「マイケル・ケンナ写真展」 東京都写真美術館

東京都写真美術館
「マイケル・ケンナ写真展」
2018/12/1~2019/1/27



東京都写真美術館で開催中の「マイケル・ケンナ写真展」を見てきました。

1953年にイギリスで生まれ、のちにアメリカへ移ったマイケル・ケンナは、世界各地の風景を撮り続け、写真家として評価を得て来ました。



そのケンナの代表作が一堂にやって来ました。うち中心的であるのが、45年に渡り世界各地を撮影した「A 45 YEAR ODYSSEY 1973-2018」のシリーズで、日本初公開を含む約100点の作品で構成されていました。



ケンナの風景写真の魅力を語るには、多くの言葉は必要ないかもしれません。正方形のフォーマットへ、海や大地、橋に都市などの景観、それに移りゆく雲や霧などの気象現象を捉えた作品は、ともかく詩的でかつ静謐で、その美しさに思わず息をのむほどでした。



中でも光と大気を捉える感覚が独特で、ケンナは一連の作品を、時に10時間にも及ぶ長時間露光で写し出しました。また被写体との対話を重視するというケンナは、同じ場所を何年も撮影することもあるそうです。



旅する写真家でもあるケンナは、1980年代に来日すると、日本各地を渡り歩き、風景も撮影しました。とりわけ北海道を積極的に写していて、例えば雪に覆われた大自然などを、モノクロームの世界へ巧みに落とし込みました。



またケンナは自然の風景だけでなく、原発や廃墟化した工場などもモチーフとしていて、1988年からは、10年以上かけてナチスの強制収容所を撮影しました。それに当たるのが「Impossible to Forget」シリーズで、フランス政府に寄贈し、芸術文化シャヴァリエ賞を受賞しました。



ほかにも日本の女性のヌードを古民家で写した、「RAFU:JAPANESE NUDE STUDIES」も興味深いのではないでしょうか。2008年より10年間撮り続けたシリーズで、2018年のパリで初めて発表されました。



世界で450回も個展が開かれ、ビクトリア&アルバート美術館やサンフランシスコ美術館にもコレクションされるケンナですが、意外にも日本で大規模な個展が行われるのは、今回が初めてだそうです。



「心象世界の旅」(解説より)との言葉もありましたが、端的に風景だけでなく、時間や光の移ろいを捉え、場所や土地の記憶を引き出すようなケンナの写真は、何やら郷愁に誘われるような魅力があるかもしれません。静かに佇むモノクロームの風景に、どことないロマンを感じました。



会場内の「A 45 YEAR ODYSSEY 1973-2018」は撮影が出来ます。SNSやブログにも利用可能です。



作品は全てケンナ自身が暗室でプリントしました。出展数も約160点と不足ありません。


昨年末に行きましたが、館内は盛況でした。1月27日まで開催されています。おすすめします。

「マイケル・ケンナ写真展」 東京都写真美術館@topmuseum
会期:2018年12月1日(土)~2019年1月27日(日)
休館:月曜日。
 *但し12月24日(月・休)および1月14日(月・祝)は開館し、12月25日(火)と1月15日(火)は休館。年末年始(12月29日~1月1日)。
時間:10:00~20:00 
 *木・金曜は20時まで開館。
 *年末特別開館:12月28日(金)は10:00~18:00。
 *年始特別開館:2019年1月2日(水)・3日(木)は11:00~18:00、4日(金)は10:00~18:00。
料金:一般1000(800)円、学生800(640)円、中高生・65歳以上600(480)円。
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
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