オリンピックをポーツマンシップという視点で見ることについて「なでしこ」を例に挙げて12日に投稿した。オリンピックは選手個人や各国のスポーツマンシップを競う場、意図せずともスポーツマンシップが見えてしまうことになると。対戦相手を尊敬し敗者をいたわる姿勢を見ると、露骨に言うとその国や選手の成熟度とか品性が見えてしまう。 今夜NHKがなでしこの活躍をフィーチャーした番組があり注目して見たが、「勝つために何をしたか」に焦点をあてた内容だった。確かにオリンピックで勝つことが最重要なのは良く分かるが、それと同じ位にスポーツマンシップは重要であり一切触れないのは残念だった。報じる側に成熟度とか品性が追いついてないのか、或いは編成方針なのか定かでは無い。 何でも欧米が良いわけではないが、報じる側は欧米が半歩先行していると私は思う。その例証になりそうな記事として、雑誌Timeネット版(8月13日)になでしこを「優雅な敗者(Gracious Losers)」と賞賛する記事を見つけた。「よき敗者(Good Loser)」という言葉は欧米で重要な価値観として良く使われる。下記の記事は皮肉でも何でもなくそれ以上の最大級の賞賛だと私は思った。 Gracious Losers: Japan’s Women Celebrate Silver in a Soccer Rematch with the U.S.(http://olympics.time.com/2012/08/09/gracious-losers-japans-women-celebrate-silver-in-a-soccer-re-match-with-the-u-s/?xid=newsletter-asia-weekly#ixzz23VjfLJom ) 決勝で敗れた直後に泣崩れたなでしこが、表彰式では一転して銀メダルを前向きに捉え喜びを爆発させた姿を記事は好意的に受け止めていた。この切り替えもまたスポーツマンに極めて重要でお手本を示したと思う。又、南ア戦の引き分け狙いを批判した米メディアは、決勝での米選手のハンドに一切クレームをつけない佐々木監督の判定をリスペクトする姿勢に黙らされると感じた。 勝ち進まないと如何に素晴らしいスポーツマンシップを発揮しても注目もされない。先ず何が何でも勝つことに集中するのは非難すべき筋合いではないが、ギリギリの勝負になるととんでもない時に思いがけない行為をしてしまう。いわば本性が出てくる。こういう時切り替えの出来るなでしこはまさに世界のお手本になったと思う。競技技術や精神力を超え何事にも共通する大事なものだ。 ゲームの勝ち負けだけを追及しその為の努力にフォーカスした報道のみでは惜しい。英国の観衆が示した敵味方に関らず良いプレーを賞賛する成熟度(自国選手への熱狂的な応援もあったが)とか材料はいくつもある。「なでしこ効果」は震災直後の日本を勇気付けたが、欧米が感心させられたスポーツマンシップも重要な貢献だと私は思う。 オリンピックが熱い注目を受けている時にこそ、次代を担う青少年に最高のお手本を示すべきだと思う。欧米の報道を後追いして日本選手を褒める「後知恵的」な記事でも良いから、先ずそこからはじめたらどうか。普段してないことをやるのは難しい?メダリストを呼んで芸人扱いするのはいい加減止めた方が良い。■