かぶれの世界(新)

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民意の失敗2010

2010-07-13 11:40:56 | 国際・政治

選択したのは政策でなく政党

参院選の結果は3日前に危惧したような曖昧な形に終った。出口調査の詳細データは例によって公表されてないが、これまでの報道を見る限り、選挙民の意思がどの政策を支持し、どの政策に反対したのか分かり難い結果になったように私は感じる。

最大の争点は消費税で、菅首相が唐突に消費税を持ち出しその姿勢がぶれたのが民主党の大敗の原因だと報じられている。一方で、出口調査では5-6割が消費税は必要と答えている。最大野党の自民党はもっと具体的に消費税を打ち出している。国民の大半が、緊急度に温度差はあるが消費税導入に賛成したといってよい。

政策よりプロセス

つまり国民は消費税が必要だと思っているが、菅首相の提案の仕方は気に入らないので民主党に投票しなかったのだろうか。私の予測では、これで社会福祉設計と連動して納税者番号(もしくは社会福祉番号)と税制改革議論は数年後れることになるだろう。

与野党逆転でネジレ国会の悪夢が再現した。かつて民主党がとった戦術を野党が取れば、国会は機能不全に陥り我国は最悪事態になる。単純に政治の貧困とは決め付けられない、「政治は民意の表れ」である。この民意を演出した主謀者は一体誰か私には興味がある。

組織票と無党派層、地方の反乱

今回の参院選の性格の一つとして「組織票対無党派層」と位置付けた。今回組織が支援した候補者は殆ど当選したが、個人獲得票数は軒並み減少したと報じられた。自民党も傾向は同じだという。だが、当選したという事実は重い。彼等は今後組織を守るために過激になると予測する。これが、民主党と自民党が共通に引きずる体質でみんなの党と相容れない要因となるだろう。

一方で、「無党派層の支持」をなくしたのが民主党の敗因の一つであることは各社が指摘している。彼等は小鳩体制から菅政権に移り喝采したが、政策よりプロセスを重視する傾向が参院選に反映されたように私は感じる。彼等は政治と金やブレとか迷走と報じられるたびに嫌気がし民主党は信用できないと思ったのではないだろうか。

もう一つの性格は「地方対都市」で、これは一人区で自民党が圧勝したことにより、元々保守的な地方が明確に民主党離れしたことを示したというのが私の認識だ。先月まで四国の田舎に住んで、近所の人達の民主党への期待が萎んでいるのを実感していたから、結果に違和感はない。

若者の将来を決めたのは団塊世代?

実は私が最も注目したのが、世代別の投票行動の差である。それは世代間の戦いなのか、若しくは一致した傾向があったのかまだ分からない。誰が日本の若者の将来を決めるのか。皮肉だが、若者の未来を団塊世代の投票行動が鍵を握ると私は予測した。

皮肉というより悲劇かもしれない。もし自分の将来を自分が決めない、若しくは放棄したとすれば。現時点で手元にデータがなく世代別投票結果は分からないので、この件についてはもう少し待って議論したい。米国大統領選のように若者の積極的な関与が参院選に影響を与えたろうか。

いずれにしても、これから数ヶ月日本のメディアが大好きな暑い政局の季節が来そうだ。だが、これも民意の現れであり、国民は投票結果にも責任を持つべきだと私は考える。普段大局的な見方に優れる欧米のメディアが予測する政界再編がポイントをついているかもしれない。■

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参院選直前の失望

2010-07-10 16:58:39 | 国際・政治

参院選がいよいよ明日投票を迎える。新聞テレビ各社の情勢判断は民主党が苦戦、自民党も伸び悩みの中、早くも政局にらみの記事が目に付く。不利になるのを承知で菅首相が提案した消費税の超党派議論は、生活次元の議論に矮小化され議論が全く深まらなかった。

GDPの2倍以上に達しようとする異常な財政赤字をどうする積りか殆ど議論された気配がない。今まで何を言ってきたか、赤字の責任は誰か、そんなことより今はどういう状態と認識し、どう改善していくか議論して欲しかった。だが「議論する、しない」から一歩も進まなかった。選挙に増税を持ち出すと絶対的に不利という姿勢が候補者の間に見え見えだった。

加えて、参院選の争点を的確に捉え、広く伝える役割を果たすべきメディアの姿勢も酷かった。目の前の生活が消費税導入で如何に苦しくなるかという視点での報道が圧倒的に多かった。だが、菅首相の提案は中長期的な財政の議論だったはずだ。

私は報道が争点をミスリードした、その責任は大きいと考える。結果として日本国民の声をギリシャ国民並みの身勝手な方向に向けさせた。以前も指摘したが、戦前の新聞は満州事変前後から国民を煽り、国民の支持を得て軍部が日本を世界大戦に向わせる加担をした、それと同じ過ちのように感じる。

「国民の審判を重く受け止める」との発言が多分明日の夜には聞かれるだろう。だが、この程度の議論で果して国の将来を決めるちゃんとした審判が出来るだろうか。ドイツ・イングランド戦の様に誰もが誤審と分かっていても結果は覆らないことになるかもしれない。

まだ選挙結果が出たわけではない。だが、メディアの情勢調査が示すところは、多くの選挙民は中長期の議論を聞くことなく、消費税と目の前の生活を結びつけて投票すると私は推測する。前回投稿した記事で、私は団塊世代の判断も選挙結果を左右すると予測した。24時間後を待とう。■

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周回遅れのW杯西・独戦評

2010-07-09 21:53:53 | スポーツ

決勝のスペイン対ドイツ戦の中継録画を昨日朝一番で見た。決勝進出を賭けたベスト4のゲームとなれば堅いゲーム展開になるのが通常で、ニュースでスペインの勝ちと分かっている再放送なのに、中継録画を最後まで楽しんだ。その後のテレビでのハイライトを何度も見た。楽しみついでに素人の戦評を一つ。

これまで破竹の勢いでイングランド・アルゼンチンを蹴散らしてきたドイツのスピードサッカーが陰を潜め、点差以上にスペインに押し捲られた。高校野球のトーナメントを強打で勝ち上がってきたチームが、好投手を擁するチームと当たって全く手も足もでないで負けるみたいな感じだった。

夜の特別番組や新聞などを見たり、何故ドイツがコロッとやられたのか息子とにわか評論を交わした。私の印象として、ドイツの選手にいつもより堅さが感じられ、それが前半ずっと続いていた気がする。その他に、戦術的に気のついたことがある。

二人の一致した意見は、ドイツが速攻を仕掛ける最初の球出しが出せなかったことである。スペインがドイツ陣内で球を失った時、引かないで執拗にドイツ選手にプレスをかけたのが功を奏した。このやり方では90分続かないと思ったが、息子はそれ程疲れる追い方ではなかったという。以前評論家が絶賛した日本のフォワードの無駄走りディフェンスとは違うという。

ペインのディフェンスが非常に高い位置を保つ、いわゆるコンパクトなサッカーを続けられたのが疲労を防げた理由だというのが息子の解説だった。それもあるかもと思ったが、それはスペイン選手のような最高の技術があるから成り立つ戦術と一致した。

しかし、コンパクトなサッカーは裏を取られると一気にピンチに陥る怖さがある。裏を取るシーンが少なかったのは、上記のように良い球出しが無かったことに加え、受け手のミューラーが出場できなかったからでもあった。彼の代わりを務められる高速の選手はいなかったのだろうか。

新聞テレビの解説の中で、NHKの特番に出演し元日本代表の森山氏が分析したスペインの攻撃戦術が、私には印象的だった。中盤から前線への高速パス交換がドイツの守備陣を中央に片寄らせ、両サイドに出来たスペースを生かしたサイド攻撃が機能したというものだ。

なるほどそうだったのかと森山氏の的確な分析に感心した。スペイン選手の確かな技術があって可能な戦術だ。日本が真似るには10年早い、当分は今大会の戦術が向いていると同時に思った。この調子でいけば決勝はスペインの勝ちを予測する。直前の試合を見て影響されるのはどこかの国の首相みたいだが、そのくらいインパクトのあるゲームだった。■

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2010年大胆占い3Q見直し

2010-07-05 11:47:24 | 社会・経済

6月の日銀短観の景況感(DI)がリーマンショック以前に戻ったと発表され、国内経済が順調に回復しているはずなのに、3ヶ月前の楽観的な雰囲気は世界の株式市場から消し飛んでしまった。先週NY株式市場はリーマンショック直後以来の7日続落して9600ドル台に、11000円台まで戻した東証も一時9200円台を割った。この半年のゲインは全て失われた。

年初経済回復は占いどおり進み、市場は先行き楽観的だった。不良債権を抱える欧州各国政府の足並みの乱れとそれが対応の遅れにつながり、信用不安が表面化する恐れがあるとの私の予測は的中したかに思えた。

しかし、状況は予想以上に悪かった。世界経済における欧州のポジションや影響の程度と、新興国の成長及び米国の回復を総合すると、多少の影響は出るとしても欧州の問題としてやり過ごせると予測した。どうもその見方はかなり甘かったようだ。サブプライムの時、最初はローカルな問題と見くびったのと同じだ。

欧州財政・金融不安と対応の遅れが市場のすわりを不安定にしていたが、米国経済の減速と新興国経済の引き締めの二つの懸念が浮上し、楽観論が色あせてきた。特に雇用回復の遅れと住宅市場の停滞が米国経済減速を印象付けた。風景が変った。たった2‐3ヶ月で出口戦略を声高に語るシーンは見られなくなった。

年後半の見通しについて私の占いは、正直のところ不透明になったと感じる。「期待と現実の距離を埋めていく年」と位置付けた楽観論は、「政府が適切な手を打ち二番底を回避できる」という予測に基づいた。だが同時に予測した「財政赤字とドル安が世界経済の不安定要素になるという懸念」が現実のものとなり、状況はより複雑になってきた。

一つには、BRICsなど新興国の伸張は予想通りだが、世界経済の中でその相対規模は小さい。米国経済の停滞をクリアするほどの影響力がないことも明らかになってきた。二つ目に、欧州の足並みの乱れが拡大し、G20各国の財政と金融政策のスタンスが異なり市場を説得する明確な方向付けに失敗した。G20終了後世界市場は軒並み下落する皮肉な結果だ。

ということで、2Qは私の大胆占いほど楽観的ではないという警告メッセージが発せられた。とは言うものの、一挙に悲観的になる状況にはない。現在は景気刺激策と財政赤字の折り合いをどうつけるか複雑な連立方程式、それは正解のない方程式の近似解を求める状況にある。チャレンジは、近似解が魅力的である保証はない。国民が苦い薬をのめるか各国の力量が問われている。

実体経済については今回も楽観的なスタンスを取り続けたい。次の3Qは停滞気味になるが何とか持ちこたえ複雑な現状を脱し、最後の4Qで世界経済は回復の道を辿るように感じる。2Q市場はそれ迄の「楽観的な先取り」を調整した意味合いと捉えるか、下降相場の始まりと見るか正直私は分からない。企業の好業績と株安はPERを堅実にし、日本の個人投資家は積極的と報じられているが私は微妙だ。

その要因の一つが、菅政権の登場で参院選の性格が「市場と民意の熱き戦い」(/1に投稿)に変化し、国内政治風景が大きく変る可能性を孕んでいると感じるからだ。参院選(民意)とその後の新たな政権の性格が市場からどういう評価を受けるか、日本の未来を決める重要なマイルストーンになると私は予想する。

個々の予測では、冒頭に述べたように世界経済の予測は半年経っても欧州の混迷も含めほぼ的中したと思う。だが、問題の「リスクが民から政府に移った構図」を描けなかった。一方で日本の政治は予測不能とも言うべき混迷、経済は輸出と景気刺激策のおかげで予測以上に回復した。

1.追加対策で米二番底回避、成長率3%切る、歴史的過剰流動性と財政赤字残る(0.7)
2.世界経済回復もEUは不良資産処理に苦戦、一方新興国絶好調で世界経済牽引(0.6
3.中印経済は輸出回復し内需も順調に成長、成長率は夫々10%台と7%台に(0.7
4.内閣支持率更に低下、予算成立後か参院選後政局に、連立崩壊するが鳩山続投(0.3
5.日本経済は輸出増で何とか成長率1%前後、雇用は構造的な停滞が続く(0.6
6.日経平均は政策混乱と不信が広がるも、後半円安で輸出増、13000円に盛り返す(0.4
7.日本サッカー、健闘するもW杯予選ラウンド通過できず  (0.7
8.日本人MLB:イチロー・松井とも年齢と健康問題で苦戦   (0.5

日本サッカーの予想外の活躍は嬉しい驚きだった。テストマッチの4連敗で、「W杯予選リーグ善戦」という予測どころか1勝も出来ないと恐れた。だが大会直前の守備重視の現実的なシステム変更が幸運にも機能したようだ。だが、天邪鬼の私はせめて1年前にシステム変更し進化させればもっと勝てたろうと「素人考え」してしまう。

そうだとしても岡田監督の判断を賞賛したい。古今東西タイムリーに決断できなくて全てを危機に陥れたリーダーが我国の歴史を飾っている。歴史にならない小さな組織でも事情は同じだ。私みたいに。彼はギリギリだろうと何だろうと間に合った。その評価を誤ってはいけない。

一方、イチローは例年通りに活躍している。彼の場合それだけで物凄いことであり、私の予想を上回った。だが、残念なことに松井には予想通り年齢から来る衰えのようなものを感じる。多分彼を雇った球団もそう思っているだろう。彼にはチャンスやピンチに動じない人並み外れたハートの強さがある。後半彼の見せ場が来るはずだ。だが、1年を通した活躍を期待するのは無理だろう。

最後に直近に迫った参院選の予測をしてみたい。戦いの性格は「組織対無党派」と「民意対市場」を予測したが、投票率が高まれば従来の「世代間の戦い」と「都市対地方」の要素も出て来る。私の現時点での予想は全体の投票率は上がらず、キャスティングボードは団塊世代になる、彼らの理性が発揮され日本の未来を誤まらせないで欲しいと希望する。■

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市場と民意の熱き戦い

2010-07-01 19:58:31 | 社会・経済

2010年もあっという間に半年経った。今年の正月に立てた「大胆占い」の見直しを週末までにやる積りだが、先ずはデータ抜きで直感的な上半期の印象を語ってみたい。一言で言うと「激変の2010上期」だ。W杯でチームと岡田監督の評価が激変したが、経済でもギリシャ危機を契機に回復途上の世界市場が一転して停滞モードに入った。他にも激変したものがある。

今日の東京市場の後場は、日経平均が191円安の9191円で引け、連日の年初来最安値更新となった。日経平均9200円割れは昨年11月27日以来で、下半期の不透明感が強まった。6月の日銀短観が2年ぶりの大幅改善となったが、円高と世界経済の先行き不透明感を反映し上記の株安となったと報じられている。

株価低調の理由は明らかである。景気回復のための政策はリスクを民間から政府に移しただけと市場が判断し、政府に対しNOを突きつけたからだ。市場は最も弱そうなところから攻めていく。それが欧州であり、最初にギリシャ政府の財政赤字とEU内支援の足並みの乱れが狙われ、欧州の信用不安は世界に伝播した。

それに対し単純に迷惑だとはいえないのは、他の国も財政悪化が進み緊縮財政を突きつけられているからだ。先のG20ではアジェンダが景気回復から一転して財政規律の回復だった。現在の状況は微妙で複雑だ。世界をリードするG20といえども、財政規律を強調すると緊縮財政による経済悪化と見られないかと、市場からどう見られるかかなり神経を使った結果としてメリハリに欠けた共同宣言になってしまった。

各国のトップは帰国すれば緊縮財政・増税に強く反対する民意が待っており、G20の合意事項の実現可能性は国の差はあっても概して不透明だ。新規の景気刺激策を打てば更なる財政赤字になりかねない。今回の参院選の性格は、以前投稿した記事では小鳩体制の「組織票対無党派の戦い」と見たが、菅政権になって「民意と市場の戦い」の性格が加わったと感じる。

菅首相が突如消費税を参院選のアジェンダにしたのは、市場が世界政府に突きつけた不信任が深刻で、その対応を最優先課題としたからだ。菅首相は強い経済・財政・社会保障といったが、政治とメディアは中でも消費税に強い反応を見せた。それは、消費税が選挙民の最大の関心であり選挙結果を左右するアジェンダと考えているからに他ならない。

ということで、この構図を私流に端的に表現すると菅首相は「市場の声」を反映した政策を提言し、批判や反対する政党やそれを報じるメディアは消費税に対する不信や不安を持つ「国民の声」を代弁している。程度の差はあるものの世界各国は今同じ構図にあるといってよい。国政レベルの選挙があるので、日本が最初にその方向付けをする役割を負うことになるだろう。

その結果は世界各国に多少なりとも影響を与えるだろう。今後の数年間でどの国がいち早く苦境を抜け出し繁栄の道を歩むか、いわば世界が参加する「民意と政治のオリンピック」だ。今回はスタートラインがはっきりしている。ギリシャみたいなみっともない方向に行かないで欲しい。

4-6月の世界主要10市場の株式の騰落率は7位で、トップグループの韓国ドイツに遠く及ばないどころか、米国や信用不安の震源地だった欧州各国より悪かった(日本経済新聞7/1)。これが、オリンピックの前ぶれにならないことを祈りたい。例によって私の大胆占いでは、参院選の結果出て来る方向は日本の行く先を決める重要な転換点になると思う。■

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