かぶれの世界(新)

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大統領選後知恵: 青い不安

2004-11-12 12:58:42 | 国際・政治
選挙結果をどう見ているか知り合いの米国人に聞いてみた。私の知り合いは主に東部及び西海岸にいるハイテック関連のビジネスマンなので、聞くまでもなくケリー支持が殆どである。しかし、彼らとは今まで政治の話をしないように用心して付き合ってきた。その中で南部でも働き、特に日頃人との接触が多い現場での経験がある友人に恐る恐る聞くと、ケリー支持で今回の結果に失望していることを予想外に率直に伝えてきた。彼の意見にはある共通性が見られるので抜粋して紹介したい。

彼は下記のように一部報道されたブッシュ反対派の深刻な落胆と同じ反応を示した。身近な友人のブッシュ政権への強い嫌悪感と将来への不安は予想以上で正直なところ驚いた。
My fear now is that Bush and his staff, who I believe are the real drivers of the government (and are more dangerous than Bush), actually believe that they have a mandate to become even more extreme. I fear that one of the nuclear powers will in fact act like Bush, and attack us proactively, before we attack them.

通常言葉には出して言われない本音が続いた。彼がブッシュの票田である赤い州(中西部及び南部の州)で働いた時、青い州(民主党票田の東部及び西海岸諸州)から来た管理者の元で労働者は昔から上に従順な文化の土地の人で指示待ちのフォロワーであったと断じている。ブッシュは数年かけてこの人達にピッタリ合わせた選挙戦略と自らのイメージを作り上げ、それが成功した(ブッシュ家自体は東部のエスタブリッシュメントである)。一般の報道ではここまでは言い切れない。 
As an aside, my read of the "red" states vs. the "blue" states can at least partially be explained by this: cultures in the "blue" states have historically been driven by the leaders in business & society. People in the "red" states have typically been followers, who prefer to show up each day & have someone tell them how to think. I have worked at a few manufacturing plants in "red" states; the workers were local, and the management staffs were almost entirely from "blue" states. Bush has spent several years fine tuning a process of finding the followers, and posturing himself as a self-rightous, church-going fundamentalist. He motivated them with fear, told them how to think. It worked.

例えは良くないが私にも逆の立場から類似の経験がある。ワシントン州政府が先端医療研究施設を作った時、地元には専門家がいないため研究所を運営する幹部は殆どカリフォルニア州から大金を投じて雇わざるを得ず、その下で地元の人たちが低賃金で働くことになり、裏でカリフォルニアから来た人達を快く思っていないという話を馴染のマッサージ・セラピストから聞き、当時働いていた工場で他州から多くのプロのマネ-ジャを雇う事は大丈夫か人事マネージャに確認したことがある。 

いずれにしても、彼は潜在意識下で劣っている人達に選ばれた頭の悪い大統領が何をやるかわからないと言う先に希望が見えない不安があり、これは彼個人の思いというより民主党支持者が共通に持っている言わば「青い不安」であると思われる。 今や「赤い州」、「青い州」は流行語になっており、今後の米国政局の成り行きを語る上でのキーワードになりそうである。


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忍び寄る今世紀最大の危機「肥満」

2004-11-10 17:54:14 | 健康・病気
今月8日厚生労働省は2002年度調査の結果、20歳から60歳までの成人男性の肥満が97年から5%増えて29%、40歳から60歳までの女性の肥満が同じく1%増えて26%になったと報じた。痩せすぎの20代女性が同じく4%増えて27%になった特異事象も報じられている。それでも日本の肥満の割合は少ない方である。
米国では成人の1/3が「やや肥満over-weighted」、1/3が「肥満obese」合計1.3億人となり、中でもメキシコ系及び黒人女性の「やや肥満」以上の割合が70%以上と報告されている(2002年NIH国立衛生局)。その結果医療費が年間120Bドル(約13兆円)に上昇、深刻な生産性低下をもたらし、今回の大統領選でも重要な争点となった。英国では過去20年に肥満が3倍に増え国民の1/5が肥満、2010年には1/4が肥満になると警告している。
USA Today(12/15/03)は両親が肥満の子供は60-80%の確率で肥満になり、同じく痩せている場合は9%の確率で肥満になる、更に肥満のメカニズムと食生活の関係を説明し、結論として遺伝子と生活習慣変化の組合せが肥満を作り出しているとし、結果として医療費の圧迫と保険にかからない子供の比率が17%を越えたと警告している。
しかし、最も深刻なのは南アジア諸国であると最近報じられた。インドでは今年の調査で55%の成人が「やや肥満」以上であると報じられた。中国では92年から10年間に「やや肥満」が2倍になり2億人になった。問題はこれらの地域はつい25年前まで慢性的に飢饉が発生して来た地域で、最近の経済急成長で栄養事情が急変して肥満が急増していることである。何万年にもわたる栄養事情が生み出した肥満遺伝子(英訳は逆でstarving gene)を受け継いだ子孫が生き残って現在のアジア人となっているのである。WHOはこの遺伝子をもったアジア人の特性を考慮してBMIの定義を以下のように変更している。
              「やや肥満」   「肥満」
        西洋人    25-29     30-
        アジア人   23-25     26-
カロリーの過剰摂取は主に腹部に異常な脂肪を蓄積し、心臓病、癌、高血圧、糖尿病を招く。 私も過去1.5年の間に「やや肥満」から普通に体重を減らしたことにより薬なしで血圧、尿酸が正常に戻った。このままだと2030年までに中国とインドだけで1億人、アジア全体で1.9億人が糖尿病になり、アジアの健康管理システムはオーバロードすると予測されている。既に中国の高血圧患者は1.6億人を超え診療能力目一杯まできている。しかし、アジアの肥満問題は最近流入した米国スタイルのファーストフードを止めれば解決するほど簡単ではなさそうである。
最新号のタイムによると、肥満にとって有史上最悪の発明は古代中国等の農業の発明で、その結果、人口密度が高まり野生動物の肉・果物・野菜から、穀物・家畜の肉を食べるようになり人体に本質的なアミノ酸・ビタミン・ミネラル等の働きを傷めた。この時代を境に体格が悪くなりカルシウム不足・虫歯・バクテリアなどの影響を受けた人骨が発掘されるようになった。そしてこの四半世紀に西欧諸国で産業革命以降200年かけて起こった生活の変化が濃縮して起こり、決定的な影響を与えた。中国農村で電話のない生活から一気に携帯電話を使うようになったと同じ事があらゆる生活局面で起こっていると考えれば如何に急激な変化か容易に理解できる。既にアジア各国政府は肥満が増え続けると危機的な状況になると理解して対策を打ち始めている。肥満先進国の米国ですら未だ状況は悪化しており簡単に事態を改善できる決め手はない。ダイエット産業は急成長し、レストランはローカロリー・メニューを充実させても依然肥満増加が続いている。安価な薬の輸入促進等による医療費低減は元を断たない限り効果がない。
私は自動車保険がポイント制を導入したように生命保険業界はBMIによって保険料を変えたらどうかと思う。今や肥満から生じるコストは社会的に脅威を与える程になりその責任を個々人が負担する仕組が必要ではなかろうか、「肥満税?」一寸聞こえが悪いが。 


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コンサルタントの値打ち

2004-11-08 11:40:34 | 資格・転職・就職
今年の春首都圏にある中小企業の経営コンサルタントを初めて行った。以前勤めた会社では世界トップのコンサルタント会社から日本の中規模なソフトウェア会社まで多くのコンサルテーションを受けた。コンサルタント会社にはそれぞれ得意領域があり、その成果が期待通りの時もあればお金をどぶに捨てたような結果になったこともある。仕事柄コンサルタントの良し悪しについて何度も同僚と議論、評価した。実際やってみると口で言うほど易しくないと言う当たり前の体験をした。コンサルタント会社経営の友人の話を聞き、書物を紐解いて両方の立場から改めてコンサルタントの価値を考えてみた。

コンサルタントとは顧客に提案し、合意に基づき調査・分析し、その結果を整理して最終報告として経営改善の提案書を出すまでの作業である。最初に調査を提案する時は適切なテーマを提示する業界知識が必要で、顧客にアピールする個人的魅力が望まれる。この段階でコンサルタントはその企業が抱える課題・機会に対しある仮説を持っておく事が非常に重要で、調査・分析をこの仮説に当てはめ見直し整理し、顧客のフィードバックを得て最終的な経営改善の提案をする。この最終提案書の提出でコンサルテーションが終了すると言うのが私の理解であった。

大手のコンサルタント会社は継続して提案を実行に移す仕事を請負い、かつこの領域で殆どの収益をあげている。従って、最終提案書の提出自体はコンサルタントの値打ちの1割しかないと主張している。4割は顧客の会社の能力と不足分のアウトソースを総合して細部にわたって実行可能な計画を作る所にあり、更に残りの5割が顧客の会社全体が経営改善実行に燃える環境作りをすることにあると説明している。経営改善を成功させる為には当然のことで、経営改善プロジェクト実行を請け負うコンサルタント会社の考え方は顧客のニーズと一致している。私にとり提案書提出は終りだが、彼らにとっては始まりで、後がなければ失敗なのである。

10年前米国で使っていた世界最大手のコンサルタント費用が月3万ドルと聞いて驚いたが、この定義通りであれば異存はない(定義通りとはとても言えなかったが)。今考えると私の初体験は、次ステップのプロジェクト実行を必ず受注するという迫力に欠けていたかも知れない。現在この会社は経営改善プロジェクトの一環として専門家の助けを得てIT導入を開始している。時々社長に様子を聞いているが、私の提案がどう貢献しているか未だ評価できる段階にはない。残りの9割の価値がゼロであったと言われるのはつらいが、皮肉にも収入はその近辺だった。


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大統領選後知恵: 出口調査の誤差

2004-11-08 09:45:44 | 国際・政治
東部諸州の投票が開始されて間もなくTV及びインターネットは出口調査(exit pollと言う)ではケリー優勢と全世界に報じた。民主党は沸き立ち受諾演説準備を開始し、共和党は重苦しい雰囲気に包まれた。しかし開票が進むに連れ少しずつブッシュ優勢に傾き、フロリダ州でブッシュ当確となった時点でブッシュ勝利の可能性が大きくなり共和党に活気が戻った。ブレア首相はがっかりして床についたが翌朝情勢変化に驚いたと報じられた。初期の出口調査が実態とは異なる(skewと呼んでいる)事が明確になった。NYタイムス、Wポスト等の新聞各社は選挙結果の解釈と併せて出口調査が外れたことを報道側の重要な問題として調査報告している。
出口調査は主要報道機関が個別に実施するのではなくEdison/Mitofsky社が実施した出口調査データを受け、それに報道各社が持つノウハウと独自ソースの情報を反映してコンピュータ処理し当落予測をする。今回投票が終了する前に、と言うより投票が始まると時間をおかず出口調査の生データが漏れた。その情報が民主党に偏っていた事がミスリードを招いた。出口調査会社は初期の誤差は大きいが時間の経過に連れ精度が上がる、今回もその通りになったと釈明した。しかし、そういうことなら問題は何故早期に出口調査データが漏れたかだが、それに対しては誰も答えていない。
NYタイムスは誤差の原因について法的制限があって出口調査が投票場に十分近いところで実施できなかった、全体的に民主党支持者、女性が出口調査に対して積極的に対応する傾向が反映された事をあげている。私はこれを聞いて、初期のケリー優勢のニュースを知ったブッシュ支持者が危機感を持ち投票率を高めたと言う所謂「アナウンス効果」があったと思ったがそういう報道は見当たらない。日本的な反応なのか米国の友人に聞いてみたいと思っている。
出口調査の誤差がこれだけ大きかったのは1988年以来と言うが、その後も起こっている。96年の予備選ではP. Buchanan支援が燃え上がり出口調査で31%と出たが、実際には27%の投票しかなかった。日本では投票が終わる前に出口調査状況が判るような例は聞いた事がない。2000年の混乱を反省してABCを除き報道各社は非常に用心して当確を打たなかったが、出口調査も誤差は付物であり慎重な扱いをせよと言うのが教訓であろう。


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大統領選ブッシュの勝因(速報)

2004-11-03 19:26:44 | 国際・政治
ブッシュは未だ勝利宣言していないが、総得票(Popular Contest)ではケリーを2%以上引き離し、同時に行われた上下院選挙に勝利し、次の4年間ホワイトハウスの住人になるのはほぼ確定した。ウォールストリートは既にブッシュ勝利を見越して大幅アップする準備(?)が出来たと報じられている。正式に決定するのはオハイオ州の票が確定しなければならず、法廷闘争に持ち込まれる最悪の事態にならないとは言い切れないが、時間がかかっても結論は変わらないと思う。 さてここで一寸早いが、このブログの特徴である先走りをしてブッシュの勝因を考えてみたい。勝因は選挙参謀カール・ローブ氏の戦略がまんまと決まったということである。即ち、今回支持基盤を広げる代わりに従来の支持基盤を固めその投票率を高める方針であった。言い換えると無党派層の票を取り込むよりもキリスト教保守派・原理主義者に必ず投票させるよう選挙運動した。しかし、それだけでは答えになってない。今回非常に多くの新有権者が投票したと報じられ、従来なら新規投票は民主党候補に向かうとされていたはずである。これについては今後の分析を待たねばならないが、ABCによると華氏911のマイケル・ムーア氏が民主党運動の顔のようになり、彼の極端でエキセントリックなアプローチが多くの無党派の嫌悪感を招き逃げていったと言うのは仮説として悪くはない。いづれにしても結果確定には時間が必要なようだ。  

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