かぶれの世界(新)

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福田氏総裁選不出馬は誰の為

2006-07-23 11:22:30 | 国際・政治

噂されていた福田元官房長官の総裁選不出馬が正式に表明された。報道によると年齢・支持率低下・靖国を争点にしないがその理由だという。彼が総裁後継の候補とされて以来米中韓やアジア諸国などに外遊し意欲満々だったはずなのに何が起こったのか。

これについても既に憶測が流れている。一つは北朝鮮ミサイル発射事件が安倍氏との差を決定的なものにして勝ち目のない戦になったからという。この間福田氏は意図的に発言せず(彼らの言葉によれば生体反応せず)自ら降りる場を作ったと私は思う。

靖国神社首相参拝を争点にしたくなかったというが、その前に国立追悼施設を提唱しアジア外交修復の為散々参拝を反対してきており、今更それを理由にして降りるのは理屈が通らない。年齢について言えば、父親の福田赳夫氏が首相になったのは彼より年上だったし、そんなことは初めからわかっていた。

そのほかに森派の分裂を防ぎたかったという説もあるが、実は派閥内の支持が殆ど無かったと報じられている。総裁選を戦う資金不足という説もあるが、かつてと異なり総裁選で札束が飛ぶ時代ではない。

結局のところ福田氏は自分が可愛かった。彼は党内支持者が熱い思いで大挙してきて是非出てくれというのを待っていた。総裁は担がれてなるもので自ら手を挙げて戦うなどという恥ずかしいことは誇りが許さないと考えていた。彼に近い筋から漏れ出たという推測記事であるが、これが本音の不出馬理由であると私は信じる。

しかし、我が国の首相になる総裁選の有力候補がこういう次元で出馬不出馬を決めたのは実に残念だ。何故自らの考えを主張し党員、即ち国民の前で正々堂々と対立候補と意見を戦わせないのだろうか。

ここで降りるのは総裁選の争点を曖昧にし、結果的に自民党内の古い体質を温存させ為にならない。安倍・反安倍の対立軸はその顔ぶれを見ると、年金や消費税よりもむしろ新旧既得権益と安全保障(米国追随か米中バランス外交か)という権力闘争である。郵政解散後も対立の根は深く残っている。

福田氏の不出馬はこの基本的に相容れない考えを白日に晒して国民の前で議論する又とない機会を奪った。勿論、代替の対立候補が擁立され総裁選は戦われるだろうがもう勝負は決まったようなものだ。不出馬が何をもたらすか福田氏は分かっていたはずなのに、自分の誇りの為に止めたという風に見えるのは誠に残念だ。■

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リコール報道の不公平(続)

2006-07-22 16:12:57 | 社会・経済

パロマ対応と業界標準

昨年暮れ松下電器が温風暖房機の事故に際して、全ての新聞テレビの年末商戦広告を中止して問題商品の告知を流し、素早く徹底した対処をし松下ブランドの信頼を繋ぎとめた時、今後これが業界標準になり事ある毎に比較されることになるだろうと述べた。

本日の日本経済新聞はパロマ工業と松下電器の事故発生からの経緯比較を掲載した。事故対象機器、事故内容、事故原因、死亡事故発生時期、事故把握時期、公表時期、出荷台数、対策について両社の対応を比較してある。どうも初動に誤りがあったようだ。

初動を誤るとツケは100倍に

記事によると危機管理の今後の焦点として情報把握、再発防止、製品回収の3つの課題を挙げている。危機管理の肝は初動に始まり初動に終る。パロマの場合最初の死亡事故発生した85年に問題認識されていたにもかかわらず根本的な処理を打たなかった為結局20年分不具合を蓄積し、まとめて巨額のツケを払うことになった。

初動のゴマカシが以降の対応を狂わせ結果的に巨額の損失になる例である。まさに嘘に嘘を塗り固めて行くところまで行った。当時の通産省の業界保護の姿勢が危機感度を鈍らせた模様だ。その時は繕えても何時かは暴かれ、それも逃れた時は大袈裟だけど歴史が裁く。

今も停滞する危機情報

今月14日の最初の説明時には大問題と認識したのは91年と説明したが、18日の会社説明では最初の事故が発生した85年にはもう認識していたと訂正された。この手の食い違いは今もって社内のどこかで情報が留まる隠蔽体質があるという証左である。

社内の品質管理、危機管理とそれに魂を入れる人事考課システム等から生まれる社員の認識も足りなかった可能性が高い。20年前の危機管理のツケを2005年の今の業界標準に基づいて払うのはこの規模の会社にとって大変な負担で、それが分かっていれば当時の対応も変わったかもしれない。

トヨタは業界標準を作れ

しかし、規模の大小にかかわらず経営幹部にはそれだけの先見性と洞察力、しかし一般常識、が求められるのである。私は今回同時進行中のリコール隠し事件でトヨタが企業防衛の域を出てない対応と言い訳をしたのに失望を感じえない。松下電器と同じように過去は過去としてトヨタに業界標準を作ろうという気概を求めたい。

トヨタは自動車の世界トップメーカーとして最高益を出し、社業ばかりでなく日本経済の構造改革へ多大な貢献をしてきた。過去10年間トヨタ式管理手法が経済以外の他の分野でも機能する普遍的なものであることが世界的な認識となった。

しかし、たとえば自動車が地球温暖化の原因になっていることをもっと真剣に受け取るべきである。ましてやリコール隠しで後ろ指を差されるようでは情けないではないか。金儲けの上手い会社だけ言われトヨタの誇りが許すのか。トヨタはリコールの業界標準を作るつもりで取り組むことを期待したい。■

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リコール報道の不公平

2006-07-21 11:21:19 | ニュース

先週からパロマ工業の瞬間湯沸かし器事故とトヨタRV車「ハイラックス」のリコール放置疑惑が報道されているが、テレビの扱いは公平さに欠けると私は感じる。いつもだとテレビは問題を起こした当事者から周りの人まで徹底的に痛めつける。不祥事に対する報道は弱者を執拗にいたぶるジャングルの掟と言って良い。

しかし湯沸し器に比べRV車リコール隠し疑惑の報道は甘い。既に熊本県警はトヨタの部長以下3人を業務上過失傷害容疑で書類送検したにもかかわらず、である。通常ならテレビは根掘り葉掘り調べ容疑者を断罪する報道を始める。関係者が書類送検され担当の副社長も少なくとも当時報告を受けていたのである。

事故報告はトヨタ組織の中でどのように伝達され、どういうプロセスで処理され、最終的にどの責任者が意思決定したかを解きほぐし、何処に問題があったか突き止める熱意を持って取材した形跡を感じない。初めから腰が引けているように感じる。

熊本県警が捜査に必ずしも協力的であったとは思えない世界的大企業のトヨタに対し、データを収集しトヨタ幹部3人を書類送検にまで持っていったのも大変なことであったと思われる。今日本で最も政財界に影響力を持っているトヨタが相手、経団連会長を出しているだけではない。その貢献も単なる企業活動以上のものがある。県警とトヨタの言い分を比較分析し批評するなど、報じることは幾らもあるはずだ。

大スポンサーであるトヨタに対しテレビが抑制して報道しているように私には感じる。普段は扇情的な報道をする朝のニュースバラエティや夜のニュース番組が問題を強く指摘しないのは不自然な感じがする。パロマ工業とトヨタの宣伝費に比例した報道になってないだろうか。

結局いつものように強者であるスポンサーにおもねり、弱者叩き報道をしている。延々と子殺し母親事件に時間を使い、伝えるべきことを伝えないのでは視聴者の信頼を失うことになる。■

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パソコン販売失速が危機的水準に

2006-07-19 13:50:51 | 社会・経済

ドイツW杯で日本代表の早い敗退でテレビや録画機の売り上げが鈍化し、4月のW杯商戦開始以来不調だったパソコン需要が戻ると期待されたが、Gfkによれば電気量販店の6月パソコン販売台数は対前月比9.3%減,販売金額は同11.0%減(前年同月比では,台数ベースで16.5%減,金額ベースでは19.6%減)であった。

総務省からのデータは6月の速報値はまだ公表されてない。5月家計消費は前同比実質1.8%減だが、そのうち教養娯楽消費は同実質3.8%増であり、決して環境は悪くない。パソコンから他の商品に消費が向かっているということだ。

通年で見ると好調に滑り出した第1四半期の売り上げ増を食いつぶし終にマイナス成長になった。3ヶ月連続で前年割れが続いた結果、2006年1月からの累計販売金額は対前年同期比10.4%減と二桁のマイナス成長だ。

経営の視点から言うと前年同期比売り上げ二桁減というのは非常事態である。特にパソコンのビジネスモデルは1-2%の薄いマージンをベースにしているので、殆どのパソコン・メーカーにとって販売減は即赤字転落の危機に陥るはずだが、表向き緊急事態の警報が聞こえてこない。

その理由を理解するヒントは価格にあるかもしれない。今回の販売不振では従来と異なりパソコンの値崩れが起こっていない。6月の平均販売価格は,デスクトップ型が前月より1931円下落して12万9006円,ノート型は前月から2873円下落して13万4470円だった。

通常はサプライ・チェーンのどこかに、特に下流に余剰在庫があると値崩れの恐れがある。近年の販売店及びメーカーの在庫管理技術が進歩し、需要予測精度の向上と調達のリードタイム短縮により在庫水準が低下した。今回の急激な需要減に対応できたとしたらたいしたものだ。しかしそれだけではまだ説明が十分ではない。

部品レベルでは主要部品の液晶ディスプレイはテレビ及びパソコンの需要減の影響を受け値下げが続いていると聞いている。製品価格へ波及する可能性は高い。いずれにしろメーカーは製品棚卸水準を適正に保てても、売り上げが二桁も減るとそのままではビジネスは維持できない。

メーカーは現状の販売減の原因分析と今後の販売予測を見直し、ビジネスのあり方を見直しているはずだ。その結果として、今年後半もしくは来年春までにパソコン業界でシェークアウトが起こる可能性は極めて高い。(私の予測では確度0.7)■

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北朝鮮ミサイル報道

2006-07-17 18:26:52 | 社会・経済

非難決議は考えうるベスト

15日国連安保理で制裁条項を含まない北朝鮮非難決議が満場一致で採択された。結論から言うと妥当な落とし所で決着したと私は思う。予想された決着としてベストだったと考える。日本の主張は世界に認識され今後の北朝鮮制裁の根拠を手にいれた。

自ら先頭に立って動くことにより米国との友好関係のもたらす影響力と限界を実体験し、一方で中国の顔を立てると同時に今後の対応に縛りを入れた。日本が米中露及び朝鮮半島にこれほどの影響力を与えたことは久しくなかった。

W杯「はしゃぎ過ぎ」と同じのり

この間の報道に北朝鮮のミサイルの脅威以上に危うさを私は感じた。ミサイル実験直後早朝からテレビ等のメディアはこの世の終りみたいな大騒ぎを始めた。識者が出演し万が一日本に向けてミサイルを発射されたら防ぐ手立てがない、何十万人かが死亡する・・・等など。

ところが北朝鮮は態度を変えた訳ではないのに非難決議が採択された今朝からテレビ報道が急激に減った。実力以上の期待感だけ煽ったワールドカップの「はしゃぎ過ぎ」や、覗き趣味の子殺し母親報道と変わらない「のり」を感じる。「マッチポンプ」といって勝手に火をつけて大騒ぎし時期を見て消しに回った政治家がいたが、これではマッチポンプ報道だ。

これでは世論をミスリードする

北朝鮮ミサイル実験危機を連日朝から延々と煽っておいて決議採択されるとだんまりじゃあんまりだ。今までの大騒ぎはなんだったのか。世界大戦前に勇壮な記事で国民を煽り戦争に導く一端を担った新聞と同じようなたちの悪さに一脈通じるものを感じさせる。

今後、憲法改正して自国の防衛の為の軍事力を持った時、メディアが世論をヒステリックにミスリードし暴走する恐れを感じる。例えば「自衛的先制攻撃」等と言って軍事力の行使を煽ったらどうなるだろうか、などと考えてしまった。日本が将来強力な軍事的報復力を持ったらどういうことが起こるか。

メディアの重い役割

従来、日本のメディアとお気に入りの評論家は米国の傘の下の外交を謂わば他人事のように批判すれば用が足りた。彼等も現実の世界で考え発信し世界世論とコミュニケートする能力・経験は政治家や官僚より余程未成熟で低レベルであった。

日本は顔が見えない、何を考えているのか分からない存在感がないと言われていたが圧倒的な経済力のおかげでそれでも済ませた。しかし、今後流動化した世界でますます自立性を求められ、アジア外交などで危機的事態が生じた時国民の冷静で信頼される反応は交渉を有利に運べる確率を高める。今回のような報道では有害でさえある、我国を不利にし最悪危機を招く。■

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