◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「遅めの速度を設定されております」って?

2010-10-10 09:20:56 | 気になる言葉、具体例
                                   速めですな
 2年前にオープンしたイオンかほくに先日初めて行ったのですが、エスカレーターの張り紙を見たときはポカンと口を開けてしまいました。「安全のため 遅めの速度を設定されております」ですって。なるほど、どうりでゆっくりだと思った、納得・・・じゃないよっ!( ̄д ̄)ダラケッ!
 すんなり受け入れられる言い方として「遅めの速度に設定しております(あります)」「速度を遅めに設定しております(あります)」「遅めの速度に設定されています」あたりがいいと思いますが、では、「遅めの速度を設定されております」のどこがどうおかしいか、一応考えてみましょうかね。
 これを目にした瞬間、「遅めの速度を」ですから、「設定されて」が敬語であるように見えました。でも、設定した側(イオンかほく側)の人が同じ側の人の「設定する」という行為について、お客様向けの掲示物において「設定されて」という尊敬表現をするなんて、幾ら何でもそれはないだろう、そこまでばかじゃないのではないか・・・、ん? 「お休みになっております」と言った人はそこまでばか、ということになりますね。(ーー;)
 例えば、「事情を考慮して」と「安全に配慮して」の違いが分かりますか? これを理解できない人が大勢いますが、アナウンサーでも「ほかの部員に考慮して」「安全を配慮して」「暑さを避ける服装に心掛ける」なんて言いますからね、ますます曖昧になってきています。「夜間に外出するときは服装を気をつけましょう」と聞いてどう感じますか?
 「気をつける」を言い換えると「注意する」ですが、「服装に注意する」であって、「服装を注意する」だと、他人に対して「明るい色の服を着なさい」と注意するという意味になりますね。「気」「を」「つける」のですから、「服装を」ではなく「服装に」、「服装に気をつける」です。逆に、「心掛ける」は「心」「に」「掛ける」ですから、「暑さを避ける服装を心掛ける」と言ってほしいですね。
 「遅めの速度に設定しております(あります)」「速度を遅めに設定しております(あります)」「遅めの速度に設定されています」、「~に設定」です。おや? 「速度を設定」と言える例がありますね。確かに「速度を遅めに設定しております(あります)」は「遅めに速度を設定しております(あります)」と言えますが、言いたいことは、あくまでも「遅めに設定」です。
 あるいは、「厳しいルールを設定する」「あらゆる場面を設定する」のように「遅めの速度を設定しております(あります、います)」と言えなくもないですが、それだと、エスカレーターがゆっくりであることの説明というより、施設内の動くもの全般に関する考え方といったイメージになります。また、そのニュアンスで「設定されて」という受身表現をするなら「遅めの速度が」となりますが、ますますぼんやりした感じになります。やっぱり「速度を遅めに設定してあります」と書いてください、イオンさん。(⌒ー⌒)

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