーネリア・トムセン展〜Stripes and Structures II 」 加島美術@Kashima_Arts
会期:6月2日(土)~6月16日(土)
休館:会期中無休。
時間:10:00~18:00
料金:無料。
住所:中央区京橋3-3-2
交通:東京メトロ銀座線京橋駅出口3より徒歩1分。地下鉄有楽町線銀座一丁目駅出口7より徒歩2分。JR線東京駅八重洲南口より徒歩6分。
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