老友も戦っている（２）突然変異

戦っていると言えば、私の場合はスポーツだったり田舎暮らしそのものだ。だが、私と同じ時に同じ会社に勤めた同期の奴らの何人かは、全く違う引退後の楽しみを選択したことを知った。連中にゴルフの誘いを何度か受けたが、私は接待ゴルフにうんざりしていたので一度付き合ったきりだ。

月並みなゴルフではない。先週末に遊歩道を散歩中に久し振りに会ったK君は、何と2年前から社交ダンスを始めたそうだ。「嘘だろう、あり得ない！」と思ったが口には出さなかった。彼は続け様に他の一人はチェロ、もう一人はバイオリンをやってて定期的に演奏会に出ているとのこと。

同じハイテック会社に勤めたのに、私とは180度違う方向を向いて退職後の生活を送っている。私は音楽を聴くのは好きだが楽器はまるでダメ。クラシック音楽とか社交ダンスと聞いても全く別の縁のない世界だと思っていた。そう言えばK君は何か若々しくシュッとして姿勢が良い。

「何だ、決めやがって！」、「どうせオバサンと踊ってるんだろう」と思ったが、勿論口には出さなかった。嫉妬の気持ちがムラムラと湧いてきたが私には絶対無理な領域。こいつらは突然変異だ。何とも羨ましいが、もう無理だ。

明日、私は市の混合バドミントン大会に出場する。パートナーは当日抽選で決まるそうだ。年々ランクが下がり最も下のクラスのリーグで戦うことになるのは間違いない。その中でも多分私は最高齢の出場者になるだろう。パートナー（オバサン）に嫌がられない様頑張ろうと思う。■