かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

藪睨みギリシャ危機

2010-05-08 23:11:54 | 社会・経済

昨日朝6時過ぎ、いつものように寝ぼけ眼でベッドサイドのラジオをつけた。暫くしてNHKが6日のNY証券市場が9%大暴落したと伝えるニュースを聞き、一気に目が覚めた。実はその後値を戻し3.2%の下落で引けたのだが、その時は私も泡を食って何が起きたのだろうと怪しんだ。前日、EUと国際通貨基金(IMF)が約13兆円の緊急融資を決定したニュースを聞き、これでギリシャ危機は当面沈静化するだろうと予測してベッドに就いた。

いつもは7時半ばまでベッドの中でウトウトするのだが、もう寝ていられない。直ぐテレビをつけると、支援を受ける条件としてギリシャ政府が打ち出した緊縮財政に反対するアテネ市内での暴動の状況が繰り返し報じられていた。その時の解説は、国民の激しい反対にあってギリシャ政府の緊急対応に不透明感がでて市場が反応したと言うものだった。EUのたった3%の経済規模の国に13兆円もつぎ込んだのに市場を説得できなかった。何故だろうか。

ここまでが枕で、これから先がギリシャ危機に対するその後の報道についての私の解釈を紹介する。

ギリシャ国民への不快感

最初に、公には報道されないがギリシャ国民に対する強い不快感があると感じる。「稼ぎに合った生活に切り替えろ。外国の税金で今までの良い生活を維持するとは虫が良すぎる。政府が悪いと言うが君達が選んだんだろう。政治は民度の表れと言うじゃないか。」前政権が財政赤字を誤魔化しばら撒いた結果を、ギリシャ国民は権利と勘違いしている。誤魔化しでEU加盟できたが、政権が変わり誤魔化しを正し危機に見舞われると、今度は国民が支援を権利と主張している。

これは支援する側のドイツやフランスなどEU大国民の本音だ。彼らは労働に見合う収入を得て税金を払い、その範囲で社会保障などのサービスを受けている思いがある。だが、ギリシャでは3割が税金を払わない地下経済といわれ、一方で現役時代とそう違わない年金収入など実力以上の社会保障を得ている。実はここにEUの構造的な問題が隠されている。

EUの構造問題が不安を払拭できない

通貨は共通のユーロを使い通貨政策は欧州中央銀行下で統合されているが、財政政策は各国独自で決められ迅速な危機対応が出来ないという問題がある。これは私の「大胆占い」でも何度か指摘してきた構造的な問題である。今回もドイツ政府が支援に積極的でなかったのは広く報じられている。しかも、国によって透明度が異なる。当のギリシャの場合財政赤字13%だったに、昨年まで3%という粉飾決算をしていた。市場が不安を持って当然だ。

かといってギリシャをEUから放り出せるかというとそうも行かない。ギリシャをはじめ南欧諸国に300兆円に投資されており、その半分は独仏の金融機関から出ている(日本経済新聞5/8)。ギリシャを破綻(国債の債務不履行)させると国債を大量に抱える独仏の金融機関の経営問題が表面化し、信用不安が弱いところから順番に将棋倒し的に連鎖する恐れがある。リーマンショックの悪夢の再現だ。

次の獲物

ヘッジファンドはPIIGSといわれる南欧諸国の次の獲物を狙っていると言われる。ギリシャが破綻し、経済規模がはるかに大きいスペインに飛び火すると事態は極めて深刻になる。信用不安が世界に連鎖しリーマンショックの二の舞になる恐れがある。EUはギリシャだけの問題で終らせたいと考えているが、現実的にはEU内で問題解決するのは容易ではない。6日のNY市場の暴落騒ぎは市場が如何に神経質になっているかを示した。

実際に問題が起こるとしたら債務不履行より、それによって銀行の飯の種の現金が無くなり、資金が回らなくなる流動性リスクだとFT(ファイナンシャル・タイムズ)は報じている。欧州の銀行はそもそも資金が十分になく、政府財政の余裕も無い上に国民の救済反対の声は益々高まっている。政府は銀行間貸し出し市場が冷静さを失わないよう、注意深く見守っていく必要がある。

だが、暫くの間神経質な動きが続くとしても、最終的には信用不安の世界連鎖は防げると私は予想する。政府は十分学習した。そうなる必須の条件は、粉飾決算する国がギリシャ以外にないことだ。それにしても、現代のギリシャ人は4000年前の人達と本当に血が繋がっているのだろうか。塩野さんの「ローマ人の物語(1)」を読み返してギリシャ人がどう描かれているか読んでみたが、現代のギリシャ人とどうにも繋がらない。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする