かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

市場と民意の熱き戦い

2010-07-01 19:58:31 | 社会・経済

2010年もあっという間に半年経った。今年の正月に立てた「大胆占い」の見直しを週末までにやる積りだが、先ずはデータ抜きで直感的な上半期の印象を語ってみたい。一言で言うと「激変の2010上期」だ。W杯でチームと岡田監督の評価が激変したが、経済でもギリシャ危機を契機に回復途上の世界市場が一転して停滞モードに入った。他にも激変したものがある。

今日の東京市場の後場は、日経平均が191円安の9191円で引け、連日の年初来最安値更新となった。日経平均9200円割れは昨年11月27日以来で、下半期の不透明感が強まった。6月の日銀短観が2年ぶりの大幅改善となったが、円高と世界経済の先行き不透明感を反映し上記の株安となったと報じられている。

株価低調の理由は明らかである。景気回復のための政策はリスクを民間から政府に移しただけと市場が判断し、政府に対しNOを突きつけたからだ。市場は最も弱そうなところから攻めていく。それが欧州であり、最初にギリシャ政府の財政赤字とEU内支援の足並みの乱れが狙われ、欧州の信用不安は世界に伝播した。

それに対し単純に迷惑だとはいえないのは、他の国も財政悪化が進み緊縮財政を突きつけられているからだ。先のG20ではアジェンダが景気回復から一転して財政規律の回復だった。現在の状況は微妙で複雑だ。世界をリードするG20といえども、財政規律を強調すると緊縮財政による経済悪化と見られないかと、市場からどう見られるかかなり神経を使った結果としてメリハリに欠けた共同宣言になってしまった。

各国のトップは帰国すれば緊縮財政・増税に強く反対する民意が待っており、G20の合意事項の実現可能性は国の差はあっても概して不透明だ。新規の景気刺激策を打てば更なる財政赤字になりかねない。今回の参院選の性格は、以前投稿した記事では小鳩体制の「組織票対無党派の戦い」と見たが、菅政権になって「民意と市場の戦い」の性格が加わったと感じる。

菅首相が突如消費税を参院選のアジェンダにしたのは、市場が世界政府に突きつけた不信任が深刻で、その対応を最優先課題としたからだ。菅首相は強い経済・財政・社会保障といったが、政治とメディアは中でも消費税に強い反応を見せた。それは、消費税が選挙民の最大の関心であり選挙結果を左右するアジェンダと考えているからに他ならない。

ということで、この構図を私流に端的に表現すると菅首相は「市場の声」を反映した政策を提言し、批判や反対する政党やそれを報じるメディアは消費税に対する不信や不安を持つ「国民の声」を代弁している。程度の差はあるものの世界各国は今同じ構図にあるといってよい。国政レベルの選挙があるので、日本が最初にその方向付けをする役割を負うことになるだろう。

その結果は世界各国に多少なりとも影響を与えるだろう。今後の数年間でどの国がいち早く苦境を抜け出し繁栄の道を歩むか、いわば世界が参加する「民意と政治のオリンピック」だ。今回はスタートラインがはっきりしている。ギリシャみたいなみっともない方向に行かないで欲しい。

4-6月の世界主要10市場の株式の騰落率は7位で、トップグループの韓国ドイツに遠く及ばないどころか、米国や信用不安の震源地だった欧州各国より悪かった(日本経済新聞7/1)。これが、オリンピックの前ぶれにならないことを祈りたい。例によって私の大胆占いでは、参院選の結果出て来る方向は日本の行く先を決める重要な転換点になると思う。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする