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復党問題を考える

2006-11-19 16:44:45 | 国際・政治

郵政民営化法案に反対した所謂造反組の復党問題は、田中直毅氏が命名した「2005年体制」の未来を決めると私は考える。小泉改革を支持した選挙民のメッセージは郵政民営化というシングル・イシューではなく、既得権益を握る政財官が牛耳る政策決定プロセスから転換してくれというものだった。

造反組は古い既得権益の代弁者の性格を持っていた。改革派は総選挙で圧勝したがこの代弁者は地方の強い支持基盤で生き残った。復党問題が起こったのは参院自民党が日本医師会や郵政、建設業界など業界団体が支援する候補が多く在籍し、造反組と支持基盤が重なるからだ。

参院選では地方の一人区の帰趨が勝敗を決定するとみられており、そのためには造反組の力を借りて業界団体の支持を得ないと勝てないという主張が復党を推進する側(彼ら自身もその支持を受けている)の本音だ。業界団体の狙いは歳出削減には消極的ないわば大きな政府を望む。

一方で、タカ派ばかりが目立つが安倍首相の回りには経済改革派で固められている。首相就任後、大臣・補佐官から委員会まで改革継続するする人事を明確に打ち出し市場の不安を一掃した。政策面で言うと構造改革を推進し公共事業等を徹底的に絞り歳出削減を目指す。彼らは概ね沈黙を保っている。

復党問題は人材公募で選ばれ落下傘候補として選挙を戦った所謂小泉チルドレンには痛撃となる。自民党自体および人材公募プロセスの信頼性を傷つける恐れがある。しかし、安倍政権にとっての最優先事項は先ず「政治の現実」、主義主張よりも参院選の勝利であろう。

従って今後従来の方針と矛盾する判断が出て来て分かりにくい状況になる可能性が極めて高い。しかし、選挙民は自民・民主の選択も含め「2005年体制」の政策決定プロセス維持か否かで判断すればそれ程難しいことにはならない。総選挙で示された民意は政策決定プロセスに対する支持であり、それが逆行することはないと考える。

もう一つの判断情報として私は市場の反応を見守りたい。外国人投資家は日本株式の約20%を保有、売買シェアは何と50%を越える。彼らは改革が弱まりかつての既得権益をベースにした政策決定に戻ったと思えば、日本経済の未来を悲観的に見てさっさと資本を引き上げる。状況が変わったと思えば、非常に分り易くドラマティックな変化が起こりうる。安倍政権を性格付ける最初のテストであると考える。■

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