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食材偽装のいじめ報道

2013-11-17 17:49:15 | ニュース

阪急阪神ホテルズのレストランがメニューと異なる食材を使ったメニューの虚偽表示は発覚して以来、全国の有名ホテルや百貨店が相次いで同じ問題があることを公表した。「誤表示」などと言葉使いをしても、やっていることは「偽装」だ。誤表示といって言葉使いまでごまかしていると感じ私は不愉快だった。

不祥事の背景にあるのは、ホテルや百貨店という大組織の中のレストランに共通する問題であり、調達部門と調理部門が分かれ経営トップからコストダウンの圧力を受けて発生したという。食の信頼を大事にするオーナーレストランでは起き難いことだと思う。ブランド化された食材や老舗の百貨店やホテルを有難がる消費者(失礼ながら愚かな消費者!)も一因という。

一連の騒ぎが落ち着いたところで「メニュー偽装」について私の感じることを述べたい。阪急阪神ホテルズの社長の記者会見を見て、行きつけのカフェのマスターが「酷い会見だった。これで終わりにならないだろう。」と予言した通りになった。見るからにサラリーマン社長でテレビ的に反省の姿勢が伺えない会見の様子が繰り返し報じられ、一種のいじめで社長辞任に追い込まれた。

二度目の記者会見は私も見た。彼は鉄道畑出身だそうで、いかにもサラリーマン的風貌と受け答えだった。これじゃ駄目だと思ったと同時に、元サラリーマンの私としては同情を禁じ得なかった。私の常識では大企業だったらコンサルタントもしくは総務部門が想定質問回答集を作り、社長は十分準備して会見に臨んだはずだと思ったのに何故あんな粗雑な対応をするのか。

この件に興味を持ち息子と意見交換した時、コンサルタントの関連業界勤めの彼はそんなものないはずだと断言した。テレビの報じた内容だけから判断するとその通り酷い内容だった。消費者相手の商売なのに不用意な記者会見内容が私には不思議だったが、まあ自業自得だと思った。

私が今問題と感じるのは、その後続発した同種の問題についてテレビは追求の熱意を失い、型通りのニュース報道で済ませたことだ。当然ながら後から露見した会社の責任者に対する追及は弱まり辞任に追い込まれる恐れも格段に少なくなったことだ。だが最初の餌食になった阪急阪神ホテルズ社長は、受け答えの拙さに加えテレビ的に「いじめられ易い顔」をしていた。

社長辞任にまで追い込んだのなら、同種の問題について最初と同じ熱意をもって後続して露見した(業界共通の構造的な)問題についてもしっかり追求すべきだと思う。辞任した社長は辞め損になる。そうでないと、今後も不祥事が起こると、見つからないよう秘匿に努め、誰か不運な奴が最初に見つかると、時期を見てこっそり告白する方が被害が少なくブランドイメージを守れる。そんな歪んだ発想を助長することになると思う。

だが、身近に参考になることがある。公共工事の談合問題を無くす為に、内部告発を最初にした企業を有利に扱うルールに変更して談合が劇的に減ったという。何かと言えば官僚的と批判するが、テレビ等のマスコミ報道はこの精神を見習ったらどうだろうか。社長を辞任させる権力を持ったマスコミにはその責任がある。最初に不祥事を発表したところだけが著しく痛めつけられるいじめ報道から脱却し、背景をきちっと調べ構造的な問題まで掘り下げて報じて欲しい。■

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