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天間飛行場を名護市辺野古周辺に移設すると、日米両政府は共同声明を発表した。この日米合意に反対し閣議署名を拒否した社民党の福島大臣は罷免された。昨晩からの報道は日米合意・大臣罷免及び鳩山首相の迷走の結末を伝えるニュース一色の印象だった。
首相就任後8ヶ月は迷走に迷走を重ね、やっと自民党政権時代に決めた振り出しに戻ったということだ。しかし、その間に日米関係は劣化しその他の懸案事項は先送りになった。正に「失われた8ヶ月」であった。私もアマチア首相と酷評した。
「国外、少なくとも県外」というキャッチフレーズが何故振り出しに戻ったのか、何が鳩山首相の心境を変化させたのか。この8ヶ月の経緯と官邸内外の側近の動きなど裏話を伝える報道を総合すると、北朝鮮が韓国軍哨戒艦を沈没させた事件が日米同盟による安全保障の重さを考え直すきっかけになったことは明らかだ。そこで首相の責任の重さを思い知ったのではないだろうか。
迷走で目茶苦茶になったがそれでも土壇場になって、首相は「国民の安全を守る」という最低限の責任を果たす判断をしたと私は考える。この評価だけはキチンとしなければならない、そうしないとこの先道を誤まるというのが私の考えだ。
蛇足だが、豊田社長が米国議会に赴き証言し、米国内のトヨタ叩きの雰囲気を変えた時、私は最低限社長の仕事をしたと言ったが、それと同じ感覚だった。証言の直後、ケチをつけることに忙しいコメンテーターが少なからずいた。だが、それ以降トヨタは前向きの仕事に取り組めるようになった。
国の運営も同じではないだろうか。経緯は最悪だが、「今何を判断すべきか」より重要な事は無い。この先最善手を打たせることに注力しないと物事は進まない。
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民党は今でも自衛隊は違憲・日米安保条約反対が基本政策であり、国民から全く支持を受けていない。そんな政党が数合わせのためだけに連立政権を参加した怖さを私は前から感じていた。少数政党が弱者を守る為の政策を主張するのは理解できる。
だが、国の安全保障となれば話は別だ。ところが、民主党執行部は政策よりも数(選挙)を優先する小沢氏に率いられ、数の為には既得権益団体と結びつき国民の1%の支持しかない政策でもやりかねない。というか、既にやっている。ここに綻びの元があった。
鳩山政権の迷走はこれからも続くし、ある雑誌の見出しはでいまや我が国は「国難」にあるという。経済を見ても欧州不安で最大の打撃を受けた株式市場は、欧州でも米国でも無く、又しても日本だという。私も「国難」と感じることもある。それは否定しようも無い。
許しがたい迷走を繰り返したが、鳩山首相が「国民を守る」という最後の一線で踏みとどまったのは評価したい。もちろん沖縄の人達の思いは配慮すべきだし、他の地域が基地反対を唱えるのも分かるが、それは先ず日本国民を守るという大前提の後に来るものだ。
まだ頂上は見えている、ただ辿るべき道は厳しく訓練を受けた強いリーダーでないと丸ごと遭難しそうだ。小手先の人気取りなど最早効果は無い。少なくとも上を向いて歩き、次の参院選での審判を受けて欲しい。■