参院選がいよいよ明日投票を迎える。新聞テレビ各社の情勢判断は民主党が苦戦、自民党も伸び悩みの中、早くも政局にらみの記事が目に付く。不利になるのを承知で菅首相が提案した消費税の超党派議論は、生活次元の議論に矮小化され議論が全く深まらなかった。
GDPの2倍以上に達しようとする異常な財政赤字をどうする積りか殆ど議論された気配がない。今まで何を言ってきたか、赤字の責任は誰か、そんなことより今はどういう状態と認識し、どう改善していくか議論して欲しかった。だが「議論する、しない」から一歩も進まなかった。選挙に増税を持ち出すと絶対的に不利という姿勢が候補者の間に見え見えだった。
加えて、参院選の争点を的確に捉え、広く伝える役割を果たすべきメディアの姿勢も酷かった。目の前の生活が消費税導入で如何に苦しくなるかという視点での報道が圧倒的に多かった。だが、菅首相の提案は中長期的な財政の議論だったはずだ。
私は報道が争点をミスリードした、その責任は大きいと考える。結果として日本国民の声をギリシャ国民並みの身勝手な方向に向けさせた。以前も指摘したが、戦前の新聞は満州事変前後から国民を煽り、国民の支持を得て軍部が日本を世界大戦に向わせる加担をした、それと同じ過ちのように感じる。
「国民の審判を重く受け止める」との発言が多分明日の夜には聞かれるだろう。だが、この程度の議論で果して国の将来を決めるちゃんとした審判が出来るだろうか。ドイツ・イングランド戦の様に誰もが誤審と分かっていても結果は覆らないことになるかもしれない。
まだ選挙結果が出たわけではない。だが、メディアの情勢調査が示すところは、多くの選挙民は中長期の議論を聞くことなく、消費税と目の前の生活を結びつけて投票すると私は推測する。前回投稿した記事で、私は団塊世代の判断も選挙結果を左右すると予測した。24時間後を待とう。■