都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」 エスパス ルイ・ヴィトン東京
エスパス ルイ・ヴィトン東京
「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」
4/19~9/24
エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」を見てきました。
1949年にフランスに生まれたベルトラン・ラヴィエは、ヴェルサイユの国立高等園芸学校で園芸を学んだのち、1970年初頭からアーティストとしての活動を重ね、「物を台座に置いたレディ・メイド作品」(解説より)を手がけて来ました。
「La Bocca sur Zanker(ツァンカーの上にラ・ボッカ)」 2005年
その「物を台座に置いた」最たる作品が、「ツァンカーの上にラ・ボッカ」と題したオブジェでした。ご覧のように、大きな唇が台の上に乗せられていて、近づくと、白い冷凍庫であることが分かりました。また唇は、カウチと呼ばれる寝椅子で、かつてダリが女優のメイ・ウェストの唇を讃えてデザインしたものを、イタリアのデザイナー集団が制作した作品でした。
ともに製品でありながらも、白く無機質な冷凍庫と、赤く有機物のようなカウチの組み合わせは対比的で、それでいて奇妙に収まり良く見えるのが、不思議でなりませんでした。
「Empress of India 2(エンプレス・オブ・インディア2)」 2005年
「エンプレス・オブ・インディア II」から放つ光が空間を満たしていました。横幅は5メートル80センチにも及ぶ大作で、フランク・ステラの同名作を、色付けしたネオン管で表現しました。このようにラヴィエは、既存の製品のみならず、アートも取り入れ、多様に作品を作り上げました。ステラの巨大な彫刻が、ネオンの明かりをまとうと、どこか広告のサインのようにも見えるかもしれません。
「Atomium, Detail N°10(アトミウム、ディテール No.10)」 2007年
平面への展開も見られました。一例が「アトミウム、ディテール No.10」で、三角形のアルミニウムを2枚合わせた作品でした。その上には支持体と同じ、シルバーカラーのアクリルが塗られ、表面には太いストロークの跡を見ることも出来ました。
「Atomium, Detail N°10(アトミウム、ディテール No.10)」(部分) 2007年
「アトミウム」シリーズは、1958年のブリュッセル万博のために建設されたモニュメントに因んでいて、モニュメントを覆うアルミニウムを張り替える際に売り出された古いアルミ板を、人々が買い求め、自宅に飾った行為に倣って制作しました。筆触は強く、また荒く、まさに「ファン・ゴッホ風」(解説より)でした。
「PAYSAGES AIXOIS(エクスの風景)」 2014年
同じく「ファン・ゴッホ風」とするのが、「エクスの風景」でした。「Paysages Aixois」のうちの1枚で、元はフランスの田園地帯にあるサント=ヴィクトワール山に関した道路標識でした。そこへラヴィエが、アクリルで絵具を塗りつけることで、標識を風景画へと転化させていました。一見すれば、あまりにも絵画調であるため、元が標識であることすら分からないかもしれません。
ラヴィエは、「園芸の接ぎ木と、2つ以上のものを合わせて新しい作品を生む点に、共通する部分がある。」と語り、自らの作品を「シャンティエ(工事現場)」と好んで呼んでいます。
「Birka(ビルカ)」 2007年
モンドリアンの絵画調のテキスタイルの中央に、ラヴィエが正方形を描いた「ビルカ」も印象に残りました。一見、シンプルな仕掛けながらも、素材とイメージとの関係に揺さぶりをかけるような、時にユーモアのあるアイデアにこそ、一番の魅力があるのかもしれません。
「ベルトラン・ラヴィエ」展会場風景
9月24日まで開催されています。
「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:4月19日(木) ~9月24日(月・祝)
休廊:不定休
時間:12:00~20:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」
4/19~9/24
エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」を見てきました。
1949年にフランスに生まれたベルトラン・ラヴィエは、ヴェルサイユの国立高等園芸学校で園芸を学んだのち、1970年初頭からアーティストとしての活動を重ね、「物を台座に置いたレディ・メイド作品」(解説より)を手がけて来ました。
「La Bocca sur Zanker(ツァンカーの上にラ・ボッカ)」 2005年
その「物を台座に置いた」最たる作品が、「ツァンカーの上にラ・ボッカ」と題したオブジェでした。ご覧のように、大きな唇が台の上に乗せられていて、近づくと、白い冷凍庫であることが分かりました。また唇は、カウチと呼ばれる寝椅子で、かつてダリが女優のメイ・ウェストの唇を讃えてデザインしたものを、イタリアのデザイナー集団が制作した作品でした。
ともに製品でありながらも、白く無機質な冷凍庫と、赤く有機物のようなカウチの組み合わせは対比的で、それでいて奇妙に収まり良く見えるのが、不思議でなりませんでした。
「Empress of India 2(エンプレス・オブ・インディア2)」 2005年
「エンプレス・オブ・インディア II」から放つ光が空間を満たしていました。横幅は5メートル80センチにも及ぶ大作で、フランク・ステラの同名作を、色付けしたネオン管で表現しました。このようにラヴィエは、既存の製品のみならず、アートも取り入れ、多様に作品を作り上げました。ステラの巨大な彫刻が、ネオンの明かりをまとうと、どこか広告のサインのようにも見えるかもしれません。
「Atomium, Detail N°10(アトミウム、ディテール No.10)」 2007年
平面への展開も見られました。一例が「アトミウム、ディテール No.10」で、三角形のアルミニウムを2枚合わせた作品でした。その上には支持体と同じ、シルバーカラーのアクリルが塗られ、表面には太いストロークの跡を見ることも出来ました。
「Atomium, Detail N°10(アトミウム、ディテール No.10)」(部分) 2007年
「アトミウム」シリーズは、1958年のブリュッセル万博のために建設されたモニュメントに因んでいて、モニュメントを覆うアルミニウムを張り替える際に売り出された古いアルミ板を、人々が買い求め、自宅に飾った行為に倣って制作しました。筆触は強く、また荒く、まさに「ファン・ゴッホ風」(解説より)でした。
「PAYSAGES AIXOIS(エクスの風景)」 2014年
同じく「ファン・ゴッホ風」とするのが、「エクスの風景」でした。「Paysages Aixois」のうちの1枚で、元はフランスの田園地帯にあるサント=ヴィクトワール山に関した道路標識でした。そこへラヴィエが、アクリルで絵具を塗りつけることで、標識を風景画へと転化させていました。一見すれば、あまりにも絵画調であるため、元が標識であることすら分からないかもしれません。
[インタビュー]園芸学校出身ながら、2012年にはポンピドゥセンターで個展を開催、異色の現代美術家ベルトラン・ラヴィエを取材。現代アートの世界に入った経緯や、今に活きている園芸での経験を語る。一見難解なコンセプチュアルアートの世界を、作家本人がわかりやすく案内。https://t.co/ban7tynORm
— CINRA.NET (@CINRANET) 2018年5月12日
ラヴィエは、「園芸の接ぎ木と、2つ以上のものを合わせて新しい作品を生む点に、共通する部分がある。」と語り、自らの作品を「シャンティエ(工事現場)」と好んで呼んでいます。
「Birka(ビルカ)」 2007年
モンドリアンの絵画調のテキスタイルの中央に、ラヴィエが正方形を描いた「ビルカ」も印象に残りました。一見、シンプルな仕掛けながらも、素材とイメージとの関係に揺さぶりをかけるような、時にユーモアのあるアイデアにこそ、一番の魅力があるのかもしれません。
「ベルトラン・ラヴィエ」展会場風景
9月24日まで開催されています。
「ベルトラン・ラヴィエ Medley - Works from the Collection」 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:4月19日(木) ~9月24日(月・祝)
休廊:不定休
時間:12:00~20:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
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