橋下大阪府知事が5兆円の財政赤字解消の為「財政再建プログラム試案」を説明し、府下の市町村首長の強烈な反発を受けて涙したと報じられ話題になった。公の席で涙を流して訴えるという従来なら醜態とも見られかねない事態も、府民には概ね好意的に受け取られているとの事だ。
ところで、同じように財政危機に陥った埼玉県が上田知事の下で行財政改革を着実に実行して静かに成果を挙げていることは余り知られてない。私自身、先月日経ビジネスが上田知事をインタビューした下記の記事を読んで初めて知った。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20080321/150775/
かいつまんで説明すると2.8兆円の債務を抱える埼玉県知事に2003年9月に就任した上田清司氏は、人員削減、天下り廃止、出資法人の黒字化、中小企業向けの融資強化し貸出残高全国一、創業支援制度により企業誘致推進など、多くの指標で全国トップクラスの業績を上げた。
注目されるのは天下りをすべて廃止し出向にしたことだ。出向先で成功し業績を上げると復帰して昇進する道を作ったことにより、公務員が出向先でお荷物にならず業績を上げる動機付けとなっていることである。これによってお荷物だった出資法人が活性化されたという。
昨年再選された時、対立候補は上田県政の下で福祉や教育が切り捨てられたと訴えたが、県民は行財政改革や経済振興の実績を高く評価したようだ。これだけの傑出した業績を上げているのに埼玉県で何が起こっているか私は何も知らなかった。何故注目されないのだろうか。
その後注意して新聞やネットを見たが主要なメディアは一切取り上げていない。上記記事は注目度が高く多くのネチズンのコメントが紹介されていた。だが、引用記事はあっても更に突っ込んで調査したような記事は見かけなかった。
何を報じるかより、何を報じないかが、メディアの基本姿勢を的確に表す場合がある。
宮崎や大阪のタレント知事だけをもの珍しさもあってメディアは取り上げるが、視聴率が取れそうも無い埼玉県のことは無視されている。上田知事がショック療法を取らずアメとムチでじわじわと市町村に改革を受け入れさせる手法を採ったため、ニュースになりそうな劇的な場面がなかったからかもしれない。
だが、「埼玉の奇跡」はもっと国民に伝え政府や自治体の行財政改革の比較・参考にすべきだと私は思う。宮崎県や大阪府知事の奮闘振りを面白おかしく伝えるだけでなく、例えば埼玉県が達成した各種指標を数字で比較してクールに評価し視聴者や読者に伝えるべきだ。■
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