先月30日に「やっぱりそうだったのか」と題して、テレビ朝日のニュース番組コメンテーターの一色氏の内幕記事を引用し、抑制された震災報道が番組スタッフの介入によるものだったと投稿した。テレビ放送が「情」に訴える特徴がありその影響力を認識した適切な判断だったと納得した。
それでは、番組スタッフが何に基づいて判断し介入したか、この疑問に答える下記の記事を昨日の日経トレンディのウェブサイトで見つけた。それは西友のマーケティング本部長の富永朋信氏の記事でツイッターが震災報道に影響を与えたというものだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20110510/1035574/?ml&rt=nocnt
富永氏は3.11翌日の水素爆発後様々な見解が入り乱れた混乱から、ツイッターの情報が充実してくるに連れて政府発表や報道を信頼出来るようになり、落ち着きを取り戻したと実体験を紹介している。米国と日本の退避区域指示の違いについても同様な経緯をたどったという。
氏の分析を意訳すれば、ツイッターは多様な情報をリアルタイムで淘汰し、正しいと思われる情報に集約する機能がある。即ち、複数の異なる仮説・分析・意見などを専門家がリアルタイムで(仮想的に)議論し、信頼できる意見に集約していく機能がツイッターにはあるという。
既存のテレビやブログは一方的に意見を伝えるだけだが、ツイッターはリアルタイムで専門家の意見が直接間接に戦わされ、高いレベルで意見の集約がなされた。この時間差をおかず意見を集約するという機能は、今回のようなクリティカルな状況では真に重要な役割を果たした。成る程これが番組スタッフの介入のネタになったという訳だと思った。
冨永氏は「テレビ・新聞の報道トーンは、これらツイッター世論の影響を受けて、批判色が抑えられ、事実を淡々と報道とするのに近いスタンスが見られた。一方、週刊誌などは比較的従来通りの批判的なスタンスが継続され、信頼されなかった」と調査結果を分析している。私も同じ印象をずっと持っていたが、これ程明快ではなかった。
私はブログ世代でツイッターのユーザーではない。頭では理解しても、その持つ圧倒的な力を十分理解していなかった。成る程、これが中東革命で民衆を立ち上がらせ、原発事故のパニックを防ぐ貢献をしてくれたのか、と思った。抑制報道がテレビマンの見識だけでは説明できないと思っていた私には、ツイッターと報道の関係が具体的に見えてきて納得できるものだ。■