おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
最近、やや下火になったとはいえ、「老後2000万円不足」問題があります。
老後資金として2000万円が必要だとした金融庁の報告書を、麻生太郎財務大臣が「受け取らない」と表明しました。
また、自民党の森山裕国会対策委員長も「報告書はもうなくなった」と述べたことが波紋を広げたようです。
問題となった報告書の中の記述は、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる」でした。
オリジナルの資料は、総務省家計調査(2017年)で、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢無職夫婦世帯の平均の数字で、5万4520円の毎月の赤字は、前から言われていたことです。
金融庁の思惑を反映した「いますぐ積立」の必要性は、現役世代へのアドバイスとして報告書にもしっかりと書かれているようです。
(1)早い時期からの資産形成の有効性の認識
(2)少額からでも長期・積立・分散投資などによる安定的な資産形成
(3)自らにふさわしいマネープランの検討
このことが捨象されて
夫65歳以上、妻60歳以上の高齢無職夫婦世帯が30年後、それぞれ95歳、90歳になったとき、年金だけに頼っていた場合、生活資金が2000万円不足する
ということが独り歩きして、「政府の100年安心の嘘が露呈した」と、新聞やラジオの報道を鵜呑みにする人たちがいます。
この人たちの思考法を【うのみ論】としておきます。
見たこと聞いたことをそのまま自分の見解のように受け止める思考法です。
私は、このことに対して【そもそも論】で反論します。
そもそも
1.「老後2000万円不足」問題を主管部門であるはずの厚生労働省ではなく金融庁が発表したのは、上の(1)(2)(3)の意図があってのことでは?
2.「夫65歳、妻60歳」が30年後の「夫95歳、妻90歳」まで揃って生きていますか?
3.65歳の夫と60歳の妻が年金不安のあるご時世に働くことで収入を得ることなく30年を過ごしますか?
4.さらには、65歳の夫と60歳の妻が生活不安が見込まれる中で現在の生活レベルのままでいて、家計を切り詰めることなく30年も生活をしていきますか?
と考えると、【うのみ論】の短絡的な発想が、あえて書きますが「幼稚」に思われてきます。
このような【うのみ論】を信じる人たちは、さもしたり顔で様々なことを論評しますが、【そもそも論】で反論すると、底の浅さばかりが目につきます。
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