おはようございます。新宿区神楽坂で研修&カウンセリングの事業を営む ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
このところ我が家では「快挙」の言葉が静かなブームになっています。
快挙は何も、野球で逆転ホームランをかっ飛ばすようなものでなく、ヒットで塁を埋めることも、バントで走者を進めることも快挙です。
快挙探しは、ささやかな幸せをもたらしてくれます。
昨日(6月27日)、私は快挙を成し遂げました。
長い時間がかかっていた通信教育のテキストの執筆が終わったのです。
本当は、ビールで祝杯をあげたかったのですが、後日を期すことにしました。
さて、我が家に「快挙」ブームをもたらしたのがこの本、『快挙』(白石一文、新潮社、1,300円+税)。
![白石 一文](http://ecx.images-amazon.com/images/I/616fDV14eVL._SL160_.jpg) |
快挙 |
白石 一文 |
新潮社 |
白石一文は、2010年に『ほかならぬ人で』で直木賞を受賞しています。
私は、カミさんがこの本を買おうとしているのを知って彼女にプレゼント。先に読んだカミさんの勧めでしばらく経ってからこの本を読み始めました。
読み始めたら、なかなかやめられなくなって、原稿書きに少々影響を与えていました。
写真家として新人賞を得たものの、その後芽が出ず、大学を中退、谷中のぼろアパート住まいで大衆ホテルのフロント係のバイトで生計を立てていた主人公は、月島の路地裏でみすみを見つけ、2度目に訪れたときに、ずるいと言われて、なけなしの1万円をカウンターに置いて出て、とぼとぼと歩いているときに、サンダルの音を鳴らしながら追いかけてきたみすみを振り返った。
その瞬間が人生の快挙とみなす主人公は、やがてみすみと結婚し、1年間の結核での入院があったが、その後もいくつかの快挙を成し遂げる。
やがて大ベストセラー作家になるのですが、そのことよりもみすみとの出会いを快挙とみなす理由が、この小説の中に潜んでいます。
喜びに満ちた愛もあれば、悲しみに彩られた愛もある。
賑やかな愛もあればさみしい愛だってあるのだろう。
たとえ悲しくてさみしい愛だったとしても、それはそれで立派な愛なのかもしれない。
のような、さりげない言葉も散りばめられたこの小説、間違いなく夫婦愛をたんたんと綴った名作だと思います。
野球で逆転ホームランをかっ飛ばすようなものでなく、ヒットで塁を埋めることも、バントで走者を進めることも快挙だということを思わせてくれるのがこの夫婦愛の小説です。
強くお勧めです。
<お目休めコーナー> 6月の草花(22)
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