海北友松「宮女琴棋書画図屏風」 東京国立博物館

東京国立博物館・本館7室
海北友松「宮女琴棋書画図屏風」
7/3~8/5

東京国立博物館・本館7室で公開中の、海北友松の「宮女琴棋書画図屏風」を見てきました。

「四芸」と称され、文人に嗜みとして重んじられた「琴棋書画」は、様々な絵師により絵画に描かれ、海北友松もいくつかの作品を残しました。



その中でも異色とも言えるのが、「宮女琴棋書画図屏風」で、通常、男性の文人で表される人の姿を、中国の官女の姿に換えて描きました。



両隻ともに舞台は山間の湖畔で、色彩の豊かな衣装を纏った女性が、画を眺めていたりする様子を見ることが出来ました。その右手で3人の女性が画を広げているのは、まさに「画」で、足元の岩場に隠れるような囲碁盤によって、「棋」が示されていました。



一方の左隻では、中央の樹に寄り掛かかる女性が文を読んでいて、机の上に積まれた書籍と同じく、「書」を表していました。そして、童子の持つ楽器により、「琴」の場面を表現していました。また、文を読む女性の表情がどこか艶やかでもあることから、おそらくは恋文を手にしているとも指摘(*)されています。さらに、もう一人の女性がそっと手を添える姿も、より趣き深く感じられました。



ともかく目を引くのは、硬軟を使い分けた筆さばきで、樹木や岩などを大胆な筆で表した一方、女性の衣装や指先、また顔の輪郭は、実に細かい線で描いていました。総じて彩色も丁寧で、衣服の文様が鮮やかに浮かび上がっていました。



「宮女琴棋書画図屏風」は、友松の描いた琴棋書画の中でも、特に穏やかな雰囲気を見せているそうです。確かに女性たちは、まるで湖畔で休暇を楽しむべく、のんびりと寛いでいるかのようでした。

なお本作は、2017年に京都国立博物館で開催された、「特別展覧会 海北友松」にも出展がありました。そちらで印象に残っている方もおられるかもしれません。(*は展覧会のカタログより)

8月5日まで公開されています。*写真は全て、重要文化財「宮女琴棋書画図屏風」 海北友松筆 安土桃山〜江戸時代・15〜17世紀 東京国立博物館

海北友松「宮女琴棋書画図屏風」 東京国立博物館・本館7室(@TNM_PR
会期:7月3日(火) ~8月5日(日)
休館:月曜日。但し8月13日(月)は開館。
時間:9:30~17:00
 *但し、金曜・土曜は21時まで開館。日曜は18時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *特別展チケットでも観覧可。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )