かぶれの世界(新)

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毒の覚悟、毒を食らわば皿まで

2015-09-08 11:36:33 | ニュース
この比喩は適切ではないかもしれない。一旦悪事に手を染めたら居直って続けるという意味だが、ここでは「どうせここまでやったら、最後まで筋を通してやり抜こう」という覚悟を示す例えと読んで頂きたい。ドイツは毒を食う覚悟で凄い決意をしたという意味だ。私はこの国の決断に驚き深く尊敬すると同時に何もしない我国を恥じる。

シリア難民がギリシャやハンガリーを経由して欧州に押し寄せ、欧州は揺れている。欧州は難民受け入れに一枚岩で取り組んできた訳ではなかった。イタリー・ギリシャ・ハンガリーのは海路・陸路で押し寄せる難民の処理能力を超え支援を求め、一方東欧及びバルト沿岸国は受け入れに反対、仏英なども必ずしも積極的ではなかった。その中でドイツとスウェーデンのみが積極的に受け入れて来た。

だが、先日トルコ海岸に漂着した3歳児の遺体の写真が欧州だけでなく世界に衝撃を与え風向きを変えた。難民受け入れを妨害した為にいたいけな子供が犠牲になった、積極的に受け入れを政府に迫る声が高まり事態は動き出した。元々積極的だったドイツだけでなく、英仏も人道的対応を求める世論に押され数万人単位の難民受け入れに動き始めた。

ドイツは昨年の4倍の80万人の難民申請があり、その7割が定着する見込みだという。そして難民の職業訓練等に100億ユーロ(1.3兆円)を使うという。ギリシャ支援とは大違いだ。巨額の税金が難民の為に使われ、近年社会保障を削られた階層からの反発が予測される。これだけの難民がいれば犯罪が増え、ある比率でテロリストが紛れ込んでいるのも間違いない。その意味で「毒を食らわば皿まで」とドイツは覚悟したと私は思った。

多くのドイツ国民がこの政治決断を支持していることが凄い。我が国の政治状況を考えると改めて凄い国民だと感じ入った。3歳児の遺体の写真の威力は凄かった。地球の裏側のブラジルは受け入れに積極的でない欧州を非難し、自国の難民受け入れを増やした。豪NZも高まる世論に押され難民受け入れが2万人を超す見込みという。難民受け入れは世界的に広がっている。

ところが、我日本では悲惨な子供の写真が流れても何の動きも起こらない。オリンピックのブランドロゴで1億円が無駄に使われたと連日バカ騒ぎ、マスコミの見識のなさは見ているだけで恥ずかしい。国会審議中の安保法制に対して「戦争反対」と連呼するデモも、自国さえ良ければいいという身勝手さ丸出しだ。正直な所、これでは日本人はドイツより遥かに劣る国民と自ら宣言している様なものだ。

ドイツは世界平和の為に軍事力を行使する、我国の野党や国会前のデモが主張する「戦争をする国」だ。ドイツはその一方で、国民の不協和音を覚悟して巨額の費用を使い難民を受け入れる。ドイツの突出した人道支援の訳は第二次世界大戦の戦争責任からという。政治家と若い専門家が文字通り自宅を提供しているのだ。一般市民が見知らぬ人に親切にし、政府の決定もその延長という(FT)。「身勝手な孤島」の教訓とは余りに違う。■

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