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世界連鎖株安 第2章 9月危機

2007-09-06 22:45:33 | 社会・経済

サブプライムの焦げ付きに端を発した世界連鎖株安は一向に収束しない。昨日のNYSEダウ平均は1%以上値を下げ、これを受けて今日の東証も立ち直りの気配が見られなかった。2月末の上海市場暴落時をきっかけとした世界同時株安は数日で回復したのに、何故今回は株価低迷が長引いているのか。

それはサブプライムがきっかけとなった信用収縮が金融システム全体に不安が広がり、実体経済にも影響が出る恐れがあるからだ。未だに具体的にどういう不安なのか実態が知らされていない。しかも、ここに来て専門家の間に9月に更なる危機が来るという見方が広がっているようだ。

私が得た情報の範囲では、9月に3つのタイプの危機が表面化する恐れがある。

3つの危機

一つは、3Q6-9月)決算が迫っており、いやでも損失確定し実態の解明が進むことで、新たな危機が発生し欧州など世界に波及する可能性がある。更に金融機関だけではなく今度は投資家側、例えば年金基金などの機関投資家の損が表面化し社会問題化する可能性もある。

二つ目は、サブプライムローンの初期低金利から高金利になる返済の為、住宅価格が下がった部分をクレジットカードで補填する動きが予想されている。すると今度はクレジットカードの焦げ付き多発が予想され、既にクレジット金利が上昇しており、更なる信用不安を誘発する恐れがある。

三つ目は、個人住宅市場の低迷を支えてきた商業用不動産市場が軟調になる恐れが出てきたことだ。万が一オフィスや宿泊施設などの商業用不動産まで不況になると不動産ディベラッパーなど建設業界が打撃を被り雇用悪化は避けられない。既に大都市で空き室率が高まっている。

犯人探し

私のブログ「世界連鎖株安(続)」(8.21)でグランドゼロは規律の無い貸付をした米国の住宅ローンだが、問題の本質は「不透明な金融商品」を流通させる「グローバル金融システム全体」のシステミックな問題として捉えるべきと書いた。それは今も変わらない。

中央銀行を含めた市場の参加者のどこにも引っかからない取引が積み重なり、ある日突然潜在リスクが顕在化した。金余りが高じてバブルになっても内心不安を感じながらも、真実から目を背け問題に気つかないふりをした。日経BPネット(9/5)はこれを以下のように説明した。

「分不相応な格付けを与えてきた格付け会社、運用主体に対し無節操とも言える融資を重ねてきた金融機関にも責任はある。さらに過剰流動性にあぐらをかき、その危険性を十分に理解しないまま商品を購入してきた投資家、クレジット市場の変化に全く対応できなかった金融監督当局などが、その責任を分け合わなければならないだろう。」皆で赤信号を渡ってきたというわけだ。

グローバル市場原理主義

この説明は「一国平和主義的発想」の域を出てないように私には感じる。欧米や日本には十分といえないまでも市場のルールがあり、参加者はルールに従うことを厳しく求められる。それがグローバル市場に出て行くと殆ど野放しでリスクを世界中に撒き散らす。

しかしグローバル市場においては、経済の要である信用創造は、世界中に分散する投資家の連鎖に委ねられている(ビジネスウィーク9/5)。あらゆる連鎖の結節点の透明性を高めリスクを可視化する以外に危機を事前に検出して回避することは出来ない。

グローバル市場で透明性を高め行儀のいい振る舞いをすると、その情報を利用して出し抜いた誰かが果実を手に入れる。それを規制する有効なルールは現在存在しない。90年代後半のアジア・ロシア・南米通貨危機の頃から、ソロス氏等がグローバル市場原理主義の問題提起をしてきたがいまだ有効な手立てが無いように見える。

例によって誤解を恐れず大胆にいうなら私の提案する対策は極めて簡単だ。金融機関や投資家は中身が分からず不透明な金融商品を買うなということだ。不透明だけど高リターンの商品に手を出すな、強欲な金持ちが大儲けしてもじっと我慢をすれば不良商品はいずれ淘汰される。

楽観と悲観

冒頭で述べたように9月を乗り越えれば見通しが立つという説も良く聞く。危機が全て表面化し問題が具体的に把握されれば、危機のメカニズムの解明が進むことになる。ここでパニックにならず適切な手が打たれれば、サブプライム発の信用不安は急速に収束に向う可能性も十分ある。見通しが立つことが重要なのだ。バーナンキ議長の決断はきわめて重要になる。

しかし、実体経済は悪くないといいながら、世界市場の中で日本の株価低迷が最も目立っている。一方中国と関連するアジアの株価は既に大幅に値を戻している。NYダウの8月月間の株価も低下していない。日本の場合、円高が進んだことが一因だが、果たしてそれだけだろうか。

単純に言えば東証の取引の6割以上は外人なので、海外から見た日本市場の魅力がなくなっている。別に外人だけではない、世界連鎖株安の最中でも個人資産の海外流出トレンドは変わってないというのは、考えれば恐ろしい事だ。■

コメント (1)
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