都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「続々 三澤 遥」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「続々 三澤 遥」
2018/12/3~2019/1/26

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「続々 三澤 遥」を見てきました。
1982年に生まれた三澤遥は、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、デザインオフィスnendoなどを経て、2014年に三澤デザイン研究室として独立し、「未知の可能性を視覚化」(ギャラリーサイトより)すべく、デザイナーとして多様に活動して来ました。

水槽を用いたランドスケープが姿を現しました。それが「砂の丘、水の丘」と題した作品で、三澤が「水中環境をあらたな風景に再構築」(解説より)した「waterscape」のシリーズの1つでした。水と砂の起伏のある大地の上に、丸みを帯びた透明のドーム型の水槽が設置されていて、中には小さな魚が入れられていました。

2つのドームには開口部があり、そこから魚が出入り出来る上、そもそもドーム同士も繋がっているため、自由にドームを行き来していました。またガラスの屈折の効果か、魚が急に見えなくなったり、大きく見えたりと、通常の水槽ではない視覚体験を得ることも出来ました。「waterscape」は単に魚を鑑賞するだけでなく、生態を観察するために作られました。

動的な機能を持つ紙を探求した「動紙」も見逃せません。小さな紙が時に揺らめき、起き上がったかと思うと、開いたり、這ったりしていて、同じ動きを持つものはなく、さも紙自体が意思を持ってうごめいているかのようでした。

その動きをあえて喩えれば、1つ1つの紙が個々に演技しては、ショーを見せていると言えるかもしれません。

「現象体 無版×ファインペーパー」も興味深いのではないでしょうか。新しい紙の可能性を探るべく、最新のデジタル技術とファインペーパーを掛け合わせ、レーザーカットやUVインクジェットプリント、デジタルエンボスなどに展開した作品で、いわば「紙ならぬ紙」(解説より)を作り上げました。

透明インクと白インクを摺り合わせた「インクのレンズ」は、まるで本物のレンズと見間違うような質感を見せていました。これも紙の未来の1つの形と呼べるかもしれません。

そのほかでは「Form of Gravity」にも目を惹かれました。透明の球が、あくまでも緩やかに、そして静かに沈んでいく作品で、しばらく見入っていると、何やら瞑想に誘われるような感覚に陥りました。

上野動物園の生態を、動物のみならず、植物にも目を向けて絵に集約した「UENO PLANET」も面白い作品でした。空を飛ぶ鳥の視点より俯瞰的に描いていて、情報も記され、動物園の知られざる生態を見ることが出来ました。
「形でありながら、形ならざるもの。ならではでありながら、らしからぬもの。ひとつの答えでありながら、いくつもの謎のはじまりでもあるもの。そんな、とらえどころのない可能性の群がりを通して、身近な世界が見知らぬ世界のように感じられ、ときめきや不思議が続々と生まれうることを発見してもらえたら嬉しいです。」三澤遥 *解説より

三澤は、まさに続々と、「無数のイメージやアイデアが浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ」(解説より)のだそうです。一連の作品のデザインやプロダクションはもとより、それを生み出す豊富なアイデア自体に強く感心させられました。

1月26日まで開催されています。
「続々 三澤 遥」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:2018年12月03日(月)~2019年1月26日(土)
休廊:日曜・祝日。12月28日(金)~1月6日(日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
「続々 三澤 遥」
2018/12/3~2019/1/26

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「続々 三澤 遥」を見てきました。
1982年に生まれた三澤遥は、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、デザインオフィスnendoなどを経て、2014年に三澤デザイン研究室として独立し、「未知の可能性を視覚化」(ギャラリーサイトより)すべく、デザイナーとして多様に活動して来ました。

水槽を用いたランドスケープが姿を現しました。それが「砂の丘、水の丘」と題した作品で、三澤が「水中環境をあらたな風景に再構築」(解説より)した「waterscape」のシリーズの1つでした。水と砂の起伏のある大地の上に、丸みを帯びた透明のドーム型の水槽が設置されていて、中には小さな魚が入れられていました。

2つのドームには開口部があり、そこから魚が出入り出来る上、そもそもドーム同士も繋がっているため、自由にドームを行き来していました。またガラスの屈折の効果か、魚が急に見えなくなったり、大きく見えたりと、通常の水槽ではない視覚体験を得ることも出来ました。「waterscape」は単に魚を鑑賞するだけでなく、生態を観察するために作られました。

動的な機能を持つ紙を探求した「動紙」も見逃せません。小さな紙が時に揺らめき、起き上がったかと思うと、開いたり、這ったりしていて、同じ動きを持つものはなく、さも紙自体が意思を持ってうごめいているかのようでした。

その動きをあえて喩えれば、1つ1つの紙が個々に演技しては、ショーを見せていると言えるかもしれません。

「現象体 無版×ファインペーパー」も興味深いのではないでしょうか。新しい紙の可能性を探るべく、最新のデジタル技術とファインペーパーを掛け合わせ、レーザーカットやUVインクジェットプリント、デジタルエンボスなどに展開した作品で、いわば「紙ならぬ紙」(解説より)を作り上げました。

透明インクと白インクを摺り合わせた「インクのレンズ」は、まるで本物のレンズと見間違うような質感を見せていました。これも紙の未来の1つの形と呼べるかもしれません。

そのほかでは「Form of Gravity」にも目を惹かれました。透明の球が、あくまでも緩やかに、そして静かに沈んでいく作品で、しばらく見入っていると、何やら瞑想に誘われるような感覚に陥りました。

上野動物園の生態を、動物のみならず、植物にも目を向けて絵に集約した「UENO PLANET」も面白い作品でした。空を飛ぶ鳥の視点より俯瞰的に描いていて、情報も記され、動物園の知られざる生態を見ることが出来ました。
「形でありながら、形ならざるもの。ならではでありながら、らしからぬもの。ひとつの答えでありながら、いくつもの謎のはじまりでもあるもの。そんな、とらえどころのない可能性の群がりを通して、身近な世界が見知らぬ世界のように感じられ、ときめきや不思議が続々と生まれうることを発見してもらえたら嬉しいです。」三澤遥 *解説より

三澤は、まさに続々と、「無数のイメージやアイデアが浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ」(解説より)のだそうです。一連の作品のデザインやプロダクションはもとより、それを生み出す豊富なアイデア自体に強く感心させられました。

1月26日まで開催されています。
「続々 三澤 遥」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:2018年12月03日(月)~2019年1月26日(土)
休廊:日曜・祝日。12月28日(金)~1月6日(日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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