かぶれの世界(新)

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私の田中好子

2011-05-10 17:14:18 | 日記・エッセイ・コラム

先日亡くなった田中好子さん訃報を報じる記事は、どの新聞でも『人気アイドルグループ「キャンディーズ」のスーちゃんこと、女優の田中好子さん』と紹介していた。私にとって彼女はその後半部分の「女優・田中好子」だった。

「キャンディーズ世代」とは50代の人達だそうで、彼らにとって田中好子ではなくキャンディ-ズのスーちゃんなのだそうだ。テレビや新聞にとっても、取り扱いは一貫して女優より国民的アイドル「キャンディーズ」のスーちゃんだったと感じる。

興味深いのは社会的影響を与える世代は田中好子ではなく、スーちゃん(つまりキャンディーズ)ファンのようだ。今日の日本経済新聞電子版はキャンディーズ世代の消費パワーの強さを報じている。私にとって見れば「歌唱力から可愛さ」に変わったアイドル時代の始まりだった。アイドルは歌が下手という私の偏見の始まりだったかもしれない。

一回り上の年代の私の青春時代は「ザ・ピーナッツ」全盛の時代で、彼女達に比べるとキャンディーズは芸会の演芸程度にしか聞えず、何故そんなに人気があるのか全く理解できなかった。多分、それが「アイドル」たる所以ではなかったかと今振り返って思う。

その後田中好子がカムバックして、欽ちゃんのテレビ番組に出たときの事をはっきり覚えている。その時、一人になった方が可愛くて光っているように感じた。彼女がソロシンガーとしてではなく、女優を目指していた事はその時は知らなかった。以降、歌っている姿を見た事はない。

数年たって映画に出演し主演女優賞を取り、彼女は本格的な女優として活動するようになった。テレビドラマにも出るようになって彼女の落ち着いた、芯のある、しかしどこかに寂しさを感じる演技が好ましく思うようになった。だが、何時までたってもマスコミはスーちゃん扱いだった印象がある。

設定された役柄だとしても不思議なことに彼女が演じるどんな役柄でも好きになった。私にとって彼女は田中好子であり、キャンディーズ再結成を期待したことも歌を聴きたいとも思わなかった。だが、二日前NHKが再放送した「鳥帰る」は最後までじっくり拝見した。ご冥福を祈りたい。■

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