◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「会長が尽力していただいたわけで」って?

2013-03-17 09:23:54 | めちゃくちゃな敬語
                                姿を見せてくれた

 テレビに映った一般の人が「会長が尽力していただいたわけで」と言ったのですが、感謝の気持ちがあまり伝わらない言い方ですね。やはりここは「会長が尽力してくださったわけで」と言ってもらいたいものです。
 「~ていただく」症候群の症状の一つだと思うのですが、「○さんに~ていただく」と言うべきところで「○さんが~ていただく」と言う人が多すぎます。そもそも「○さんが」と言ったのなら「○さんが~てくださる」と言うのが自然なのですけれどね、そんなに「~てくださる」って言いにくいかなぁ?
 テレビに出ていたご夫婦、ご主人は「大工さんが丁寧にやっていただいて」だの「職人さんが作っていただいて」だの、全く分かっていません。めちゃくちゃです。対して、奥さんのほうは「夫のお父さんが作ってくださって」「職人さんに作っていただいて」と、ちゃんとしゃべれていました。
 奥さんがこういうふうに言うのを聞いても、ご主人は自分の間違いに気づかないでしょうね。間違っているということに気づけば何とか直せるのですが、困ったことに、なかなか気づかないのです。まぁ、ね、アナウンサーでさえ気づかないのですから、一般の人に気づけと言うほうが無理なのかも(ーー;)。
 「いつもいらっしゃってくれる人」と言ったのは芸人です。お客様のことだから「来て」を「いらっしゃって」にしたのでしょうけれど、惜しい。「いつも来ていただく人」と言わなかっただけ随分ましですが、基本は、「いらっしゃって」+「くれる」ではなく、「来て」+「くださる」で、「いつも来てくださる人」ですよ。年配のご婦人だったら「いつもいらしてくださるかた」と言うのでしょうね(^.^)。
 「書いてもらう」「言ってもらう」「作ってもらう」は「もらう」を「いただく」にすればいいわけで、「書いていただく」「言っていただく」「作っていただく」です。「書いてくれる」「言ってくれる」「作ってくれる」は、「くれる」を「くださる」にすればいいわけで、「書いてくださる」「言ってくださる」「作ってくださる」です。
 「懸命に耐えられてきたんでしょう」はドラマで聞いたセリフですが、これも「懸命に耐えてこられたんでしょう」です。「耐えられて」+「きた」ではなく「耐えて」+「こられた」です。脚本家がこういう基本を知らないというのは残念なことですが、そもそも、何でもかんでも無理に敬語っぽくしなくても、「懸命に耐えてきたんでしょう」と言えばいいのですよ(ーー 。
コメント
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