◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「ご予約方法・ご連絡先」って?

2014-02-09 11:42:13 | めちゃくちゃな敬語
                                  「ご」依存症です

 ○○社から催しの案内状が来ました。同封のチラシを見ると、目立つ文字で「要予約」と書いてあります。あ~あぁ、面白そうなんだけど、苦手なんだよね、予約して行動するのって。「下記、予約専用電話番号にてご予約下さい。予約専用電話 ×××-×××-××××」ですか、ふぅん。
 案内状には「大変恐縮ではございますがお席に限りが御座いますので必ず事前予約の上ご来場下さい。ご予約方法・ご連絡先につきましても同封いたしましたチラシをご覧ください」と記載されています。この「ご連絡先」というのはチラシの「×××-×××-××××」ですね、つまり、主催者である○○社が用意した予約専用電話であり、お客様の「ご連絡先」ではないのです。
 「ご予約方法・ご連絡先」という部分は、本当は「お客様がご予約なさるときの方法、当方(○○社)の連絡先(予約専用電話)」なのですから、「ご予約方法・連絡先」です。自分の会社の電話に「ご」なんか付けてはいけません。何でも「ご(お)」を付ければいいと思い込む「ご(お)」依存症ですね( ̄д ̄)!
 2007年に「お仕事はキャンセルさせていただいたのですけれど」という例について書いたのですが、今はもうほとんどの芸能人が自分の仕事を「お仕事」と言っています。今年の大河ドラマの主役の人なんて、インタビューで、(自分の)お仕事、お芝居、役者さん(になりたい)ですよ、がっかり( ̄~ ̄)。「私もモデルさんのお仕事してますしぃ」と言ったモデルさんがいましたが、「私」ではありえない言い方です。「○○さんもモデルさんのお仕事をなさってますし」でしょ!
 それにしても、敬語の誤用のみならず、表記ゆれさえ全く気にしていない文章というのは読みづらいですね。○○社は、そんなに有名ではないけれど、京都に本社のある、ちゃんとした企業なのですよ。もっとも、日本国民ならだれもが知っている世界的規模の大企業でも変な日本語の文書を平気で出すのですから、一流とか二流とか、大企業とか中小零細とか、関係ありません。
 さて、最小限の修正を加え、「大変恐縮ではございますが、席に限りがございますので必ず事前にご予約なさったうえでご来場ください。予約方法・連絡先につきましても、同封いたしましたチラシをご覧ください」といったところでしょうか。え? 「ご予約方法・連絡先」ではないのかって? 直前に「事前にご予約なさったうえで」と書けば、「予約方法・連絡先」でいいと思います(^.^)。
 金融機関のCMでもみんな「ご返済できます」「ご利用できます」という中途半端な言い方をしますが、いっそのこと「返済できます」「利用できます」と言ってくれたほうがすっきりしますよ。尊敬語「ご(お)~になる」を全く無視しているのに「ご」から始めることだけはやめられない、「ご(お)」依存症ですね。
 「(お客様が)返済すること」を「ご返済」、「(お客様が)利用すること」を「ご利用」と言うのはまだ分かりますが、「ご返済」「ご利用」に「できる」をくっつけても、お客様の行為について言う言葉としてふさわしいものにはなりません。それどころか、何だか変ですよ。「ご返済が可能です」「ご利用が可能です」と、きちんと「が」を入れて、日本語として成立する言い方にしてほしいものです。
 謙譲語Ⅰ「ご(お)~いただく」で、「ご返済いただけます」「ご利用いただけます」という言い方もありますが、「ご利用いただけます」はたまに見掛けますね。基本を無視してテキトーにやっている放送業界の人たちのせいでもはや「ご返済になれます」「ご利用になれます」は死語? と思ったら、人形の浅村(金沢にある100年以上続く人形専門店)のCMで「ぜひご利用になってみてください」と言っているのを聞きました。いいですねぇ、本当に久しぶりです~(⌒・⌒)。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-03-28 10:10:13
向こうが「ご連絡」をする先なので、むこうの行動を示す敬語ですよ。
返信する
ご連絡、連絡先 (治納由気)
2015-03-29 12:27:16
例えば「ご連絡は弊社×××-×××-××××までお願いします」ならいいのですが、「連絡先」が「×××-×××-××××」だから「ご」は不要だと思います。
このごろは何も考えないで何でもかんでも「ご(お)」を付けるので、もうちょっとシンプルでいいと思うのです。
シンプルにしないと、ますます分からなくなるので。
返信する

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