「宮永愛子展 life」 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー
「宮永愛子展 life」 
6/20〜7/21



ミヅマアートギャラリーで開催中の「宮永愛子展 life」を見てきました。

京都に生まれ、東京藝術大学を卒業後、「shiseido art egg」や「京都芸術センター2008」に入選し、2013年には「日産アートアワード」にてグランプリを受賞した宮永愛子は、これまでにもナフタリンや塩を用いたオブジェやインスタレーションを数多く手がけてきました。



冒頭、トランクに収められたのが、ナフタリンによって作られた双眼鏡、「life-suitcase」でした。その向こうには、透明な絵画が浮かぶ「life」が展開していました。また、壁面にも同様にフレームが点在していて、まるで透明な絵画が宙を舞っているかのようでした。



一枚一枚の絵画には、日々の景色を写しながら封入した、気泡が広がっていました。その合間を縫うように歩いていると、そもそも絵画なのか、立体であるのか、曖昧にも感じられました。

「どこかの風景や誰かの面影、過ごした時間と感情に思いを馳せる瞬間は、私たちがいつしか鑑賞者の立場から、透明のキャンバスに情景を投影し描く創作者へと変わる瞬間でもあります。」(解説より)



その絵画の反対側には、1つのイーゼルがあり、同じく気泡の封入された絵画が立てかけられていました。「みちかけの透き間ー肖像」と題した作品で、昨秋、大原美術館に向かい合う有隣荘で行われた個展の名がつけられていました。美術館所蔵の肖像画を型取り、日々の空気を入れたもので、まさに透明の肖像画とも言えるかもしれません。キャプションには「大原孫三郎の肖像画」との記載もありました。



ほかにも「文明の歴史」なる本のかたちにガラスを満たした「lens」や、フレスコ紙にドローイングを施した「はじまりの景色」なども展示されていました。



うち「はじまりの景色」は、作家自身が目にし、制作の源泉となった作品でした。なおフレスコ紙にはゆっくりとインクが浸透するため、色合いは徐々に深みを増していくのだそうです。ここでもナフタリンなどの作品と同様、時間の移ろいも重要なモチーフとなっているのかもしれません。

「作品を目の前にして、私たちは作品を見ているのではなくて、作品から世界を見渡してい るのだと思う。この自然の在りようも、私達人間の生き方も。それからここから宇宙のことも。」(宮永愛子。ギャラリーサイトより)


ミヅマアートギャラリーでは実に5年ぶりの個展でもあります。7月21日まで開催されています。

「宮永愛子展 life」 ミヅマアートギャラリー@MizumaGallery
会期:6月20日(水)~7月21日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
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