かぶれの世界(新)

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「後期高齢者モード」から脱却せよ

2008-06-18 17:40:12 | 社会・経済

世界がドンドン変化していくニュースに毎日接しながら、田舎で悪戦苦闘している自分を思うと、何だか自分がドンドン小さくなっていくような気がする。別に都会に住んでいたからといって何も変わらないのだが。今日は後期高齢者保険制度論争から問題提起をしたい。

世界はサブプライムからインフレ

今まで世界経済はサブプライム問題の後始末をどうつけるかが最大の問題だったが、その先にもっと大きな問題が姿を現し世界各国の政府当局は、その問題の大きさにいささかたじろいでいる感じを受ける。それは世界中を覆う物価高騰の暗雲である。

サブプライム問題は世界の投資マネーの流れを変え、石油や穀物に向かい二桁を越す大インフレを世界中に蔓延させ、金融界の問題から世界全体の政治経済を揺さぶり始めた。アフリカ諸国だけではない、中国などの途上国、英国など欧州先進国の物価が急騰し政権を揺るがしている。

日本は後期高齢者保険問題で大騒ぎしているが、日本の政治経済は田舎で介護に関わる私と同じように、目先の問題に悪戦苦闘しているという感じを受けざるを得ない。もっとも世界的に見れば日本の物価上昇は、今のところ大変上手くコントロールされている。

だが、もし日本が世界的な物価高騰の後を追うようになれば、最も打撃を受けるのは年金生活をしている高齢者になるということになる。最近の円安動向や中国・インド等のデフレ輸出が終わりつつあることを考えると、日本でも更なる物価高騰の可能性は十分ある。

物価高騰の主因は途上国の経済成長による需要増、天候異常による穀物不作、株式市場の不調に加え、世界的なリスクマネーがヘッジファンドなどを通して石油や穀物市場に投機された為といわれている。お茶の間では、善良な市民生活が投機で脅威を受けているという視点で伝えている。

意図せざる物価上昇の犯人

だが、日本の個人資産(大半は高齢者の資産)が世界的な物価高騰に手を貸し、アフリカなどの食料危機の意図せざる原因になっていることは余り指摘されない。ある大手ヘッジファンドのCEOが過去1年間に運用資産が2割増え、その内日本からの投資が1/4を占めている上得意だと日本経済新聞が伝えた。(6/4)

自分は投機に手を貸した積りはないと思うかもしれないが、家計の貯蓄は生保や年金などに預けられ、その運用によってヘッジファンドなどに投資され、最終的に商品市場に流れ商品価格が高騰しているのだ。家計も投資運用機関も、より高い収益を求めて国内から海外に向かっている。

物価上昇に文句言うと、実はブーメランのように自分に帰ってくることを理解すべきだ。我が国は世界経済にがっちり組み込まれ、トータルで見ると世界経済から相当の利益を得ている。決して被害者ではない。選挙で選んだ政治家の悪行を、住民が被害者のように言うのと同じだ。

ところで、冒頭で日本は物価上昇を上手くコントロールしていると書いたが、実は物価を上げたくてもあげられない事態になっているという方が正しいかもしれない。どうも今年初め頃から消費者のスイッチが切り替わり、消費態度が生活防衛モードに変わったと思われるからだ。

現役世代も後期高齢者モード?

内閣府によると4月の消費者態度指数が2003年以来の最低値に悪化したという。高額商品離れで百貨店の販売悪化、ファッション商品や外食産業など不要不急の消費やサービスは軒並み売上不振に陥っている。必需品の食品でさえ値上げすると売上高が大幅に減ったという。政府は景気判断を下方修正したと今朝の新聞は伝えている。

現役世代も生活必需品以外の消費を抑え、連日報道される年金や保険問題を横目に将来に備え貯金している。お金に色はついてないのでその分がどれだけ「投機」に流れているのか手元にデータはない。だが、それ以外にもっと儲かる運用法は中々思いつかない。 

ここで気になることがある。我が国の消費者が商品の付加価値を認めなくなったことだ(桐原涼氏NikkeiBPnet)。どうも長期トレンドのようだ。即ち、少子高齢化で市場の伸びが停滞するのを、高付加価値商品の開発で成長を続け、世界市場をリードしていく日本企業のシナリオが成立しなくなったということだ。

研究開発の末に会得した付加価値を評価してくれる消費者を失うことの意味は大きい。最低限の機能を満たすものでよいと考えれば、軽自動車やノーブランド衣料品で十分という消費者が増えている。私自身、買物の時は必要な機能リストを作り、最も安価な商品を選ぶようになった。

今の典型的な消費者は不要な機能は価値として認めない。勝手に余分な機能を付加して値段をつけるなら、その分差し引いてくれと思う。斬新で新しい商品提案が中々受け入れられない環境になりつつある。かつて付加価値を高く評価する国内市場が日本企業の競争力を高めた。このユニークな市場の喪失は、この先日本にどういう影響を与えるか心配だ。

まじめにやれよ

ここからは例によって思いつきの仮説だが、75歳以上の後期高齢者だけでなく今や日本全体が「後期高齢者モード」に入った。メディアに先導されたポピュリズムは、ネジレ国会という特殊事情もあり増幅されて、冷静に全体像を見て議論できなくなり、国中が後ろ向きに駆け出した。

医療費のたった1割を負担するか否かで国中が熱病にかかり、他の事をほったらかしにするなんて、私には考えられない。大筋の考えがどうか議論すべきだ。大筋で一致すれば、気配りのないシステムを作った担当官僚を超党派でさっさと左遷して(法的には問題があるだろうが)、制度の手直しをすれば良いだけではないのか。■

コメント (1)
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