「鈴木康広 近所の地球 旅の道具」 デザインギャラリー1953

松屋銀座7階デザインギャラリー1953
「第751回デザインギャラリー1953企画展 鈴木康広 近所の地球 旅の道具」
2019/1/23~2/17



デザインギャラリー1953で開催中の「鈴木康広 近所の地球 旅の道具」を見てきました。

1979年に生まれた鈴木康広は、「見慣れた事象を独自の見立てによって捉え直す」(日本デザインコミッティーより)創作を行い、近年では水戸芸術館で大規模な個展、「近所の地球」を開催するなど、精力的に活動してきました。



透明の大きなトランクにたくさんの道具が詰められていました。それが「木漏れ日のノート」や「りんごの分銅」、さらに「無限の回転体」などと題した作品で、いずれも機知に富み、意外性がありながらも、どこか親しみやすい、鈴木の独自のアイデアにより生み出されたものでした。



「日本列島の方位磁針」も面白いのではないでしょうか。水の入ったコップの上に、日本列島の形をした金属片が浮いていて、方位を示していました。東西南北の概念を介さずに、日本の方位を体感的に理解し得る作品と言えるかもしれません。



一際、目立っていたのが、「水の切り株」でした。真っ白な切り株に水を満たしていて、時折、上から水滴が落ちてくると、水の波紋が木の年輪のように広がる仕掛けでした。まさに波紋を年輪に見立た作品で、水はひたすらに年輪を刻んでは、消えていきました。



ほかにも「目薬の銃」や「屋根のベンチ」、「時間を測るスプーン」、「空気の手紙」など、タイトルからして、独創的な作品が少なくありません。道具の用途を、自由に空想しながら楽しむのも良いのではないでしょうか。



昨年末、隅田川のイベントで話題となった「ファスナーの船」も映像で紹介されていました。



私も実際のイベントを見てきましたが、ファスナーを模したボートが進んでは、川面を開きつつ、境界線を築く光景は、とても楽しく、しばらく見やったことをを覚えています。



A3版の手書きの解説シートも有用です。デパートの売り場の一角の小さなスペースでの展示ですが、所狭しと作品が並んでいて、想像以上に充実していました。


会場は、松屋銀座7階のデザインコレクション内に位置した、デザインのための小さなギャラリーです。1964年に開設され、「グッドデザインの啓蒙」を目的とすべく、日本デザインコミッティーの有志メンバーにより運営されてきました。その一人に鈴木康広も名を連ねています。



観覧は無料です。2月17日まで開催されています。

「第751回デザインギャラリー1953企画展 鈴木康広 近所の地球 旅の道具」 松屋銀座7階デザインギャラリー1953
会期:2019年1月23日(水)~2月17日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00。最終日は17時閉場。
料金:無料。
住所:中央区銀座3-6-1
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅A12番出口直結。都営地下鉄浅草線東銀座駅A8番出口より徒歩3分。JR線有楽町駅より徒歩8分。
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