一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第1期女流順位戦、6回戦までの結果

2021-04-20 00:35:03 | 女流棋戦
第1期女流順位戦は16日までに6回戦が終了した。だいぶ目鼻が立ってきて、A級確定者も現れた。では、勝敗を記そう。
なおカッコ内は、最終7回戦の対戦相手。赤字は順位確定である。

【A組】
①伊藤沙恵女流三段(藤井)…6勝0敗
千葉涼子女流四段(渡辺)…4勝2敗
岩根忍女流三段(礒谷)…4勝2敗
藤井奈々女流初段(伊藤)…3勝3敗
渡辺弥生女流初段(千葉)、礒谷真帆女流初段(岩根)、山口絵美菜女流1級(高浜)…2勝4敗
高浜愛子女流2級(山口)…1勝5敗

伊藤女流三段が山口女流1級に勝ち6連勝。ぶっちぎりでA級&決勝トーナメント進出を決めた。しかし2位以降が混戦である。直接対決の結果が大きくモノを言ってきそうだ。

【B組】
①加藤圭女流二段(堀)…6勝0敗
②伊奈川愛菓女流二段(頼本)…5勝1敗
③室谷由紀女流三段(安食)…4勝2敗
堀彩乃女流1級(加藤)…3勝3敗
頼本奈菜女流初段(伊奈川)…3勝3敗
清水市代女流七段(相川)…2勝4敗
相川春香女流初段(清水)…1勝5敗
⑧安食総子女流初段(室谷)…0勝6敗

加藤女流初段が順調に星を伸ばし6連勝。対抗の伊奈川女流二段に勝っていたので、これでA級が確定した。加藤女流初段は規定により、女流二段に昇段した。加藤女流二段はすでに女流名人リーグと女流王位リーグの経験者であり、昇段は当然といえる。
清水女流七段の2勝4敗は意外。最終戦、相川女流初段に敗れるとD級になってしまう。相川女流初段も一発があるだけに、まったく予断は許さない。

【C組】
①加藤桃子女流三段(中村)…6勝0敗
②甲斐智美女流五段(水町)…5勝1敗
宮宗紫野女流二段(藤田)…3勝3敗
山田久美女流四段(上川)…3勝3敗
藤田綾女流二段(宮宗)、中村桃子女流初段(加藤)、水町みゆ女流初段(甲斐)…2勝4敗
上川香織女流二段(山田)…1勝5敗

加藤女流三段が星を伸ばし6連勝。甲斐女流五段も勝って5勝1敗としたが、ふたりの対戦は終わっているので、加藤女流三段のA級&決勝トーナメント行きが決まった。

【D組】
西山朋佳女流三冠(中倉)…5勝1敗
香川愛生女流三段(長沢)…5勝1敗
武富礼衣女流初段(ステチェンスカ)…4勝2敗
山口恵梨子女流二段(和田)、和田あき女流初段(山口)…3勝3敗
長沢千和子女流四段(香川)、カロリーナ・ステチェンスカ女流初段(武富)…2勝4敗
⑧中倉宏美女流二段(西山)…0勝6敗

西山女流三冠が星を伸ばし5勝1敗。香川女流四段は武富女流初段相手に苦しい将棋を逆転勝ちし、誕生日を白星で飾った。
西山VS香川戦は西山女流三冠が制しているので、西山女流三冠の優位は変わらない。

【E組】
渡部愛女流三段(野原)…5勝1敗
山根ことみ女流二段(斎田)…5勝1敗
野原未蘭女流1級(渡部)…4勝2敗
中澤沙耶女流初段(本田)…3勝3敗
本田小百合女流三段(中澤)…2勝4敗
井道千尋女流二段(長谷川)…2勝4敗
斎田晴子女流五段(山根)…2勝4敗
長谷川優貴女流二段(井道)…1勝5敗

渡部女流三段、山根女流二段とも星を伸ばし、5勝1敗になった。直接対決は渡部女流三段が制しているので有利には違いないが、もし負けると中澤女流初段とともに5勝2敗。そして山根女流二段も負けると三者が5勝2敗に並んでしまう。しかも三者の直接対決も1勝1敗。こうなったらどうなるのだろう。

【F組】
石本さくら女流二段(島井)…5勝1敗
上田初美女流四段(里見)…5勝1敗
里見沙紀女流初段(上田)…4勝2敗
塚田恵梨花女流初段(貞升)…4勝2敗
矢内理絵子女流五段(石高)…3勝3敗
島井咲緒里女流二段(石本)…2勝4敗
⑦石高澄恵女流二段(矢内)…1勝5敗
⑧貞升南女流二段(塚田)…0勝6敗

1敗の上田女流四段と塚田女流初段が戦い、上田女流四段が勝って抜け出した。
最終戦、里見女流初段が上田女流四段に勝ち、2敗者が4名になると、直接対決の結果が入り乱れ、ややこしくなる。

【G組】
①里見香奈女流四冠(船戸)…6勝0敗
鈴木環那女流三段(小高)、小高佐季子女流初段(鈴木)…4勝2敗
竹部さゆり女流四段(山口)…3勝3敗
船戸陽子女流三段(里見)…3勝3敗
村田智穂女流二段(脇田)、脇田菜々子女流初段(村田)…2勝4敗
⑧山口仁子梨女流2級(竹部)…0勝6敗

里見女流四冠が6連勝。ぶっちぎりでA級&決勝トーナメント行きを決めた。

【H組】
①中井広恵女流六段(中村)…6勝0敗
室田伊緒女流二段(飯野)…4勝2敗
中村真梨花女流三段(中井)…4勝2敗
北村桂香女流初段(北尾)…3勝3敗
和田はな女流2級(加藤)…3勝3敗
加藤結李愛女流初段(和田)…2勝4敗
飯野愛女流初段(室田)…2勝4敗
⑧北尾まどか女流二段(北村)…0勝6敗

中井女流六段が勝ち、中村女流三段が負け、最終戦を残して中井女流六段のA級&決勝トーナメント行きが決まった。リーグ表を見たとき、最終戦が大勝負になると見ていたがけに、この結果は意外である。
中井女流六段はタイトル19期で実績十分ではあるが、ここ数年は停滞していた。しかし昨年の倉敷藤花挑戦、今年の女流名人リーグ入りなど、完全復調したようだ。


以上6回戦を終わって、里見女流四冠、伊藤女流三段、加藤女流三段の全勝はさすが。西山女流三冠も5勝1敗で、最終局も逃さないだろう。トーナメント戦と違いリーグ戦は、実力がほぼ反映されると感じる。
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異色の観戦記

2021-04-19 00:25:15 | 将棋雑記
拙宅では読売新聞を購読しているので、主催棋戦は竜王戦である。
その4月10日のスペースを見てびっくりした。対局者は永瀬拓矢王座と羽生善治九段だったが、対局風景がカラーで掲載されていたのだ。ちなみに観戦記者は、文化部記者の吉田祐也氏だった。
私は40年以上同紙の観戦記を読んでいるが、写真が掲載されたのは初めて。なお、お隣の囲碁棋聖戦は、対局者の顔写真やタイトル戦風景がたびたび掲載されている。
私はネット等で棋士の顔をほとんど把握しているが、ネットを使わない年配の方は、棋士の顔が分からない。確かにこれからは、顔写真くらい載せてもいいのかと思う。
だが11日の第2譜は、永瀬王座がトレーを持っている写真が掲載された。ということは、13日(12日は新聞休刊日)は羽生九段が載るはずだ。まさか、この調子で最終譜まで、なにがしかの写真が載るのだろうか。
カメラマンは、若杉和希写真部記者。そういえば先月、読売新聞社から「フォトドキュメント 第33期竜王戦七番勝負」(税込1,650円)が発刊されたが、このカメラマンが若杉氏ではなかったか。
竜王戦七番勝負は、長いこと単行本が発刊されていたが、ここ数年は途絶えていた。今回の発刊は従来の観戦記に加え対局風景も多数収められたものであり、極論すれば、情報量が倍以上になったのに値段はほぼ変わらないという、とてもお得な本なのであった。
観戦記は果たして、第3譜以降も写真が載った。そこで私は思った。本局は、観戦記と写真のコラボなのだ。つまり、七番勝負の新聞掲載版をやったわけである。これは観戦記者もカメラマンも読売新聞関係者だから通った企画といえよう。
観戦記は16日に、第6譜で終わった。竜王戦予選はここ数年7譜分けであり、本局は1譜少ない。ただし86手で終わったから1譜あたり15手で済み、幸いにも写真掲載には都合がよかった。
ここで、写真全6点の内容を紹介する。

10日・第1譜 対局風景 12行
11日・第2譜 永瀬王座がトレーを持つ 11行×2段
13日・第3譜 羽生九段の立ち姿 11行×2段
14日・第4譜 永瀬王座が苦悩する姿 12行
15日・第5譜 羽生九段のアップ 11行×2段
16日・第6譜 対局風景 12行

やはり写真がけっこうなスペースを取っている。そのぶん、肝心の観戦記が削られるから「アブハチ取らず」の懸念も生じるわけで、その兼ね合いは難しい。
いろいろ調べると両記者は、この15日にオンライン配信(無料)で、今回の七番勝負の舞台裏をトークするイベントを行っていた。
このタイミングがよすぎるため、今回の観戦記は。書籍、トーク企画とリンクしていた可能性がある。
書籍のコンセプトもそうだが、最近は棋士の対局姿を鑑賞するなど「見る将」が増えてきている。今回はそういった将棋ファンを取り込む意味でも、面白い試みだったと思う。
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4月4日の4時から男(後編)

2021-04-18 00:18:14 | 新・大野教室
続いてはShin氏と対局である。
「最近Shinさんに全然勝っていない気がする」
「気のせいでしょう」
「……」
という会話のあとShin氏が駒を振り、と金が5枚でて、私が先手になった。
▲7六歩△3四歩に▲7八飛。さっきの大野八一雄七段の将棋を見て、私も飛車を振りたくなったのだ。対してShin氏の作戦は左美濃だった。

△3三角・△5三銀の形になったので(第1図)、私は▲4五歩。△同歩は角銀両取りなのでShin氏は△2二角と引いたが、▲4四歩△同銀▲4五歩△5三銀▲4六銀(第2図)で、4五の位がとてつもなく大きく、作戦勝ちしたと思った。

よってShin氏の△5三銀では、強く△4五同銀もあったと思う。▲同桂に△4四歩で銀桂交換の駒損になるが、4五の位は拒否できる。
第2図以下は△3三角▲2六歩△7四歩▲5八飛△9四歩に▲5五歩△同歩▲6五歩(第3図)と進み、これは互角以上の戦果が見込めると思った。

以下、私の攻めが一段落すると、私の金得になっていた。ここから安全運転にスイッチし、以降はShin氏の攻めを丁寧に受け、快勝した。
しかし実戦心理は恐ろしい。Shin氏の攻めはもう切れているのに、何かあったら困ると、私はいつも以上に慎重になってしまった。
投了後、Shin氏はあまりの拙局に「感想戦のやりようがない」とつぶやいた。「今日は大野先生に左美濃を指されたんですが、その指し方が素晴らしくて自分も指してみる気になったんですが、うまく行きませんでした」。
私が見たときは大野七段が飛車を振っていたので、Shin氏は2局指導を受けたのかもしれない。
Shin氏はだいぶ消化不良になったようで、再戦となった。ただし時間も押しているので、持ち時間5分である。
今度も私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。私は横歩取りを指す気はないので、ここで▲6六歩と屈服した。
以下私は矢倉模様、Shin氏は雁木に構える。

第1図以下の指し手。▲1六角△2四角▲5七金寄△1四歩▲3八角△5四歩▲同歩△4五歩(第2図)

第1図に至る途中、△5四銀に▲5五歩と突きだす手が利いた。これを△同銀は▲5六歩で銀が死ぬ。よってShin氏は銀を引いたが、私は▲5六銀と立って指しやすさを感じた。
さて第1図から私の▲1六角は好点で、次に▲3五歩の桂頭攻めがある。対して△2四角がいい辛抱だった。▲5七金寄△1四歩に私は▲3八角と退却し、どちらの角が働くかという展開になった。

第2図以下の指し手。▲2四飛△同歩▲5三歩成△同金▲6二角△5二銀▲7三角成△3九飛▲4七角△4六歩▲5八角△2九飛成(第3図)

第2図の△4五歩に▲同歩は、△5四銀▲5五歩△4五銀と進出されて面白くない。そこで若干無理を承知で、▲2四飛から攻めていった。先の「△5四歩▲同歩」を咎める意図である。
だがShin氏の△3九飛も厳しく、△2九飛成までの局面は、駒の損得がなくなったため、竜と馬の差で、私が不利になったと思った。

そこから数十手進み、第4図は▲4九桂と辛抱した局面。

第4図以下の指し手。△3八銀▲4八金△1八竜▲4二銀△同金▲同歩成△同玉▲5四歩△6三金▲4三歩△同銀▲4四歩△3二銀▲4三金△同銀▲同歩成△同玉▲4四歩△3二玉▲3四角(第5図)

▲4九桂では▲4二銀から清算して▲4九歩と打ちたかったが、4筋の歩は敵陣に打ちたい。それで、泣く泣く桂を打った。
Shin氏は△3八銀と打つ。▲4八金には△1八竜。しかしここでは△3九竜と回られるのがイヤだった。この金取りが存外受けづらい。△1八竜は、竜が銀の陰に隠れてよくなかったのではないか。
私は▲4二銀から清算して▲5四歩。これが痛打で、△4三金は▲4四歩で金が死ぬ。よってShin氏は△6三金とよろけるが、私は▲4三歩から気持ちよく攻めを続け、▲3四角と飛び出した。遊び気味だった角がここまで進出したのだから、負けても本望だと思った。

第5図以下の指し手。△4九銀成▲4三歩成△2二玉▲4四銀△8七銀▲6七玉△2七竜▲4七歩△5五桂▲5七玉△5六歩▲同角(投了図)
まで、一公の勝ち。

第5図では△4二歩と我慢するかと思った。だがそれは▲2三銀△4一玉▲4三歩成で負けと見たか。先手は▲9五馬が、地味に敵陣に利いている。
そこでShin氏は△4九銀成としたが、私は▲4三歩成から▲4四銀と迫る。▲4四銀では▲2三銀△1三玉▲3三ともあるが、銀は手持ちにしておきたかった。
しかし△8七銀から△2七竜も厳しく、負けにしたかと思った。
△5五桂には▲5七玉と寄る。ここ手拍子で▲5六玉は、△3六竜から角を抜かれて負ける。
最後は▲5六同角までShin氏が投了した。投了以下は、△3二歩と受けても▲2三銀△1三玉▲3三とが詰めろで一手一手。投了もやむなしだろう。

感想戦では、第4図から△4三銀(参考図)と歩を払うのが最善とされた、本譜を見れば、この▲4三歩が貴重な存在だったわけで、それを除去するのが簡明だったというわけだ。

私は精神的にも肉体的にもズタズタだが、公私ともに順風満帆のShin氏に連勝できたのは自信になった。
本日の教室はここまで。表へ出ると、雨が降っていた。今日は雨の予報だったが傘を用意してこなかったので、大野教室から借りる。骨が折れているもので、大野七段は返却不要というが、そうもいくまい。これを返却すべく、また教室に来るのだろう。
食事は、駅前のインドカレー屋へ行った。参加者は大野七段、W氏、U君、私の4人。それぞれセットメニューを頼んだ。私だけ、オレンジジュースを付けた。
食後、軽くおしゃべりをする。景気のいい話が出ないが、私は自業自得とはいえ、ひときわ深刻だ。その欲求不満を少しでも軽減すべく、大野七段らは教室に誘ってくれるが、余計虚しさが増すということもある。
会計は790円だった。ずいぶん安いと思ったが、4月からの内税表示において、店側が掲示金額を変えなかったため、消費税分がサービスになったようだ。
次回の大野教室は9日(金)。W氏は、差額料金を払えば1ヶ月パスポートに代えてくれるというが、求職中の身でそうそう将棋も指せまい。いろいろ大変である。
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4月4日の4時から男(前編)

2021-04-17 00:08:32 | 新・大野教室
大野教室の4月は1ヶ月パスポート(土日教室4回、金曜教室2回で12,000円)を買おうと思ったのだが、第1土曜日の3日は外に出なかったので、また買いそびれてしまった。
翌4日(日)は散歩も兼ね、午後3時すぎに大野教室に向かった。
3時40分ごろ大野教室に入ると、大人数である。前日は大人3人、子供3人の報告があったが、日曜日はなぜか人気がある。
私は2,000円を払う。指導対局のない、いわゆる「4時から男」だが、1ヶ月パスポートなら、1回あたり2,000円になるうえ、毎回大野八一雄七段の指導を受けられる。ただ、月に6回は多すぎる。
室内はみんな対局中で、私はしばし待たされた。
やっと対局がついたが、前回も指した少年だった。私の飛車落ちである。
序盤はいつもの定跡になったが、少年の▲4五歩△同歩▲同桂に、私は3三の駒を持って△7七桂成?とした。何と、△3三桂を角と勘違いしたのだ。
私は待ったをし対局をそのまま続けたが、お粗末なことをやったものだ。
将棋は例によって私が馬を作り桂を成り、駒得が約束されたのだが、少年も飛車を8九に回り、着々と反撃の機会を伺っている。
第1図は私が△4六成桂と銀を取ったところだが、これが敗着。以下の攻めが厳しかった。

第1図以下の指し手。▲8三歩成△同歩▲8一角△同玉▲8三飛成△8二歩▲6三竜△8六桂▲8七玉△7二銀▲7三桂△9二玉▲7二竜(投了図)
まで、少年の勝ち。

▲8三歩成から▲8一角が好手。前局の変化でも出てきた攻め筋である。これを△6二玉は▲8三飛成で望みがないので私は△同玉と取ったが、▲8三飛成で敗勢になった。
しかものちの△7二銀に▲5三竜と読んでいたのだからおめでたい。▲7三桂と打たれて終わった。

感想戦では、第1図の前に△4六成桂としたいのを堪えて、じっと△6二銀(参考図)が最善とされた。

前局は私のポカで負けたが、本局は本当に実力負け。こうやって駒落ち対局はどんどん差を縮められていくのだろう。
ここでしばし間が空く。W氏は買物に出掛けていたが、その間にほかの将棋が次々と終わり、みんなが手持無沙汰になってしまった。
W氏が帰ってきて、絶妙の捌きで手合いを付けていく。そして私は、男性氏と対局となった。彼とは2局目だ。振駒で私の後手になり、▲7六歩△3四歩▲6八飛。Taga氏得意の戦法で、このあと角換わりから逆棒銀に来る狙いだろう。だが△4四歩と角交換を拒絶するのも軟弱なので、そのまま駒組を進める。と、やはり▲2二角成とされた。
ここから不本意な展開になったが形勢自体は互角で、その後私が桂得してと金を作ったあたりは、むしろ指しやすくなったと思った。
ただ男性氏の6筋からの反撃も厳しく、この折衝で男性氏が優勢になったようである。
だが私のイヤミな攻めに男性氏が受けを間違えたようで、私にも勝機が出てきた。
第1図は▲3一馬と飛車を取り、△同玉▲6一飛△4一歩に▲4四歩と叩かれた局面。

第1図以下の指し手。△2六桂▲4八金寄△3八銀打▲同金△3九角(投了図)
まで、一公の勝ち。

第1図で△4四同金は▲5三角で負け。一方自玉は▲3二銀に△2二玉▲3一角△1二玉で
まだギリギリ詰まない。そこで△2六桂と反撃した。これに▲同銀は△3八竜なので男性氏は▲4八金寄としたが、私は△3八銀打。しかし▲同金と取られて後手玉の詰みが見えないので、慌てた。このとき私の残り時間は1分少々。△3八同桂成は▲1七玉で詰まないうえ、銀を渡してしまったので、今度は後手玉が詰むだろう。
が、私は△3九角を発見し、どうにか勝つことができた。

しかし△3九角があるなら、△3八銀打ではすぐに△3九角で詰みだった。以下▲同玉△3八銀打▲2八玉△2七銀成▲同玉△3八銀打▲2六玉△2七金までである。
感想戦では男性氏が、「銀冠が残ったまま詰まされたのは初めてです」と苦笑した。そして私たちは、「自信がない」を連発した。
実際は終盤に男性氏に勝ちがあったが、どこかで間違えたと思う。でも、敗因の結論までは出なかった。
大野七段の指導対局は、Shin氏らが戦っている。Shin氏は平手での挑戦で、大野七段が飛車を振っているようだ。Shin氏もよく戦っているが、大野七段が寄せに入った。
私の3局目は少年と。大野教室は2回目だそうで、私の4枚落ちだ。
少年は銀多伝できた。これは端を攻める筋がないから損だが、上手の左の金銀を固定させるという意味で、ある手ではある。W氏が、彼は銀多伝の指し方を、さっき教わったばかりだと言った。
私は左銀を△4二に進出し、下手を圧倒した。どうも私は、初心者相手にも全力で戦うからいけない。それで彼とは2局目を指し、今度は左銀を△2二に上がった。これはいい勝負になったのだが、それでも私が勝ってしまった。
今度は小学生入学前のお嬢ちゃんが入って、私の2面指しとなった。お嬢ちゃんは、平手では負けるかもしれない、と思っているに違いないが、将棋は何が起こるか分からない。
私は2面指しは久し振りで、全然局面が見えない。女流棋士のすごいところは、棋力はともかく(失礼)、多面指しを起用にこなすところだ。よく複数の将棋が同時に指せるものだと思う。私は盤面の差異が全然分からない。それで、相手が指していないのに2手指ししたり、相手が指したのに指し手を待ったりしていた。
お嬢ちゃんとは以前指したことがあり、保護者の父親は、今日2局目に指した男性氏である。
お嬢ちゃんは中飛車できた。これがお嬢ちゃんの得意戦法で、駒落ちだと銀多伝や2歩突っ切りなど、慣れない戦法を指さざるを得ないから大変だ。将棋とは、とくにアマにおいては、自分の指したい手を指すのが本当ではなかろうか。
少年もお嬢ちゃんもよく指し、両者とも私に勝った。寄り形になっている私が頑強な受けを指すと、お嬢ちゃんはじっと考えて好手を指す。やはり将棋は相手の寄せを考えているほうが楽しかろう。
引き続き2局目を指す。これもどちらも、よく指した。
お嬢ちゃんはまたも勝勢になり、ここで▲3三金(図)が好手だった。△同銀なら▲2三竜だ。

私は△2四玉と逃げ出したが、お嬢ちゃんに的確に寄せられた。
少年のほうもよく指したが、私が勝勢になった。だがそこから悪手を連発し、敗勢になってしまった。上手玉が必至になったので、私は下手玉に最後の突撃をする。だが四枚落ちの手合いは、どう指しても上手が勝ってしまうようだ。最後、角成の両王手で下手玉が詰んでしまう。だがそこは私が桂で王手を掛け、逃げられたところで投了した(投了図)。

少年とお嬢ちゃんが、今後も将棋を続けてくれることを信じてやまない。
(つづく)
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「第10回 マッカラン勝負」の途中経過

2021-04-16 00:08:00 | マッカラン勝負
3月8日に「第10回 勝手にマッカラン勝負」を掲載したが、14日までにLPSA7名の倉敷藤花戦1回戦が終わったので、結果を書こう。

●渡部愛女流三段VS○相川春香女流初段(3月24日)
●礒谷真帆女流初段VS○野原未蘭女流1級(3月29日)
●上川香織女流二段VS○中村桃子女流初段(4月2日)
○中倉宏美女流二段VS●石高澄恵女流二段(4月3日)
●島井咲緒里女流二段VS○カロリーナ・ステチェンスカ女流初段(4月5日)
●船戸陽子女流三段VS○小高佐季子女流初段(4月7日)
○堀彩乃女流1級VS●斎田晴子女流五段(4月14日)

今期、一番手に登場した渡部女流三段。しかし、伏兵・相川女流初段に敗れた。渡部女流三段ひとりで3~4勝は覚悟していたから、この結果には驚いた。
私が3月18日に麹町サロンで渡部女流三段に教わったとき、彼女は何となく調子が悪い気がした。本当に調子が悪いのかもしれない。まあ、相川女流初段も実力はあるけれど。
気鋭の礒谷女流初段も、野原女流1級に負け。以下、上川女流二段は負け、宏美女流二段は石高女流二段に勝ったものの、島井女流二段、船戸女流三段も負けた。
しかし最後に堀女流1級が斎田女流五段に勝ち、気を吐いた。堀女流1級は、LPSA主催の1dayトーナメントで連続優勝するなど好調。日々の精進が実りつつある。
とはいうものの、1回戦は7名で2勝。これはマッカラン勝負を始めてからの最低記録である。強豪と当たったわけでもないから、もう少し勝ってもよかった。
とはいえこれで、とりあえず2口6,000円の寄付が確定。そして2回戦は宏美女流二段と堀女流1級の対戦となる。
これは、次に必ず1人敗退するが、1人は必ず勝ち抜くということでもある。私としては、両者2敗を期待して、別の山で戦ってもらいたかった。
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