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費増税法案の成否がこの1週間で決まる。それは野田政権の命運を決めるだけではない、大袈裟に言えば日本の将来が決まる1週間になると私は思う。政治生命をかけるという「一体改革」の成り行きにより、首相退陣・総選挙・与野党分裂など日本政界地図が大きく塗り替えられる可能性もある(WSJ)という。それがこの1週間内に起こるかもしれないのだ。
野田首相の決意は微動だにしてないように見えるが、小沢元代表率いる反対勢力は相当数に上ると報じられている。かといって修正協議で自民党にすりより過ぎれば、マニフェストの撤回や大幅見直しを求められ党内中間派の反発もあるという。一体改革成立のハードルは高まる一方で、何も成し遂げないまま野田首相退陣という事態も否定できない情勢だという。
野田首相は近年見たことが無い傑出した宰相の一人であると私は思う。ポピュリズム政治が横行する時代に、税・財政・社会保障の一体改革という我国のあるべき将来形に命を賭けて奮闘する政治家は他に思いつかない。多くの国民の目には、足を引っ張る与野党含め他の政治家は選挙のことしか考えてないと見えているはずだ。それが近年の政治不信に繋がっている。
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国にとって野田氏は貴重な宝なのだ。国の宝はどこにでも見つかる訳ではない。彼が首相の間に一体改革を成立させず野垂れ死にするようなことになったら、暫らくは消費増税を掲げて闘う政治家は出てこないだろう。世界から日本は救いようの無い問題先送りと見放され、市場から厳しい攻撃を受ける時期が早まる恐れがある。
「増税の前にやることがある」という小沢元代表の反対論はそれなりに説得力がある。「もう時間が無い、今一体改革をやらなければ手遅れになる」という主張は平和ボケしている国民には迫真性に欠けるかもしれない。多分彼らには分らないだろう。実際、国債を国内調達出来なくなり長期金利が急上昇して財政破綻するまでにはもう少し時間の余裕があるかもしれない。私にも分らないが、それ程長い時間は残されてないということは分る。
問題はここで野田首相を野垂れ死にさせたら、次に誰がやるのかだ。私は小沢氏や谷垣氏がやれるとは感じない。万が一野田首相が退陣することになれば、日本政界が被る後遺症は何年も続き本当に必要な時期に間に合わない事態が起こる恐れがある。この時期に野田氏が首相だったことが我国にとって幸運だったと、何年か後に回想できるように是非なって欲しいと私は思う。■