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ラリー・クリントンが、最後の予備選が終わりサウスダコタで勝ったもののオバマが過半数の代議員を確実にした直後のNYでの演説で、撤退宣言をしなかった。CNNは彼女の演説後、ミネソタ州セントポールでオバマの演説も引き続き流した。特にヒラリーの演説を注目して聞いた。
3月にテキサス州でヒラリーが勝ったのを最後に、オバマの優勢は徐々に揺るぎ無いものになった。大きな争点が無いまま、二人の有力候補は互いの細部のミスをあげつらい支持層にどれだけ食い込めるかだけが注目され、私にはつまらない予備選になったと感じていた。
ヒラリーの演説は、総得票数(人気投票という)ではオバマを上回り予備選史上最大の1800万を得た、依然として最適な大統領候補であることを言外で強調した。この先どうするかは投票してくれた1800万人の意を汲んで、国と民主党の為に何がベストかじっくり考えて決断したいといった。
彼女のハードコア支持層は同年代、つまり50-60代の女性達で、かつての女性解放運動を戦った世代で、ヒラリーは考えうるベストの候補だった。ヒラリーでなければ生きているうちに女性大統領を見ることはないと考えている熱烈な支持者を前に簡単に撤退宣言できなかったと思う。
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バマには聞きたくない内容だったが、今日はコンセッションしないとヒラリー陣営から予め連絡しているとのCNNコメンテーターの言は尤もらしい。つまり、私には1800万の票があると高く売りつけているという見方だ。嫌でもヒラリーを副大統領候補にせざる得ない可能性はかなりある。
直後のオバマの演説は(過度と思われるほどに)ヒラリーに気を使って称える内容であった。1800万票が何処に行くかが大統領選の命運を握っているのは誰の目にも明らかだ。周辺からタテマエとホンネが断片的に聞こえてくる微妙な神経戦が既に始まっているように感じる。
一方、大統領選と平行して実施される議会選挙では民主党が大勝すると予測されている。大統領予備選の激戦が続き、結果として全米の州に民主党の熱気が行き渡り民主党票が掘り起こされ、予備選の投票総数は共和党を遥かに上回った。これ程効果的な選挙運動があったろうか。
いずれにしても、史上初の黒人大統領候補が確定した歴史的な日と米国メディアが興奮して伝えた瞬間に、地球の裏側にいてもライブで立ち会ったと思うとある種の感慨があった。■